【総まとめ|最新版】相続法民法改正はいつから?|経過措置も解説

2023年6月17日

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40年ぶりに民法の相続法が改正されました。けれども、いつから施行される(法が適用される)かについて正確に把握している方は少ないのではないでしょうか。

実は今回の改正法の施行時期は、経過措置まで含めて考えると非常に複雑なものとなっています。

そこで今回は、改正された民法の相続法がいつからスタートするかについてまとめてみました。

相続法の改正法の施行日は基本的に4パターン

まず、今回の相続法の改正(自筆遺言書の保管制度を含むものとします)の施行日について、大まかにいうと4つのパターンがあります。

①大原則は 令和1年7月1日より
②自筆遺言書の方式の緩和(968条、970条2項、982条) 平成31年1月13日より
③配偶者居住権(1028条~1041条)、遺贈義務者の引渡し義務(998条、旧1000条の削除)、撤回された遺言の効力(1025条但書) 令和2年4月1日より
④自筆遺言書の保管制度(遺言書保管法) 令和2年7月10日より

間違えやすい施行日

新しい制度に関するお問い合わせを多く頂戴しますが、施行日について間違って認識されている方がとても多いように感じます。

上記のように、今回の改正はすべてが同一の日からスタートするわけではないので、無理もないとは言えますが。

まず、大原則は令和1年7月1日より施行されます。しかし、上記の表の②③④は別の日から施行します。

すでに②の「自筆遺言書の方式の緩和」については、すでに新制度がスタートしています。

特に間違えやすい施行日は、上記の表③配偶者居住権、④自筆遺言書の保管制度の2つです。
配偶者居住権は、令和2年4月1日から施行。
自筆遺言書の保管制度は、令和2年7月10日から施行ですのでくれぐれもご注意下さい。

なお、上の表②③④以外の改正については、①の大原則通り、令和1年7月1日から施行されます。

さらに厳密にいうと経過措置もあるので要注意

改正法の施行日前に開始した相続については、旧法が適用されますので、改正法の適用はありません。これが鉄則です。

しかし、「平成30年法律第72号附則(改正法の附則)」に、特別の定めがある場合には、改正法の施行日前に開始した相続であっても、改正法が適用されます。これを経過措置といいます。

参考までに、「平成30年法律第72号附則」の規定を確認できるリンクを貼っておきます。
http://nomenclator.la.coocan.jp/ip/jsup/sup/h30-072.htm

そこで次に経過措置について説明をします。

経過措置|附則第3条|共同相続における権利の承継の対抗要件

令和1年7月1日前に相続が開始しても、令和1年7月1日以後にその承継の通知がされるときは改正法の適用があります(新法899条の2、改正附則3条)。

制度の詳しい内容は、「相続法の改正|法定相続分以上を相続したら要注意|民法899条の2」という記事にまとめてあります。

経過措置|附則第4条|配偶者への持ち戻し免除

令和1年7月1日以後に相続が開始しても、令和1年7月1日前にされた遺贈(遺言)や贈与については改正法は適用されません(新法903条4項、改正附則4条)。

令和1年7月1日前に持ち戻し免除の遺贈(遺言)を行っている場合には、改正法の適用を受けるために改めて令和1年7月1日以後にその旨の遺贈(遺言)をやり直す必要があります。

制度の詳しい内容は、「【2019年最新版】相続法の改正|配偶者への贈与 持ち戻し免除」という記事にまとめてあります。

経過措置|附則第5条|預金の仮払い制度

令和1年7月1日前に相続が開始しても、令和1年7月1日以後に仮払いの請求をする場合は、改正法の適用があります(新法909条の2、改正附則5条)。

制度の詳しい内容は、「相続法の改正|凍結した口座から預金を引き出す法(仮払い制度)2019年度版」という記事にまとめてあります。

経過措置|附則第6条|自筆遺言書の要件緩和

令和1年7月1日以後に相続が開始しても、令和1年7月1日前に作成された遺言書については改正法は適用されません(新法968条、970条2項、982条、改正附則6条)。

制度の詳しい内容は、「相続法の改正|自筆遺言書の要件緩和」という別の記事にまとめてあります。

経過措置|附則第7条|遺贈義務者の引渡し義務

令和2年4月1日以後に相続が開始しても、令和2年4月1日前にされた遺贈(遺言)については改正法は適用されません(新法998条、改正附則7条)。旧法998条が適用となります。

経過措置|附則第8条|遺言執行者の就任通知など

遺言執行者の通知(1007条2項)、遺言執行者の権限(1012条) 令和1年7月1日より前に開始した相続であっても、遺言執行者が就任したのが施行日以後である場合は、改正法が適用される。したがって遺言執行者は通知義務を負い、遺贈の履行も遺言執行者のみが行う。
②特定財産承継遺言(1014条2項から4項) 令和1年7月1日以後に相続が開始しても、遺言の作成日が施行日前であれば改正法は適用されない。この場合は遺言執行者は単独で登記等ができない。

制度の詳しい内容は、「【最新版】遺言執行者の権限強化|相続法の改正」という別の記事にまとめてあります。

経過措置|附則第9条|錯誤により撤回された遺言の効力

令和2年4月1日以後に相続が開始しても、令和2年4月1日前に錯誤により撤回された遺言については改正法は適用されません(新法1025条ただし書き、改正附則9条)。

経過措置|附則第10条|配偶者居住権

令和2年4月1日以後に相続が開始しても、令和2年4月1日前に作成された遺言書で配偶者居住権を遺贈する旨を記載していた場合、改正法は適用されません(新法1028条~1036、改正附則10条)。

制度の詳しい内容は、「いま知っておきたい配偶者居住権【司法書士監修】2019年度版」という別の記事にまとめておきました。

相続法の改正は施行日にも十分注意

このように、今回の相続法の改正は単に施行日を知っているだけではあまり意味がないことをお分かりいただけたでしょうか。

改正附則の規定までを考慮して、新相続法が適用されるか否かを慎重に判断しなければならないからです。

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このページでは、「相続法民法改正はいつから?|経過措置を含む最新版」についてお話ししました。今回の改正は多岐にわたり、そして身近なものが多いです。もう少し詳しい説明を聞きたいと思いませんか?

また、相続手続きをこれから始めるにはどうすればよいのか、費用はいくら位かかるのか、他にも様々な疑問があることと思います。

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