【司法書士監修】デジタル公正証書遺言を作る前に読むページ


「デジタル公正証書遺言書について詳しく知りたい」「公正証書遺言をオンラインで作成することはできないのか」というご相談を当事務所で受けることがあります。
もし何かの事情で公証役場に出向くことが難しい場合、オンラインの方法で公正証書遺言を作成できれば、かなり便利なことでしょう。
同じようなお悩み・疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
このページでは、創業20年以上、地域随一の相続専門の司法書士事務所であるこん・さいとう司法書士事務所が、『デジタル公正証書遺言を作る前に読むページ』をテーマに「デジタル公正証書遺言のきほん」を解説します。
このページを最後まで読んでいただければ今話題の「デジタル公正証書遺言」の重要ポイントをお分かりいただけるかと思います。
公証役場へ出向かなくても作成できる時代に
公正証書遺言書を公証役場へわざわざ出向かなくても、インターネットを利用して作成できるようになります。
なお、従来通りに公証役場へ直接出向いて紙で公正証書遺言を作成する方法はそのまま利用が可能です。
したがって、今後は2つのやり方の中から、自由に選択できることになります。
現時点での法律はどうなっているか
現時点(令和7年7月)において公正証書遺言を作成するには、原則として遺言者本人が公証役場へ出向く必要があります。
そこで公証人は遺言者(遺言を作成する人)から直接遺言書の内容を聴取したり、真意を確認したりして公正証書を作成するのです。
ただし、例えば遺言者本人が病気療養中などの身体的な理由で公証役場への出頭が難しい場合は、公証人が病院や施設、自宅などに出張することにより、公正証書遺言を作成することが認められています。
当所の依頼者でも「出張制度」を使って公正証書遺言を作成する人は多いです。
デジタル公正証書遺言は令和7年10月1日から施行されます
「民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和5年法律第53号)」の一部として、公証人法が改正され、これによりデジタル公正証書遺言の作成が可能となりました。
公証人法の改正された部分は「公正証書の作成に係る一連の手続きのデジタル化」と称され、令和7年10月1日に施行されることが決まっています。
デジタル遺言はどんなメリットがあるか?
これまでは、公正証書遺言書を作成するためには、遺言者本人が直接公証役場に出向く必要がありました。
しかし、今後はオンラインにより作成が可能となりますので、公証役場が近くにない方(特に地方在住者)や、身体的な理由で公証役場への出頭が困難な場合でも、公正証書遺言書を作成することができるようになります。
経験上、特にメリットがあると思われるケース
当事務所の実際の事例ですが、コロナ禍において病院等において入院患者への訪問が一律禁止になるという事態がありました。ちょうどその時に入院中の患者から公正証書遺言の作成の依頼があり、困った事態となりました。
その患者(遺言者本人)は、意思能力ははっきりしているものの、感染症予防のため無菌室からの外出が許されていなかったのです。もちろん外部からの人の立ち入りも一切禁止です。
その際公証人に対して「病院のガラス越しに遺言作成はできないのか」「ウェブ会議システムの方法でできないのか」と問い合わせたのですが「法令上そのような手続きは用意されていない」ということで遺言の作成は断念することとなりました。
結果、その方はまもなく亡くなられたのですが、正式な遺言書がないために相続争いとなり、数年にわたる裁判をしたと聞きました。
もし、あのとき「デジタル公正証書遺言」があったならどんなに報われただろうかと思います。
デジタル公正証書遺言の具体的な手続きとは
それではデジタル公正証書遺言を作成するためには、具体的にどのような手続きとなるのでしょうか。
(公正証書遺言)
第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
2 前項の公正証書は、公証人法(明治41年法律第53号)の定めるところにより作成するものとする。
ウェブ会議システムで面談・作成を行う
まず「遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること」が必要です。つまり、直接口で伝える必要があるということですね。この点は現在の法律でも同じで、代理人がかわってすることは認められていません。
さらに「本人から聞き取った遺言の内容を公証人が筆記して、読み聞かせ、閲覧させる」という法律が改正前の民法にはあったのですが削除されました。
その代わり、公証人法の中に「遺言者本人からの申し出があり公証人が相当と認めればウェブ会議システムを使って筆記・読み聞かせ・閲覧させることができる(公証人法37条・40条)」とされました。
「ウェブ会議」が具体的に何なのかは現時点ではわかりません。
証人の立ち会いもウェブ会議システムで行う
そして「証人二人以上の立ち合いがあること」も必要で、こちらも改正前と同じ要件です。この証人の立ち会いもウェブ会議システムを利用した形で行うことができます(公証人法37条・40条)。
署名・押印はマイナンバーカード等の電子署名となるか
従来の方法(公証役場へ出向いて紙で遺言書を作るやり方)の場合は、公証人だけでなく、遺言者本人や証人も署名や押印をしなければなりません。
しかし、デジタル公正証書遺言書は直接出向くわけではありませんので、署名や押印はどうすればよいのでしょうか?
これも新しい制度においては「電子署名で足りる」とされる様子です(公証人法40条)。
具体的な方法については現時点では未定ですが「マイナンバーカード等を使った電子署名」が有力視されています。
作成後のデジタル遺言書は電子データで受け取る?
従来の紙で公正証書遺言書を作成した場合、作成後に交付されるものは次のようになります。
- 原本→公証役場に保存される
- 正本→遺言者に交付される
- 謄本→遺言者に交付される

