【司法書士監修】不動産登記は相続があったらどうすればいいのか

2023年12月21日

書類の山
無料相談をしようか迷われる方がいらっしゃいましたら、無料相談のページでより詳細な内容をご案内しております。是非ご覧ください。

無料相談

被相続人(亡くなった方)が家や土地などの不動産を所有していた場合、相続人はどうすればよいのでしょうか。何か手続が必要となるのでしょうか。

具体的にどのような手続きで、必ずやらなければならない手続きなのか、期限はあるのか、費用はどのくらいかかるのか(無料でできるのか)、専門家に頼む必要はあるのかなど。

このページでは、創業20年の相続専門の司法書士事務所が「不動産登記は相続があったらどうすればいいのか」として、相続人であるあなたが、まず最初に考える悩みを解決するための情報を分かりやすくお伝えしていきます。

このような問題で悩んでいるかたの参考になれば幸いです。

相続があったら「名義変更(相続登記)」が必要です

結論からお伝えすると、不動産の所有者が亡くなった時には、必ず「名義変更(相続登記)」が必要となります。これには例外がないと言ってよいでしょう。

つまり、私ども登記の専門家の意見として、「名義変更(相続登記)」をやらないで済ます、省略できるケースは一般論としてまず考えられない、という結論になります。

ですから、不動産の所有者が亡くなったという場合、相続人のあなたが次に考えるべきことは「相続登記はどのようにやればよいのか?」として行動に移すことです。

まずは現在の所有者を正確に確認すること

「亡くなった父が所有者だと思っていたのに実は違った!」というケースは多いです。全くの他人が所有者だったということはまずありませんが、祖父や祖母が所有者だったというパターンはよくあります。

当事務所に相談される方の中にも「誰の名義になっているか不明」「亡くなった父と母が共有になっているかもしれない」など、正確に権利関係を知らない場合があります。

いずれにしても、「名義変更(相続登記)」を行う前提として、まずは現時点でその不動産の所有者が誰の名義で登記されているのかを調べる必要があります。

所有者はオンラインで簡単に検索できる

現在の所有者は、国が管理する「登記簿」に記録されており、誰でも閲覧等により調べることができます。

近くにある法務局へ行って、登記簿(登記事項証明書)を取得することもできます。また、オンラインで簡単に検索することもできます。

オンライン検索は「登記情報提供サービス(https://www1.touki.or.jp/)」を利用します。費用は掛かりますが誰でも利用することができるシステムです。

登記簿には現在の所有者を正確に記載する必要がある

不動産を相続したらなぜ相続登記が必要なのか。それは「登記簿には現在の所有者を正確に記載する必要がある」ためです。

すでに亡くなっている方が所有者だということは、普通に考えればおかしいことです。ですから、もし登記簿に記載されている所有者が死亡しているのであれば、相続人の名義に変更が必要になるという理屈なのです。

「相続登記はしなくても良いのではないのか」という疑問

そうは言っても「相続登記をしないで済ます方法はないか?」「相続登記はしなくても良いのではないか?」という疑問は無くなりませんよね。そこで次に、このようなことが可能なのかをお伝えしたいと思います。

現時点では「相続登記はしなくても良い」という結論に

現時点においては、民法や不動産登記法の中に「相続登記は絶対にやらなければならない」という法律はありません。ですから、相続が発生しても、相続登記を放置することは可能という結論になります。

ですから、例えば家族の中で父親が亡くなった場合に、あえて相続登記は放置して、その後に母親が亡くなった時にまとめて相続登記をするというやりかたも「現時点では」可能なのです。そして実際にそのような方法をとる方もいます(推奨はしていませんが)。

つまり「現時点では」相続登記は法律上義務ではないため、必ずしもやる必要はないと言えます。相続登記をやらなかった場合のメリットは、手間や費用をかけないで済む、ということになります。

相続登記をやらなかった場合のデメリットは計り知れませんので、この後にお伝えします。

「相続登記をやるとしていつまでにやるのか」という問題

相続登記をやるとしていつまでにやるのか、または、いつまでにやらなければいけないのか、という期間の問題があります。

こちらも「現時点では」法律上の期限はありません。ですから、相続が発生して3か月以内というわけでもなければ、3年以内というわけでもありません。いつまででも良いのです。

