相続法の改正|続・遺留分に関する主な改正

40年ぶりの相続法改正。今回は、「続・遺留分に関する主な改正点」として、前回に引き続き遺留分を見ていきたいと思います。

実は、遺留分に関係する民法条文は、大幅な改正がありました。しかし、形式的な変更が多く、実質的な改正点はあまり多くありません。

今回は、「どのような生前贈与が遺留分侵害額の請求(改正前は遺留分減殺請求とよばれていたものです)の対象となるのか?」について、一般の方にもわかりやすくかみ砕いて記事にしてみました。3分で読むことができます。

遺留分侵害額の請求の対象となる生前贈与

遺留分侵害額の請求とは

「遺留分」とは、「相続分」とは異なる概念です。一定の相続人に対して与えられる、法律上最低限の取り分、とでも言えば分かりやすいでしょうか。

前回の「遺留分に関する主な改正点」という記事でも紹介した事例でもう一度考えてみましょう。

相続法の改正|遺留分に関する主な改正

例えばこのような事例です。

父が、長男二男に相続させたくないとして、愛人に対して、4000万円の不動産を生前贈与しました。父の財産はこの不動産だけとします。

長男二男が有する遺留分割合は、この事例では、4分の1ずつです。つまり、長男二男は4000万円の遺産中、各々4分の1ずつ(合計2000万円)は、法律上最低限の取り分として認められているのですね。

にもかかわらず、4000万円全部が愛人に生前贈与されている為、長男二男は自分達の遺留分2000万円が横取りされていることになります。

この横取りされている部分が「遺留分侵害額」です。長男二男は、遺留分侵害額2000万円を支払えというように、愛人に対して請求することができます。これを。「遺留分侵害額の請求」といいます。

請求の対象となる生前贈与とは

父が死亡する前の1年間にした生前贈与に限って、遺留分侵害額の請求の対象となります。1年間ですから結構短いですね。

ですから、父が死亡する5年前に愛人に生前贈与をした場合であれば、遺留分侵害額の請求の対象とはなりません。この点については、改正はありません。

改正民法1044条3項とは

では、何が改正されたかというと、愛人のような「第三者(父の相続人ではない人)」に対する生前贈与ではなく、長男二男のような「相続人」に対する生前贈与についてです。

父が4000万円の不動産を長男に全部生前贈与したという場合、二男は遺留分が長男によって侵害されます。ですから、二男は長男に対して遺留分侵害額の請求ができます。

改正前は何年前の贈与でも請求の対象だった

改正前は、相続人への生前贈与は、それが父の死亡何年前にされたものであっても、すべて遺留分侵害額の請求の対象でした。

つまり、父の死亡する20年前にされた生前贈与も、これによって二男の遺留分が侵害される限りは遺留分侵害額の請求の対象だったのですね。

改正によりどう変わったか

改正により、相続人への生前贈与は、父の死亡する前の10年間にされた生前贈与だけが遺留分侵害額の請求の対象になると改められました。

この点に関する改正法は平成31年7月1日より施行されます。

ちなみに改正法の条文は以下の通りです。

【改正民法1044条3項】
相続人に対する贈与についての第1項の規定の適用については、同項中「1年」となるのは、「10年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

まとめ

【遺留分侵害額の請求の対象となる生前贈与の時期】

1、愛人に対するモノ(第三者)→1年内だけ

2、相続人に対するモノ→10年内だけ

ご相談お待ちしております! 左 今健一 右 齋藤遊

相続手続き専門家から見た改正点

これまでは、相続人への生前贈与は、それが死亡の何年前にされたものでもすべて遺留分侵害額の請求の対象でした。

しかし、改正により「10年内」となりましたので、今まで以上に、生前贈与がなされた時期がシビアに判定されることとなります。

ですから、身内の贈与だからと言って口約束で済まさず、必ず「贈与契約書」を作成する必要があります。

また、「贈与契約書」を作っただけで安心せずに、名義変更(贈与による所有権移転登記)まで完全に終わらせておくべきだと思います。

遺留分について疑問点がある方は

これから遺言を作成しようとしている方、生前贈与を検討されている方は、遺留分について十分学習する必要があります。

分からないことは、専門知識を有する専門家に話を聞くのが一番ではないでしょうか。

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