【2019年最新版】相続登記の登録免許税の免税措置はいつまで?

平成30年度の税制改革により、相続による土地の所有権の移転登記について、本来納めなければならない登録免許税が、期限付きで免税となる措置が定められました。

免税となるケースは全部で2つあるのですが、あまり周知されていない制度ですから、アナウンスの意味も込めて、本制度の内容を解説します。

総論|2つの相続登記の免税措置と制度趣旨

冒頭にも挙げた通り、今回の「相続登記の登録免許税の免税措置」が受けられるケースは全部で2つあります。根拠となる法律は、「租税特別措置法第84条の2の3」です。まずは、その概略と免税措置が設けられた背景・制度趣旨について解説します。

1、相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合

一言で言うと、相続登記が未了の土地について、さらに相続(数次相続)が発生している場合に適用があります。

個人が相続(相続人に対する遺贈を含む)により、土地を取得した場合において、その個人が相続登記を受ける前に死亡したときは、その死亡した個人名義にする相続登記は免税となります(租税特別措置法第84条の2の3第1項)。

確かに、その個人はすでに亡くなっている為、死人名義に相続登記なんてできるのか?が不思議に思えるかもしれません。しかし、不動産登記手続き上は、死者名義に名義変更をすることも認められています。

次に、死者名義にする相続登記を免税にして何の意味があるのか、です。いま政府は国を挙げて「所有者不明土地問題」に取り組んでいます。

「所有者不明土地問題」とは、不動産登記簿からは土地所有者が判明せず、または判明しても連絡がつかないために起こる問題を言います。

例えば、所有者不明土地が荒廃し近隣に迷惑を掛けていたり、所有者不明土地について震災等復興対策を施そうとしても、所有者に連絡が付かないために対処ができなくなってしまうのです。「所有者不明土地問題」は、2011年の東日本大震災の際に、復興の妨げとなりました。

そして、不動産登記簿上の所有者は死亡しているのに、その相続登記を放置していることが、この問題を生じさせる大きな原因の1つとされています。

そこで、税制としても相続登記を促進するため、長期間相続登記が未了である土地への対策として本制度を設けたと説明されています。

2、市街化区域外の土地で法務大臣が指定した土地のうち評価額が10万円以下の場合

下記でも詳しく説明しますが、「市街化区域外の土地で法務大臣が指定した土地」は、かなり限定されます。さらに固定資産評価額が10万円以下の土地ですから、山林や田、畑などが主となります(租税特別措置法第84条の2の3第2項)。

特に評価の安い土地については、手間暇をかけて相続登記をすることは躊躇されるため、免税措置を設けることにより、相続登記未了の土地を発生させないようにするのが目的と説明されています。

各論|相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合

それでは、免税措置がある2つのケースについて、もう少し詳しくそれぞれのケースを解説します。まずは、1つ目のケースです。

すでに上記の総論で説明したように、1つ目のケースは相続登記が未了の土地について数次相続が発生している場合に適用があります。少し分かりにくいので事例も挙げて詳しく説明します。

租税特別措置法第84条の2の3第1項

まず、根拠となる法律は以下の通りです。

【租税特別措置法第84条の2の3第1項】
個人が相続(相続人に対する遺贈を含む。以下この条において同じ。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成三十年四月一日から平成三十三年(著者注:令和三年)三月三十一日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さない。

免税となる数次相続のケースとは

免税を受けることができる数次相続のケースのイメージは次の通りです。

Aは平成10年に死亡して、土地はBに相続されています。しかし、AからBへの相続登記をしないまま、Bもまた死亡した場合を数次相続と呼びます。この場合に、未了となっているAからBへの土地の相続登記については、登録免許税が免税となる措置です。

Bに名義変更するといっても、B自身は平成30年に死亡していますから、実際にはこの相続登記はBの相続人であるCが行うことになります。その後BからCへ相続登記を行うことになりますが、こちらについては原則通り登録免許税がかかります。

なお、この事例において、最終的にこの土地を相続するのはCです。ですから、わざわざBにいったん相続登記をする意味はないとも言えます。確かに、不動産登記手続き上、Bを経由することなく、直接AからCに相続登記ができるケースもあります。その際には免税措置の適用はありません。数次相続のケースで、死者名義(B)に相続登記をするときに免税となるだけです。