ただし、相続税が発生するようなケースは、相続登記まで実際にやるかどうかは別問題として、納税期限までに(10か月以内)誰が不動産を相続するかを遺産分割協議等で決めたうえで、税務署に申告する必要があります。

「どうせ売却するから相続登記は省略できる」という誤解

「不動産を相続してもそこには住まないため売却の予定がある」という方は結構います。「自分の持ち家があるので相続した不動産には住むことができない」とか、「遠方の物件なので住めない」などが主な理由です。

そこで「どうせ処分するのだから相続登記は省略できるのではないか?」という疑問があります。

すでにお伝えした通り「名義変更(相続登記)」をやらないで済ます、省略できるケースは一般論としてまず考えられないため、相続した不動産を売却・処分するとしても、名義変更(相続登記)を省略するということは手続き上できません。

この場合、まずいったんは故人から相続人の名義に変更した上で、その後に相続人から買主へ名義変更を行います。

つまり、直接故人から買主へ名義変更することは原則としてできません(理論上やり方はありますがあまり現実的とは言えません)。

もしあなたが相続放棄しているのであれば名義変更とは無関係でいられる

相続登記をやるとしても、あなたが家庭裁判所で相続放棄の手続きをしているのであれば、相続登記の手続きとは無関係でいることができます。

例えば、相続人が数人いる場合、一般的には相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で誰が不動産を相続するかを決めます。そして遺産分割協議書を作成して、相続人の全員が署名し、実印で捺印し、印鑑証明書を提出したうえで管轄の法務局で名義変更の手続きを行います。

しかし、もしあなたが家庭裁判所で相続放棄の手続きを行っているのであれば、名義変更に関与することはありません。

遺産分割協議に参加する必要もなければ、署名や捺印をする必要もありませんし、印鑑証明書を提出する必要もありません(その代わりに相続放棄をしたことが分かる証明書を裁判所に発行してもらいこれを提出する必要はあります)。

相続登記をしなかったらどうなるのか|そのリスクとペナルティ

上でお伝えしたように、「現時点」では相続登記は義務ではありません。しかし、今後、法律は改正されて制度の概要が大きく変わります。

相続登記は義務化され、罰則が適用に

国会による法律の改正により相続登記は今後義務化されます。これは予定ではなく、決定事項です。当事務所の別のページで詳しく解説していますが、ポイントは以下のようになります。

  1. 令和6年4月1日から相続登記は義務化される
  2. 3年以内に相続登記をしないと最高10万円の過料の制裁
  3. 令和6年4月1日時点で相続登記放置なら改正法の適用対象

つまり、今までは「相続登記は常識的にはやるものだが法律が強制するものではなかった」のですが、今後は「相続登記は常識的にも法律的にも必ずやらなければならないもの」と変わります。この点は重要ですから注意が必要です。

なお、すぐには相続登記ができそうもない事情がある場合には、令和6年4月1日以降であれば「相続人申告登記」という新たな方法を使うこともできます。この点も当事務所の別のページで詳しく解説しています。

また、その他の「相続登記の義務化の罰則を免れる方法」を別のページで詳しく解説しています。もしよろしければお読みください。

 

相続登記・相続手続きをしない場合のリスク

このように相続登記をしない状態が続きますと、今後は過料となる可能性があるため、かなりのリスクと言えるでしょう。

しかし、相続登記・相続手続きをしなかった場合のリスクはそれだけではありません。例えば次のような危険が生じる恐れがあります。

  1. 相続した不動産が競売される恐れ
  2. さらなる相続により相続人が増え遺産分割協議が不能になる恐れ
  3. 相続人の高齢化により認知症で意思確認が不能となる恐れ
  4. 登録免許税の優遇措置が受けられなくなる恐れ

これらの危険が現実化してしまうと、いますぐに相続登記をするよりも多くの費用を出さないと問題の解決ができなくなります。

つまり、相続登記は放置すればするほどそのリスクは増え、費用も増加するという結論です。

相続登記(名義変更)は国はやってくれない

さて、上でお伝えした通り、「名義変更(相続登記)」をやらないで済ます、省略できるケースは一般論としてまず考えられない、ということですが、「名義変更(相続登記」は自分でやらないといけないものなのでしょうか。国がやってくれないのでしょうか。

