相続人の資格がはく奪されるケースとは

40年ぶりの相続法改正がされて、まもなく改正内容が施行されるものもあります。しかし、改正されない内容も当然あるわけです。

今回は、改正されない内容ですが、「相続人の欠格事由」について取り上げたいと思います。欠格事由とは、相続人たる資格を失う事由という意味です

さて、どのような事由に該当すると相続資格をはく奪されるのでしょうか。今回も一般の方向けに分かりやすく解説したいと思います。

相続権がはく奪される場合

相続する権利を失う場合として、民法という法律は大きく分けて2つの制度を用意しています。

  1. 相続欠格(民法891条)
  2. 相続人の廃除(民法892条~)

簡単に言うと、被相続人(故人)を殺害したなど、反社会的な行為をすると「相続欠格」となります。それに対して、相続欠格ほど反社会的ではないが、被相続人を生前に虐待したなどしたときは、「廃除」されることがあります。

今回は、「1.」の相続欠格を見ていきます。

相続欠格事由は5つある

相続欠格事由は全部で5つあります。どれも程度の差はあれ反社会的行為と言えるものばかりです。まずは、民法の条文がどのように規定しているか示します。

【民法891条】

1号 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

2号 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

3号 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

4号 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

5号 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

やはり、条文は分かりにくいですね。では1つずつ見ていきましょう。

民法891条1号

これは分かりやすいですね。殺人ですからね。殺人未遂も相続欠格となります。しかし、傷害致死は殺人の故意がない犯罪類型なので相続欠格とはなりません。「故意」は法律用語で、「わざと」という意味です。

民法891条2号

被相続人が殺されたことを知りながら、告訴・告発をしなかった者は相続欠格となります。身内が殺されているのに、警察等に言わないというのは反社会的ですね。

民法891条3号

遺言書を書こうとしている被相続人を、ダマしたり脅したりして妨害すると、相続欠格となります。タチが悪いですね。

民法891条4号

遺言書を書く気の無い被相続人を、ダマしたり脅したりして無理矢理書かせると、相続欠格となります。その努力をもっと他に向けられたらよかったのに…。

遺言書を捨てたら相続欠格です

民法891条5号

被相続人の書いた遺言書を、偽造したり、変造したり、破棄したり、隠匿したりした人は相続欠格となります。ただし、この点については有名な裁判例があります。

被相続人の書いた遺言書に押印が欠けていたので、遺言者の死後に相続人が代わって押印したというケースです。これは、本来なら遺言書の偽造・変造にあたります。

しかし、「遺言者の意思を実現する目的でなされたときは、その者は相続欠格に該当しない(最判昭56.4.3)」とされているので、相続欠格に該当するかどうかについては、その相続人の意志を問題としていると言えます。その意図が不正なものかどうかを実質的に判断するべきでしょう。

相続欠格事由に該当する人がいたら

当然に相続資格がはく奪されます。1号は「刑に処せられる」必要がありますが、その他の事由は裁判所の決定など、特別な手続きをしなくても、自動的に相続人としての資格はなくなります。

しかし、相続欠格に該当する人に子供がいれば、その子供が代わって相続することができます。これを代襲相続と言います。

また、相続資格がはく奪されるのは、その故人に関する相続資格に限られます。他の人の相続人になることはできます(1号のケースは法律上別の問題がありますがここでは割愛します)。ありとあらゆる相続資格がはく奪されるわけではないのですね。

左|司法書士 齋藤遊  右|司法書士 今健一

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