数次相続が開始している場合に、直接現在の相続人(C)名義に相続登記ができるか否かは、非常に専門的な話になり、今回のテーマとは外れてしまう為、詳しくは相続手続きを専門としている司法書士事務所にお問い合わせください。

免税となるのは数次相続に限られない

上記の事例で、Aから土地を相続したBが、自分がなくなる前(例えば平成20年)に、甲に売却した場合も同じように免税措置の適用が受けられます(いわゆる相続物件の売却)。

この場合は、買主甲への名義変更の前提として、AからBへ相続登記を行う必要があります。そして、既に死亡しているB名義にする相続登記については免税となります。

また、この土地はBが生前に甲へ売却しているため、すでにBの相続財産ではなく、その結果Cが相続することはありません。

しかし、このようなケースは通常ありません。不動産取引の常識として、不動産を購入したらすぐに名義変更の登記をします。つまり、平成20年に甲がこの土地を購入したのであれば、平成20年の時点でAからBへの相続登記と、Bから甲への所有権移転登記は完了しているはずです。それらの登記をBが死亡する時(平成30年)まで放置しておくことは考えにくいです。

ただし、Aの死亡日、Bが甲へ売却した日、Bの死亡日の3つの日付が非常に密接した日であれば、このようなケースも起こるのかもしれません。

免税措置はいつまでか?

上に挙げた根拠条文にあるように、平成30年4月1日から令和3年3月31日までに申請する登記に限られます。

なお、当然のことではありますが、上に挙げた事例でいうと、AやBの死亡した日がこの期間内である必要はありません。平成30年4月1日から令和3年3月31日までに「申請」をすれば免税になるという意味です。

免税を受けるにはどうすればよいか?

登録免許税の免税措置の適用を受けるためには、免税措置の根拠となる法令の条項を申請書に記載しなければなりません。

具体的には、登記申請書の登録免許税を記載する箇所に「税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と書きます。

この免税措置を受けるために役所等で何か証明書を取得したりする必要はありません。

各論|市街化区域外の土地で法務大臣が指定した土地のうち評価額が10万円以下の場合

次に2つ目のケースをくわしく解説します。こちらのケースは、1つ目のケースのように数次相続だとか難しいことはありません。相続する土地の性質に着目して、要件をクリアしていれば免税となる単純なものです。

租税特別措置法第84条の2の3第2項

まず、根拠となる法律は以下の通りです。

【租税特別措置法第84条の2の3第2項】
個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の施行の日(著者注:平成30年11月15日)から平成三十三年(著者注:令和三年)三月三十一日までの間に、土地について相続による所有権の移転の登記を受ける場合において、当該土地が相続による土地の所有権の移転の登記の促進を特に図る必要があるものとして政令で定めるものであり、かつ、当該土地の当該登記に係る登録免許税法第十条第一項の課税標準たる不動産の価額が十万円以下であるときは、当該土地の相続による所有権の移転の登記については、登録免許税を課さない。

免税を受けるための3つの要件とは?

相続する土地が上記の法に定める3つの要件を全て満たしていれば、その土地の相続登記は免税となります。それでは登録免許税の免税措置を受けるための3つの要件とは何でしょうか?

1、土地の相続のケースで土地が市街化区域外であること

2、「1」の土地のうち、法務大臣が指定する土地であること

3、不動産の価額が10万円以下であること

この要件はどれか1つ満たしていればよいのではなく、3つすべてクリアしていなければなりません。この点は十分ご注意ください。

要件1|市街化区域外の土地

市街化区域外」の土地であることが第1条件です。そもそも「市街化区域」は、住宅をどんどん建てて住んでもいいですよ、という土地の事です。人が暮らす都市としての機能を有する区域のことです。

ということは、「市街化区域外」とは、住宅があまり建っていないような土地、となります。一般的には、山林や田、畑となりますが、市街化区域内にもこれらは存在することがあるので一概には言えません。