結論は次の通りです。

  1. 相続登記を国がやるということはない。
  2. 相続登記は自分でやる
  3. 相続登記を自分でできなければ専門家に頼む。

相続登記を国がやるこということはない、とは言うものの一部の例外はあります。しかしながらかなり特殊な場合なので、実際に国が代わりにやってくれる場合はほとんど無いと考えていただいてよいでしょう。

専門家に頼む場合は、司法書士に頼むことになります。相続登記を代行するためには国家資格が必要となり、唯一その資格があるのは司法書士であるからです。

相続登記の手続きの流れ

相続手続きの流れを簡単にお伝えします。次の通りです。

  1. 必要な書類を集める
  2. 相続登記の書類(申請書)を作成する
  3. 法務局に提出する

全部で3つの段階ですので誰でも出来そうではありますが、相続の内容によって具体的な手続きは細かく分かれます。大きくは遺言書があるかないかで変わってきますので、もう少し詳しく以下で手続きの流れをお伝えします。

遺言書がある場合の相続登記の手続きはシンプル

遺言書がある場合は、遺言書で指定された方が不動産を相続するだけです。相続人全員で協議したり、話し合いをする必要もありません。ですから、相続登記の手続きもシンプルと言えます。

しかし、遺言書には不動産以外の財産(預貯金・株・投資信託など)の分け方、割合なども書かれている場合が多く、単に不動産の名義変更をすれば終わりというわけではありません。不動産以外の財産も遺言書通りに分割する必要があるためです。

さらに単に不動産だけの相続の場合も「遺言執行者が不動産を売却した上でその売却代金を相続する(清算型遺贈)」のように、かなり特殊な手続きとなるケースもあります。

その意味では、遺言書がある場合はその内容に十分に注意しなければならないと言えます。

遺言書がない場合で法定相続分の通りに相続登記をする場合もシンプル

遺言書がなければ、法定相続分通りに相続登記をすることもできます。この場合は、特に「遺産分割協議書」を作る必要もありませんので、比較的シンプルに相続登記をすることができます。

もちろん「相続人同士の話し合いで法定相続分通りに相続することにした」というのであれば、あえて「遺産分割協議書」を作成してもかまいません。むしろ後々のトラブルを避けるためには、作成した方が良いとも言えます。

また、連絡のつかない相続人がいるような場合は、あなたが相続登記の申請人(手続きを行う人のこと)となって、連絡のつかない相続人の分も含めて、法定相続分通りに相続登記をしてしまうということも可能です。

しかし、この場合、相続登記後のその不動産を売却することは極めて困難となるので、事前に専門家に相談することをお勧めします。

相続登記は自分ですることも可能ですが、中途半端な知識で行うと、後で取り返しのつかないことにもなりますので十分注意が必要です。

遺言書がない場合で遺産分割の協議をする場合は面倒なことに

遺言書がなく、法定相続分通りには相続しないというケースであれば、相続人全員の話し合いにより、不動産を相続する相続人やその割合を決定する必要があります。そしてその結果を「遺産分割協議書」という書面にします。

遺産分割協議は相続人の全員で行わなければなりません。連絡が取れない人がいれば、探す必要があります。認知症の方がいれば、原則として裁判所で後見人を立ててもらう必要があります。

遺産分割に協力しないという相続人がいるかもしれません。この場合、遺産分割協議書を作ることは期待できませんから、家庭裁判所で遺産分割調停や審判(裁判)をする必要が出てくるかもしれません。

もちろんこのような特殊な事情がなければ、相続人の全員が遺産分割協議書に署名をして押印すれば、相続登記の手続きはスムーズに行えます。

相続登記に必要な書類|集め方

相続登記に必要な書類は、一般的に次のようなものがあります。

  1. 遺言書(ある場合だけ)
  2. 遺産分割協議書
  3. 故人の死亡から出生に遡る除籍謄本・改製原戸籍謄本
  4. 故人の住民票の除票(除附票・改製原附票)
  5. 相続人の現在の戸籍謄本
  6. 相続人の住民票
  7. 相続人の印鑑証明書
  8. 不動産の登記事項証明書
  9. 不動産の固定資産税評価証明書

