【司法書士監修】生活保護の受給者が遺産相続で注意することマニュアル


「生活保護の受給者も遺産相続はできるのか?」「生活保護の受給者が遺産を相続したら生活保護は打ち切られてしまうのではないか?」といった相談が当事務所にはよく寄せられます。
同じようなお悩み・疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
このページでは、創業20年以上、地域随一の相続専門の司法書士事務所であるこん・さいとう司法書士事務所が、『生活保護の受給者が遺産相続で注意することマニュアル』と題して、生活保護の受給者が遺産相続をする場合の注意点を解説します。
このページを最後まで読んでいただければ、生活保護者の受給者が遺産相続するときのポイントを知ることができます。
生活保護の受給者にも遺産相続をする権利はある
まず、法律上、生活保護の受給者も遺産相続をする権利はあります。
民法という法律で「相続欠格者(相続する権利がない者)」が定められているのですが、その中に「生活保護の受給者」とは書いてありません。
したがって、遺産を相続すること自体には何も問題はありません。
遺産相続をすると生活保護が打ち切られることも
そうは言っても、例えば莫大な遺産を相続した場合、今後は遺産で生活をすることが可能になるわけですから、生活保護を受ける必要はなくなることは容易に想像できますよね。この場合は「生活保護の廃止」となるでしょうか。
万が一「生活保護の廃止」となっても、再び生活保護を受けることが必要となったときは「生活保護の再申請」は可能です。
あるいは、莫大というわけでもなく、しばらくは大丈夫だろうという程度の遺産の金額であれば「生活保護の停止」となるでしょう。
いずれにしても、相続した遺産を使ってしまい、生活費がなくなるような状態になれば、その時に「生活保護の再申請」を行えばよく、そこまで深刻になるような問題ではありません。
預貯金・現金なら、受給額の6倍程度の金額であれば大丈夫
とはいっても、現実問題「いくらまでなら生活保護は打ち切られないのか」が気になりますし、当事務所でも相談の多いところでもあったりします。
この点に関して、具体的な金額の決まりや法律などがあるわけではありません。
実際の制度運用上「1か月の生活保護費の6倍の金額」までであれば、遺産を相続しても生活保護が廃止・停止になることはないとされています。

