【司法書士監修】相続土地国庫帰属制度の高承認率と新たな買取ビジネスの闇

山林
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「相続土地国庫帰属制度はかなりの確率で国に放棄できると聞いたのですが…」「不要な土地を買い取るという業者を紹介してほしい」というご相談を当事務所で受けることがあります。

同じようなお悩み・疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。

このページでは、創業20年以上、地域随一の相続専門の司法書士事務所であるこん・さいとう司法書士事務所が、『【司法書士監修】相続土地国庫帰属制度の高承認率と新たな買取ビジネスの闇』について解説します。

このページが、相続した不要な土地の処分を検討しているあなたに役立つことが少しでもあればうれしいです。

相続土地国庫帰属制度の承認率94%は本当か?

令和5年4月27日から施行された相続土地国庫帰属制度。

相続した不要な土地を国に放棄できる制度として、いまも注目度が高いです。

制度開始から2年以上が経過し、承認率なども含めて、法務局の運用状況も見えてきました。

令和7年8月31日付法務省発表の速報値によると、制度開始から同日までに審査が終了した案件について次のような結果となっています。

件数を上げると次のようになります。

  • 審査が完了した累計件数2066件
  • 承認された事案1936件
  • 却下された事案63件
  • 不承認となった事案67件

このデータだけを見ると、まさに驚くべき承認率です。

普通の人なら「自分の相続したいらない土地も申請さえすれば国に放棄できるんじゃないか」と考えてしまいそうな結果です。

法務省の担当課長も「おおむね順調に運用され国庫帰属数も堅調に推移している(「家庭の法と裁判54|2025年2月号」)」とこの結果に自信満々です。

承認率94%のデータに裏は無いのか

確かに上のデータを見ると「相続した不要な土地に困っている相続人を救う素晴らしい制度だ」「大変喜ばしい結果だ」と言えます。

しかし、この数字をそのまま信用してよいのでしょか。私自身はこの結果には少し疑問を感じています。

と言うのは、相続土地国庫帰属制度の運用にあたって、現在、各地方の法務局では無料相談を受け付けています。

通常、法務局の無料相談は、たとえば「登記相談」などでは、申請書のチェックや個別具体的な相談までは応じてもらえず、一般的な内容にとどまるものです。

しかし、この相続土地国庫帰属制度の無料相談は「自分の不要な土地を国に引き渡せるか否か」という個別的な内容の相談も受けています。

相続土地国庫帰属制度の国の無料サービスはかなり充実したものです。申請書の書き方や添付書類が揃っているかなど、具体的な相談もできます。回数に限りはないので、何回でも相談できます。

事前相談は必ず受けなければならないわけではありませんし、ここで得られた回答が保証されるわけではありません。ですが、相続人として一番知りたいことは「申請したとして承認されるのか?」だけです。

もしこの事前審査で法務局から「無理です」と言われれば、その後、手数料まで支払って申請手続きをする人は誰もいないでしょう。

つまり、この事前審査で、国に放棄したい人の大部分は門前払いされているはずです。

実際、法務省のデータをみても、2025年5月末日時点での累計の事前相談者数は14000件超、同日時点での承認件数は1699件、としています。

つまり、事前相談者数をベース(分母)にして、承認率を再計算すると承認率はわずか12%となります。

事前相談で「大丈夫です」と言われた人が実際にはその後に申請手続きをするわけですから、承認率が高いのは当然のことと思えるのですが…。

境界不明の土地や山林は却下・不承認が多いというデータ

では、実際に却下や不承認となったケースは、どのような理由によるものなのでしょうか。法務省が公表しているデータを引用します。

※ 1つの事件で複数の却下の理由又は不承認の理由が認められる場合があります。

(1)却下件数
63件
(却下の理由)
・13件:現に通路の用に供されている土地(施行令第2条第1号)に該当した
・ 1件:現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地(施行令第2条第4号)に該当した
16件:境界が明らかでない土地(法第2条第3項第5号)に該当した
・ 6件:承認申請が申請の権限を有しない者の申請(法第4条第1項第1号)に該当した
34件:法第3条第1項及び施行規則第3条各号に定める添付書類の提出がなかった(法第4条第1項第2号)

(2)不承認件数
67件
(不承認の理由)
・5件:崖(勾配が30度以上であり、かつ、高さが5メートル以上のもの)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの(法第5条第1項第1号)に該当した
・32件:土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)に該当した
・2件:除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地(法第5条第1項第3号)に該当した
・2件:民法上の通行権利が現に妨げられている土地(施行令第4条第2項第1号)に該当した
・1件:所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(施行令第4条第2項第2号)に該当した
・8件:災害の危険により、土地や土地周辺の人、財産に被害を生じさせるおそれを防止するための措置が必要な土地(施行令第4条第3項第1号)に該当した
28件:国による追加の整備が必要な森林(施行令第4条第3項第3号)に該当した
・6件:国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地(施行令第4条第3項第4号)に該当した

法務省|相続土地国庫帰属制度の統計

却下されている63件のうち、16件が境界不明を理由としています。また34件が添付書面がなかったとしていますが、これは境界不明のために図面や写真が添付されていなかったことだと推測します。

不承認となっている67件のうち、28件が森林を理由とするものです。

境界が不明な土地や手入れのされていない山林などは、相続土地国庫帰属制度の利用で承認される確率は低そうです。

新たな買取ビジネスが蔓延|いらない土地を引き取ります

それでは、国も引き取らないような不要な山林や境界不明土地をどうすればよいのでしょうか?