どのような相続登記を申請するかによって、相続登記に必要な書類は変わってきます。必ずしも上にあげた各種書類を全で添付するというわけではありません。個別の事情によって変化します。

集め方ですが、印鑑証明書を除けば、相続人であれば誰でも請求・取得することはできます。管轄(住民票であれば住所地・戸籍であれば本籍地)を調べて、その所在地の役所に郵送で請求することも可能です。

例えば、同じ相続人であれば、兄が妹の戸籍謄本や住民票を代わって請求することも手続き上は可能となります。

集める書類が多いこともあると思います。多くなればなるほど手間もかかり、複雑になります。

相続登記の書類(申請書)|作り方

相続登記に必要な書類が揃ったら、次に相続登記の申請書を作ります。相続登記の申請書の作り方は、法務省のホームページに概括的な雛形があります。参考までにリンクを貼っておきます。

■法務省|不動産登記申請手続|不動産の所有者が亡くなった|https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/fudousan4.html

自分でできそうか

上でお伝えした法務省のホームページを見ていただき、自分でできそうかを判断するとよいでしょう。

自分でできそうになければ、司法書士にご相談・依頼をご検討ください。

相続登記を自分でやるとしても無料で済むことはない

相続登記の申請書には、収入印紙を貼る必要があります。登録免許税と呼ばれるものです。固定資産税評価証明書に記載されている評価に1000分の4を乗じた金額を計算し、登録免許税として収入印紙を貼付することにより納付します。

登録免許税は相続税とは関係がありません。

つまり、相続登記を自分でするとしても無料ですむということはなく、最低でも登録免許税はかかる、ということになります。

しかし、相続登記の登録免許税がかからないというケース(免税が受けられる場合)もあります。当事務所の別のページで詳しく解説していますので、ご確認ください。

「相続登記はやるなら早い方がよい」はホンネです

いかがでしたでしょうか。相続登記をしなかったらどうなるか?、理解できましたか。相続登記を放置している方にはそれぞれの事情があると思います。

現時点では相続登記には期限もありませんし、罰則もないので問題はありません。しかし、令和6年4月1日からは、期限も設けられますし、罰則もあります。

今後は相続登記をしないでいると、この罰則の適用を受けるだけでなく、他にも様々なリスクを抱えることになります。

「相続登記はやるなら早い方がよい」というのは決してセールストークではなく、これまで相続手続き専門の司法書士事務所として数々の事例に接してきた経験からくる本音と受け取ってください。

さいごに|いまなら無料相談が受けられます

私たちは、相続手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で約20年に渡って相続問題に取り組んできました。オンラインにより全国対応をしています。

このページでは、「【司法書士監修】不動産登記は相続があったらどうすればいいのか」と題して、相続手続き専門の司法書士の立場から、まさに今あなたが困っていることについて、知っておくべきことを解説しました。

このページでお伝えしたかったポイントは次の3点です。

  • 現時点では相続登記は期限もなくやらなくても罰則はない
  • 令和6年4月1日より相続登記は罰則付きで義務化となる
  • 相続登記の放置は「何もメリットがない」

現時点で相続登記を放置している方、相続登記をしたいが何から手を付ければよいか分からない方。とにかく遺産分割・相続の手続きから解放されたい方。ぜひそのような問題を解決する場面で私たち相続手続きの専門家をご活用いただければと思います。

専門知識を有する私たちであれば、疑問にお答えできます。相続問題に強い提携の税理士や弁護士もおりますので、全方向の対応が可能です。

いまなら毎週土曜日に面談(対面・非対面)による無料相談を実施しています。また無料相談は平日も随時実施しています。
お電話(予約専用ダイヤル042-324-0868)か、予約フォームより受け付けています。メールによる無料相談も行っております。いずれも無料ですが誠意をもって対応します。ご利用を心よりお待ちしております。

無料相談をしようか迷われる方がいらっしゃいましたら、無料相談のページでより詳細な内容をご案内しております。是非ご覧ください。