【司法書士監修】成年後見人に家族がなるたった6つの条件

成年後見制度そのものの社会的認知度も上がり、家庭裁判所の統計を見ても右肩上がりに利用実績は増えているようです。
制度がスタートしたのが平成12年ですから、すでに18年も経っているのですね。

当事務所への成年後見制度のご質問は、「成年後見人は家族でもなれるのか?」です。
そこで、今回は、成年後見人は家族親族でもできるのか、について一考です。

成年後見人は家族でもなれるのか?

成年後見人は家庭裁判所が選ぶことになりますが、成年後見になるための前提条件や資格はあるのでしょうか。

成年後見人になるための要件

後見人になるための前提条件、前提資格はあるのでしょうか?
民法という法律の中では、「成年後見人になれない人」を列挙しています(民法847条)。
未成年者や破産者、行方不明者等です。

つまり、これらにあたらなければ誰でも成年後見人になれるということになります。
その意味では、前提条件や前提資格は不要です。

しかし、現状はというと、弁護士、司法書士、社会福祉士が極めてよく選任されています。
全体の7割は専門職が成年後見人になっています
成年後見人は、認知症などの本人に代わって、財産管理や身上監護をする人ですから、誰でも良いというわけではないのですね。

平成30年1月から12月までの1年間における,全国の家庭裁判所の成年後見関係事件(後見開始,保佐開始,補助開始及び任意後見監督人選任事件)の処理状況について,最高裁判所事務総局家庭局がその概況を取りまとめたデータがあります。

裁判所のHPをリンクに貼ります。
「成年後見関係事件の概況」
http://www.courts.go.jp/about/siryo/kouken/index.html

誰が成年後見人を決めるのか?

ズバリ、成年後見人を誰にするかの決定権は裁判所にあります。

そもそも成年後見人を選任するためには、家庭裁判所へ申立書類を作成し、手続きをする必要があります。
この申立書類の中に、誰を成年後見人に選んでもらいたいか、希望を書くことができます。
例えば、家族(自分自身)を選んでほしければ、そのように書くことができます。

相談をして、話しを聞いてもらった司法書士を選んでほしければ、(その司法書士の同意のもとに)その司法書士の名前を書くことができます。

しかし、これは単なる「希望」です。
その通りに選ぶかどうかは、家庭裁判所の判断によります。

つまり、家族(自分自身)を選んでほしいと書類に書いて申立手続をしても、その通りになるかどうかは、裁判所次第なのです。

成年後見制度についての詳しい記事はこちらにあります。

成年後見

家族が成年後見人に選ばれる6つの条件

明確に条文があるわけでもなく、専ら家庭裁判所の運用によるため、はっきりしたことは分かりません。
しかしこれまでの、家庭裁判所による成年後見制度の運用実績から、ある程度の法則はわかってきました。

家族が後見人に選ばれる条件としては、

1.本人の財産が少ない

2.本人の財産が多くても「成年後見支援信託」を利用する意思が家族にある

3.本人の財産管理が簡単である

4.成年後見人になろうとしている家族自身の年齢が若い(高齢でない)

5.成年後見人になろうとしている者の今までの財産管理が適切である

6.他の家族から異議もなく財産管理について争いもない

もちろん、これらをすべて満たしていても、実際に選ぶのは裁判所ですから、何とも言えないのですが、経験上考えられる条件として列挙しました。

1.本人の財産が少ないこと

財産が少なければ、管理も簡単だろうという事です。

実はひと昔前は、むしろ、家族が成年後見人になるのが当たり前の時代がありました。

しかし、家族に成年後見人を任せたところ、巨額の横領などが発覚したこともあり、現在は管理する財産が多額になる場合は、弁護士や司法書士等の専門職を選任するようになったと言われています。

弁護士や司法書士を選任しても、横領事件は後を絶たないわけですから、管理財産の大小で決めるのはおかしいのではないかというのは私の意見です。

2.本人の財産が多くても「成年後見支援信託」を利用する意思が家族にあること

次に「2」。
財産が多くても、そのほとんどを信託銀行へ預ければ、家族が成年後見人に選任されるチャンスは生まれます。

信託銀行へ大部分の預金を預ける手続き(「成年後見支援信託」と言います)というのが、複雑怪奇なので、預けるまでは弁護士や司法書士等の専門職が成年後見人に就きます。

預ける手続きを終えたところで、弁護士や司法書士などの成年後見人は辞任して、家族へ成年後見人のバトンを渡すことになります。
現在のトレンドです。

3.本人の財産管理が簡単であること

単に本人に代わって各種支払業務だけを財産管理としてするだけなら簡単でしょう。
ところが、例えば人に貸している賃貸物件があると、その管理業務もしなければならないので、親族が成年後見人に選ばれることは少ないと思われます。

成年後見人になろうとしている家族自身の年齢が若い(高齢でない)こと

次に「4」です。
後見人になろうとする家族は、若ければ若いほど成年後見人として認められやすい傾向にあります。
逆に、高齢であればあるほど、成年後見人として選任されにくくなります。
これは成年後見人としての行動の迅速さを期待できるかどうかという事だと思います。

老老介護ではありまんが、いざ成年後見人に選任したものの、成年後見人自身が体調不良などでその成年後見人としての活動を全うできないのであれば意味がないからです。

成年後見人になろうとしている者の今までの財産管理が適切であること

最後に「5」です。
家庭裁判所へ申立書類を作成し、手続きをする必要があると言いましたが、本人の通帳のコピーなどを合わせて添付する必要もあります。
一般的に、通帳の管理は家族がしていることが多いですよね。

このとき「説明の付かないお金の流れがないか?」が重要なポイントになるようです。
これは家族が成年後見人になりたいという場合、裁判所で特にチェックされるように思います。

家族の財布は一緒と言いますか、経験上、通帳の入出金履歴をチェックすると、使途不明なものが見つかることは多いです。

他の家族から異議もなく財産管理について争いもない

その家族を成年後見人に選ぶにあたって家族から異議があったりして意見がまとまらないときは、家族が成年後見人に選任されることはないでしょう。
このような場合、家庭裁判所としては中立的な第三者(専門家)を成年後見人に選任することになります。

結論|家族でも後見人はできるのか?

家族親族が成年後見人に選任されるかどうかは、上記の通りです。
それでは、「家族親族でも成年後見人はできるのか?」ですが、

結局、「家族でもできるくらい簡単な場合であれば家族が選ばれる」といえます。
結論になっているのかどうか微妙なところですが、経験上このように感じています。

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