いま相続人のこのような悩みにつけ込む「新たな買取ビジネス」がインターネット上で蔓延しています。国も下のように注意喚起しています。

買取ビジネスの仕組みと不透明さ

相続土地国庫帰属制度の国の承認要件を満たさないような土地について「不要な土地を買い取ります」という民間業者が多く見受けられます。

表面上は「買い取ります」とは言いますが、実際には手数料を支払わせて引き取るという「引き取りサービス」であることが多いです。

もちろん真っ当な業者もあるのかもしれませんが、そもそも国も引き取らないような土地を普通の民間業者が引き受けて、その後、その土地はどうなるのでしょうか。

たとえば、業者がそのような土地を引き取って、そのまま放置した結果その後に倒産、挙句の果てに第三者に損害を及ぼすに至った場合、その損害賠償責任は、前土地所有者のあなた自身におよぶ危険もあります。

ニュースでも話題になった「静岡県の盛り土事件」が記憶に新しいと思います。

宅建業法も及ばず、士業と提携している業者も

このような「不動産引き取りサービス」は「売買代金」を定めて業者が買い取っているわけではなく、実際には客から手数料を取って業者が不動産を引き取っているため宅建業法の規制が及ばず、法的な規制がありません。

客は「不要な土地を引き取ってもらえるなら」と手数料を支払うわけですが、その手数料があらたな原野(不要土地)の売買代金となっており、気づいた時には、別の不要土地を購入させられていた、という事例も報告されています。

また、手数料と称して高額な測量費や調査費用をだまし取られるケースもあります。

さらに、このような現実を何も知らない士業(弁護士や司法書士または行政書士など)と提携している引取り業者もおり「専門家から紹介されたから大丈夫」と安心していると不測の損害を被ることもあります。

当事務所では普通の不動産仲介業者が扱わないような不要土地の買い取り業者を紹介・斡旋することはありません。

「こん・さいとう司法書士事務所」が選ばれる理由

相続する財産に田や畑など不要な土地が含まれている場合、相続人としてどのように対応すればよいか悩むところです。

ホームページを見てのお問い合わせが多いのですが、まずは無料相談でお話をお聞かせください。

「こん・さいとう司法書士事務所」に相談をすることで上記のお悩みは解決

以上を踏まえまして、当事務所「こん・さいとう司法書士事務所」が、これまで多くの上記のようなお悩みをお持ちの皆様から、相続の相談・依頼先に選ばれている理由を以下にお伝えします。

  • 一般的な司法書士ではなく「相続専門」であるため、相続登記や遺産分割協議だけでなく、相続に関連する裁判所の手続き(遺言書の検認、遺言執行者の選任の審判の申立、相続放棄、不在者財産管理人、失踪宣告、遺産分割の調停の申立、相続財産管理人の選任など)にも精通しているため安心感がある
  • 「相続専門」だからこそ、個別の事例に応じた的確なアドバイスを貰える(不要土地を含む相続の手続きをどのように進めていけばよいのか
  • パートナー税理士と連携して相続税の申告や準確定申告にも速やかに対応してもらえる(国税出身の税理士がみなし譲渡所得税にも完全対応)
  • パートナー弁護士と連携して弁護士に依頼することにより他の相続人への交渉や、裁判手続きも対応してもらえる
  • 弁護士・法律事務所より割安な料金で、しかも弁護士より敷居が低く、相談がしやすい環境にある
  • ZOOMによるオンライン対応が可能なため、直接事務所に行けなくてもコンタクトが取りやすい
  • eKYCによるオンライン本人確認に対応しているため、遠方からも依頼ができる
  • 東京都中小企業振興公社(都内の中小企業を支援する東京都管轄の公的機関)の嘱託相談員であるため身分的な信頼感がある
  • 20年以上のキャリアがある司法書士2名(今健一・齋藤遊)体制の為、一般の個人事務所より迅速に対応してもらえる

相続手続きに関する相談先・依頼先を探されている方が、これらの点を1つでもメリットに感じていただくことができたなら、是非一度当事務所の無料相談をご利用ください。

ご相談お待ちしております! 左|司法書士 今健一  右|司法書士 齋藤遊

最後に|無料相談の連絡は今すぐ

こん・さいとう司法書士事務所は、遺産相続の手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で20年以上に渡って運営、相続問題・相続に関連する業務に取り組んできました。オンラインにより全国対応をしています。

このページでお伝えしたかったポイントは次の3点です。

  • 相続土地国庫帰属制度は国の無料サービスが充実しているので使うべき
  • 相続土地国庫帰属制度に乗じた「買取サービス」が蔓延
  • 「買取サービス」の実態に疎い専門家もいるので要注意

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