相続法の改正|特別寄与者の創設

今年の7月6日に、約40年ぶりとなる相続法大改正の法案が可決されました。

大改正と呼ばれているのは決して大げさではなく、その改正・新設項目は多岐に渡っています。

今回は、「特別寄与者」について取り上げます。

「特別寄与者」は、この度の改正で新しく登場する用語です。

一言で言えば、これまでの法律上の相続人だけでなく、「特別寄与者」も遺産をもらえるかも?という制度です。

遺産をもらえる人の範囲が拡大したということですね。

それでは詳しく見ていきましょう。

特別寄与者制度のポイント

どんな人が特別寄与者になれるのか?

亡くなった人と親族関係がある者に限られます。

もちろん亡くなった人の相続人は、当然に遺産をもらえますから、「特別寄与者」とは、相続人ではないけど、親族関係がある人、となります。

例えば、嫁(よめ)です。

姑(しゅうとめ)が亡くなった場合、その子(嫁の夫)は相続人になります。

しかし、嫁は相続人ではありませんので、どれほど姑の介護を一生懸命しても、遺産は受け取れません。

そこで姑と親族関係のある嫁を「特別寄与者」と呼んで、遺産を受け取れるようにしたのです。

ですから、姑と親族関係のない全くの赤の他人(たとえば友人やご近所さん)は、「特別寄与者」ではありません。

何をすれば特別寄与者になれるのか?

亡くなった人に対して、生前に無償で療養看護等をすれば特別寄与者になれるかもしれません。

「かもしれません」というのは、単にお世話をした・見舞いをした、というだけではダメなのです。

亡くなった人の遺産を維持・増加させるような特別なお世話であることが要件です。

「特別なお世話」とは、まさに程度問題であるので、証明することは難しいとされています。

 

遺産分割協議に参加できるか

遺産分割協議とは、亡くなった人の遺産分けを行う話し合いの事です。

遺産分割協議は、相続人同士で行います。

ですから、相続人ではない「特別寄与者」は、遺産分割協議に参加することはできないのです。

特別寄与者はどうすれば遺産を受け取れるか

特別寄与者は、遺産分割協議に参加することはできません。

では、どうやって遺産を受け取れるのでしょうか。

手続きは簡単です。

遺産を受け取った相続人に対して、お金の請求をするのです。

しかし、問題があります。

  1. いくら請求できるのか?
  2. 相続人がホイホイ支払ってくれるのか?

まず、「1」についです。

請求する金額の事を「特別寄与料」と呼びます。

「特別なお世話」をお金に換算するわけですね。

実はいまでも似たような制度があるのですが(寄与分制度)、お金に換算するという作業がとても難しいのです。

次に「2」についです。

性善説に立ちたい所ですが、相続の現場を見ている専門家としては、ホイホイ支払ってくれる相続人はまずいないでしょうね。

この場合、一定の期間内であれば、家庭裁判所に申し立てて解決することができます。

いつから制度がスタートするのか?

公布の日(平成30年7月13日)から1年内の日です。つまり具体的な日はこれから決めるとのことです。

相続手続き専門家による総評

実質的に遺産を受け取れる人の範囲が広がったことは喜ばしいことですね。

この制度によって、今まで一銭も受け取れなかった人が、利益を受けることになるかと思うと、本当に良かったと思います。

相続の現場を多く見ているからでしょうか。

人ごとですが、本当に嬉しいです。

しかし、特別寄与者が実際にお金を受けとるのは、かなりハードルが高いのではないか、と思います。

今後は、相続同士で行う遺産分割協議の中で、特別寄与者に分け与える特別寄与料も考慮した形で、話し合いが行われることになるのではないでしょうか。

いずれにしても、制度がスタートしたらすぐにご相談を受けそうな感じはしています。

制度の行く末を見守りたいと思います。