市街化区域外か否かを調べるために一番簡単で適確なのは、市町村の都市計画課に問い合わせることです。しかし、これを調べなくとも、次に説明する要件2に該当するか否かを調査すれば、自ずと要件1も調べたことになるため、要件2を調べる過程で必然性があるときに限って調査すればよいでしょう。

なお、言うまでもありませんが、建物の相続登記は免税措置の対象外です。

要件2|法務大臣が指定する土地

法務大臣が指定する土地は、各法務局のホームページに公示されています。東京であれば東京法務局、埼玉であればさいたま法務局のホームページにあります。

例えば「租税特別措置法 相続登記 ○○法務局」と検索すれば、この件に関するほぼ全国の法務局の情報が得られます。各法務局のホームページの構成は同じですから、「相続登記の登録免許税の免税措置について」というページの一番下にある「法務大臣が指定する土地」のPDFをダウンロードして該当するか否かを確認してください。

例えば新潟地方法務局のページはこちらです。
http://houmukyoku.moj.go.jp/niigata/page000386.html

例えば東京法務局のページはこちらです。
http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000698.html

要件3|評価額が10万円以下

根拠法令中にある不動産の価額とは、固定資産税評価額です。これが10万以下の場合だけ免税となります。

例えば、A地(評価90,000円)について相続登記を行う場合、評価額は10万円以下ですから免税となります。

次に、A地(評価90,000円)とB地(評価1,000,000円)について1つの申請書でまとめて相続登記を行う場合はどうでしょうか。A地の評価額は10万以下ですから免税となりますが、B地は10万円を超えていますので、B地部分については免税とはならず登録免許税がかかります。

このように複数の不動産をまとめて相続登記する場合には、評価額の合計額で判断するのではなく、1つの土地ごとに10万円以下か否かを判断していきます。

免税措置はいつまでか?

上に挙げた根拠条文にあるように、平成30年11月15日から令和3年3月31日までに申請する登記に限られます。

なお、当然のことではありますが、相続が開始した日(死亡日)がこの期間内である必要はありません。平成30年11月15日から令和3年3月31日までに「申請」をすれば免税になるという意味です。

免税を受けるにはどうすればよいか?

登録免許税の免税措置の適用を受けるためには、免税措置の根拠となる法令の条項を申請書に記載しなければなりません。

具体的には、登記申請書の登録免許税を記載する箇所に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と書きます。

この免税措置を受けるために役所等で何か証明書を取得したりする必要はありません。

市街化区域外の土地だけ免税措置の対象

免税措置が受けられないと登録免許税はいくらか?

今回の免税措置が受けられない場合、土地の評価額に対して、0.4%(1000分の4)の税率の登録免許税がかかります。登録免許税は、登記申請時に原則として収入印紙で納付します。

免税措置が受けられるかどうか分からないのですが…

このように相続登記の登録免許税の免税措置は2つあるわけですが、実際に自分に当てはまるか否か分からない、ということもあると思います。

1つ目の「相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合」では、そもそも数次相続にあたるのか判断できないということは非常に多くあると思われます。そして、仮に数次相続に該当したとしても、免税措置を使って死者名義に相続登記をする意味があるのか、直接現在の相続人へ相続登記はできないのか等々、専門的な知識や知見を有しないと判断は難しいと考えます。

ただし、2つ目の「市街化区域外の土地で法務大臣が指定した土地のうち評価額が10万円以下の場合」は、法務省の該当ページを調べるだけで判断が可能なので、比較的分かりやすいでしょう。

いずれにしても、判断に迷ったら、このような問題に強い、相続手続きに特化した司法書士にまずは相談されることをおすすめします。

ちなみに、当事務所では1つ目のケースも、2つ目のケースもどちらも取り扱い実績があります。

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私たちは、相続手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で約20年に渡って相続問題に取り組んできました。

このページでは、「【2019年最新版】相続登記の登録免許税の免税措置はいつまで?」についてお話ししました。

相続登記の免税措置には2つのケースがあることはお分かりいただけたでしょうか。

免税措置が受けられるか否かや、相続登記・相続手続きの進め方、相続登記・相続手続きの費用はいくら位かかるのか、どの位の期間で完了するのか、他にも様々な疑問があることと思います。

専門知識を有する私たちであれば、疑問にお答えできます。

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