ただし、これも生活保護者の現時点での貯金の金額や生活状況などによっても異なってきますから、5倍でもダメなこともあれば、7倍でも良いとなることもあるだろう、とは十分に考えられます。
もちろん、上で説明したように、そもそも生活保護受給者でも他の人と同様に普通に相続する権利は有していますから、6倍を超える金額であろうが、1億円であろうが、上限なく相続すること自体は可能です。
しかし、生活保護受給者に特有の問題点として「生活保護打ち切りとの境界線の相続額」というのを考えていく必要があるということですね。
生活保護者の相続分を少なくするような遺産分割協議には注意
上で説明したように「現金・預貯金は生活保護費の6倍まで」なら、生活保護は打ち切られないとなると「ではそのように調整した遺産分割協議書を作ってください」と言われます。
もちろんそれが相続人全員の合意に基づくものであればお作りしますが、生活保護者の相続分をいたずらに少なくするような遺産分割協議は、自治体から、生活保護者の資産活用のあり方として問題視される可能性もあります。
つまり「本当はもっと相続できたはずなのに生活保護を継続するためにわざと相続分を少なくした」と解釈されることも否定できないということです。
ですから、個人的には、あまりこの点について技巧的になりすぎずに、特段の事情がないのであれば、法定相続分をそのまま相続するのが正しいやり方なのかな、と考えています。
不動産なら、自宅や田・畑など価値の低いものは大丈夫。車は?
生活保護受給者であっても、不動産を相続することはできます。しかし、不動産は「資産」であり、原則として「資産」があれば生活保護を受けることはできないわけですから、その点は注意が必要です。
たとえば、自宅を相続してそこに居住する(あるいはもともと居住している)のであれば、問題なく相続することはできます。
しかし、それ以外の不動産、特に資産価値が高い不動産は、容易に処分をして換価が可能ですから、これを相続すると生活保護は打ち切られる可能性が高くなります。
反対に、田・畑・山林のような一般的価値の低い不動産であれば、問題ないと考えられます。
また、生活保護受給者は原則として車の所有は認められませんので、車を相続してしまうと、生活保護が打ち切られてしまう可能性があります。
ケースワーカーへの相談・報告はすること
生活保護者が遺産を相続することになった場合は、担当の生活保護のケースワーカーへ相談・報告をすることが肝心です。
ケースワーカーへ事前の個別相談を行うこと
上で説明した「6倍ルール」や「不動産・車の相続問題」は一般論ですから、個別にはまた違った結論となる可能性もあります。
ですから、弁護士や司法書士へ相談するのではなく、まずは担当のケースワーカーへ事前の相談をすべきです。
「ばれないようにやりたい」とか「秘密でやりたい」という方もいるのですが、下で説明する通り、遅かれ早かれバレることですし、もしバレなかったとしても後々問題となる可能性もあります。
福祉事務所へ事後の報告は忘れずに
遺産相続で得た金銭や財産は、働いて得たものではありませんが「収入」となります。
生活保護者が「収入」を得た場合には福祉事務所へ報告しなければならない、となっています。書類の記入なども必要となりますので、まずはケースワーカーへ相談してください。
相談・報告をせずにあとからバレると大変なことに
相談・報告をせずに、遺産相続をしたことが発覚すると、大変なことになる場合があります。
下で説明することのほかに、悪質性が高いと「詐欺罪」となる可能性もありますので十分に注意が必要です。
そもそも生活保護者の口座は監視されている
遺産を相続してもバレないだろう、とか、バレないようにやりたい、とかいうことを思うかもしれません。
しかし、そもそも生活保護を申請する際に「金融情報開示の同意書」を提出していますので、自治体は生活保護者の銀行口座を一括照会する権限を有しています。つまり、すでに口座は監視されているのです。
生活保護が打ち切られることがある
生活保護受給者の収入の報告は義務となっていますから、これを怠れば、実際に遺産で得た金額の多少にかかわらず、生活保護が打ち切られることがあります。
生活保護費の返還を求められることがある
遺産を相続した時から生活保護の受給資格は失っていたものと考え、それ以後の生活保護費を不当利得として返還するように求められることがあります。
「こん・さいとう司法書士事務所」が選ばれる理由
当事務所は、事務所開設以来20年以上にわたり相続問題に取り組んできた、地域随一の「相続専門司法書士事務所」です。
「こん・さいとう司法書士事務所」に相続手続を依頼することで上記のお悩みは解決
以上を踏まえまして、当事務所「こん・さいとう司法書士事務所」が、これまで多くの上記のようなお悩みをお持ちの皆様から、確実な相続手続きの依頼先に選ばれている理由を以下にお伝えします。
- 一般的な司法書士ではなく「相続専門」であるため、相続に関連する裁判所に関する手続き(相続放棄、不在者財産管理人、失踪宣告、遺産分割の調停の申立、相続財産管理人の選任など)、遺言書の作成、遺言執行にも精通しているため安心感がある
- 「相続専門」だからこそ、個別の事例に応じた的確なアドバイスを貰える
- パートナー税理士と連携して相続税の申告や準確定申告にも速やかに対応してもらえる
- パートナー弁護士と連携して他の相続人への交渉や、裁判手続きも対応してもらえる
- 弁護士・法律事務所より割安な料金で、しかも弁護士より敷居が低く、相談がしやすい環境にある
- ZOOMによるオンライン対応が可能なため、直接事務所に行けなくてもコンタクトが取りやすい
- eKYCによるオンライン本人確認に対応しているため、遠方からも依頼ができる
- 東京都中小企業振興公社(都内の中小企業を支援する東京都管轄の公的機関)の嘱託相談員であるため身分的な信頼感がある
- 20年以上のキャリアがある司法書士2名(今健一・齋藤遊)体制の為、一般の個人事務所より迅速に対応してもらえる
相続に関する相談先・依頼先を探されている方が、これらの点を1つでもメリットに感じていただくことができたなら、是非一度当事務所の無料相談をご利用ください。

最後に|無料相談の連絡は今すぐ
こん・さいとう司法書士事務所は、遺産相続の手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で20年以上に渡って運営、相続問題・相続に関連する業務に取り組んできました。オンラインにより全国対応をしています。
このページでお伝えしたかったポイントは次の3点です。
- 生活保護受給者も遺産を相続する権利はある
- 一定の金額以上の遺産を相続すると生活保護は打ち切られたり一時停止する
- 生活保護が打ち切られても再申し立てはできる
相続手続きを、なるべく相続人の負担を少なく行いたいとお考えですか?
それならばノウハウを有する経験豊富な私たち相続手続きの専門家をご活用・お任せいただければと思います。
専門知識を有する私たちであれば、さまざまな疑問にお答えできます。また相続に関連する問題・相続税の申告に強い提携の税理士や弁護士もおりますので、全方向のサービス・サポート・代行・紹介が可能です。当事務所なら、ばらばらに専門家を探す手間が省けます。
いまなら毎週土曜日に面談(対面・非対面)による無料相談を受け付けしています。また無料相談は平日も随時実施しています。
お電話(予約専用ダイヤル042-324-0868)か、予約フォームより受け付けています。メールによる無料相談も行っております。いずれも初回無料ですが誠意をもって対応します。お気軽にご利用ください。

東京司法書士会会員
令和4年度東京法務局長表彰受賞
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員(法務大臣認定司法書士)
公益社団法人成年後見リーガルサポート東京支部会員
家庭裁判所「後見人・後見監督人候補者名簿」に登載済み
公益財団法人東京都中小企業振興公社「ワンストップ総合相談窓口」相談員
公益財団法人東京都中小企業振興公社「専門家派遣事業支援専門家」登録