デジタル公正証書遺言の場合も、考え方は紙で作成した場合と同じですが、従来の紙媒体だけでなく電子データとしても受け取ることを選択できるようになります。
なお、デジタル公正証書遺言を作成したとしても、電子データとしての受け取りを強制されるわけではなく、デジタル化に対応できない人のために、引き続き紙媒体での交付も選択可能です。
デジタル公正証書遺言に欠陥はないのか?
それではデジタル公正証書遺言の法的安定性、つまり、従来の公証人が対面で作成するやり方と比べて劣るところはないのでしょうか?
本人が真意に基づいて作成したものと言い切れるか
遺言者本人が公証人役場に出向いて作成する場合は、その場に立ち会えるのは、本人・証人・公証人だけです。家族や第三者は原則として介添え等そばにいることもできません。
つまり「遺言者の真意を重視し第三者による介在を認めない」という点において一定の評価ができます(もちろん作成に至るまでの第三者の介在は完全には否定できませんが)。
しかし、今後オンラインでウェブ会議システムを利用して作成する場合、傍らに誰かがいて「言わされている」可能性もありますし、第三者が書いた紙を読まされている可能性も否定できません。
このようなことを考えると、デジタル公正証書遺言について評価が定まるまでの間は、従来通りのやり方で作成するのがよろしいのではないでしょうか。
電子データを金融機関の相続手続きでどのように使うのか?
デジタル公正証書遺言を電子データとして受け取った場合、不動産登記手続きで利用できる見込みは予想できます(オンライン申請で役立つ情報になりえます)。
しかし、銀行などの金融機関の相続手続きにおいてどのようにこれを利用していくのかが不透明です。
もちろん紙媒体での発行は可能ですから、デジタル公正証書遺言を作成しても紙で印刷してもらえばいいだけの話ではありますが…。
「こん・さいとう司法書士事務所」が選ばれる理由
上にも書きましたように、デジタル公正証書遺言は公証役場に容易に出向けない事情があるなど、特別の理由がない限りは、しばらくは様子を見たほうがよいと考えます。
従来通りの、公証役場に出向く(出向くのが難しい場合は公証人に出張してもらう)方法で作成することをお勧めします。
「こん・さいとう司法書士事務所」に遺言書の相談をすることで上記のお悩みは解決
以上を踏まえまして、当事務所「こん・さいとう司法書士事務所」が、これまで多くの上記のようなお悩みをお持ちの皆様から、遺言書の相談・作成の依頼先に選ばれている理由を以下にお伝えします。
- 一般的な司法書士ではなく「相続専門」であるため、遺言書の作成だけでなく、相続に関連する裁判所の手続き(相続放棄、不在者財産管理人、失踪宣告、遺産分割の調停の申立、相続財産管理人の選任など)、遺言執行にも精通しているため安心感がある
- 「相続専門」だからこそ、個別の事例に応じた的確なアドバイスを貰える
- パートナー税理士と連携して相続税の申告や準確定申告にも速やかに対応してもらえる(遺言書による相続税対策にも完全対応)
- パートナー弁護士と連携して他の相続人への交渉や、裁判手続きも対応してもらえる
- 弁護士・法律事務所より割安な料金で、しかも弁護士より敷居が低く、相談がしやすい環境にある
- ZOOMによるオンライン対応が可能なため、直接事務所に行けなくてもコンタクトが取りやすい
- eKYCによるオンライン本人確認に対応しているため、遠方からも依頼ができる
- 東京都中小企業振興公社(都内の中小企業を支援する東京都管轄の公的機関)の嘱託相談員であるため身分的な信頼感がある
- 20年以上のキャリアがある司法書士2名(今健一・齋藤遊)体制の為、一般の個人事務所より迅速に対応してもらえる
遺言書の作成に関する相談先・依頼先を探されている方が、これらの点を1つでもメリットに感じていただくことができたなら、是非一度当事務所の無料相談をご利用ください。

最後に|無料相談の連絡は今すぐ
こん・さいとう司法書士事務所は、遺産相続の手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で20年以上に渡って運営、相続問題・相続に関連する業務に取り組んできました。オンラインにより全国対応をしています。
このページでお伝えしたかったポイントは次の3点です。
- デジタル公正証書遺言は令和7年10月1日から作成可能になる
- デジタル公正証書遺言は公証役場に出向かずオンラインで作成が可能
- デジタル公正証書遺言の法的評価が定まるまでは様子を見たほうが良い
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東京司法書士会会員
令和4年度東京法務局長表彰受賞
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員(法務大臣認定司法書士)
公益社団法人成年後見リーガルサポート東京支部会員
家庭裁判所「後見人・後見監督人候補者名簿」に登載済み
公益財団法人東京都中小企業振興公社「ワンストップ総合相談窓口」相談員
公益財団法人東京都中小企業振興公社「専門家派遣事業支援専門家」登録