借金がある場合の遺産分割を丸くおさめる方法とは

私どもは相続手続きを専門としている司法書士事務所です。東京国分寺で事務所を開設してから、まもなく20年が経とうとしています。

その間、相続に関する様々なご相談を受けてきました。今回は、故人に借金がある場合の遺産分割のやり方について解説します。

遺産分割で債務を分けることはできるか

そもそも遺産分割とは

故人が生前有していた財産は、故人が死亡すると同時に相続人に承継されます。そして、相続人が2人以上いる場合は、その遺産は相続人の共有財産となります(民法898条)。

この共有状態となった遺産を、例えば土地は長男に、建物は二男に、というように相続人それぞれに分配することを遺産分割と言います。

遺産分割の方法

遺産分割の方法は3つあります。

1、遺言書で決めてあれば遺言書の内容に従う

2、遺言書がなければ相続人同士の協議による

3、協議が不調に終われば、家庭裁判所に申し立てる

「1」は、生前に故人が遺言書を作成してあり、その中で誰にどの財産を相続させるかを記載している場合です。遺言書の中で指定があれば(「指定相続分」と言います)、遺言書に従いますので、話し合いは不要です。

「2」は、遺言書が無い場合です。まずは、相続人同士で協議をします。

「3」は、協議が調わないか、協議をすることができない場合です。まずは、家庭裁判所へ遺産分割調停の申立をすることになります。

遺産分割協議に参加すべき者とは

遺産分割協議に参加すべき者は、相続人全員です。相続人中に行方不明の者がいるときは、法律上「不在者財産管理人」が行方不明者に代わって参加します。

不在者財産管理人は、家庭裁判所へその選任申立ての手続が必要となりますので非常にやっかいです。

また、相続人中に認知症の方がいる場合は、成年後見人が代わって参加します。成年後見人も、家庭裁判所へその選任申立の手続が必要となります。

相続人中にすでに死亡している者がいるときは、その者の子がいれば代襲相続人として代わって参加することになります。しかし、常にそのようになるかは事例によって異なりますので、専門家による診断が必要になります。

遺産分割についてその他の注意事項

遺産分割についてのその他の注意すべきことは、こちらに別の記事を書いています。もしよろしければそちらもご一読ください。

遺産分割協議|遺産分割調停

借金は分割できるか?

遺産分割協議によって故人の債務を分割することはできるのでしょうか。1つ具体例を挙げます。

【具体例】
亡父の借金が1億円。債権者はAです。相続人は長男と次男の2名です。長男と次男は遺産分割協議をして、長男だけが借金を相続するという遺産分割協議書を作成し、署名捺印しました。

1億もの借金を長男1人で相続するとは何ともかわいそうな話ですが…。それはさておき、このような協議が有効か無効かと言えば、「有効です」。

ただし、債権者Aに対しては、この協議の内容を主張することはできません。つまり、債権者Aが二男に対して5000万円の支払いを請求してきた場合、次男はこれを拒めないのです。

というのは、次の裁判例があるためです。

金銭債務は、被相続人死亡による相続開始とともに法律上当然に分割され、各相続人が相続分に応じて金銭債務を承継することとなる最判昭34.6.19 判時190・23

つまり、相続人間でこのような債務の遺産分割協議がされても、遺産分割協議に参加できない債権者Aからすれば、「そんな遺産分割協議は知らん」となるわけなのですね。

ですから、債権者Aは、法定相続分の2分の1にあたる5000万円分の支払いを依然として二男に求めることができるのです。請求された二男は法律上これを拒否できませんから、支払うしかありません。

二男が支払った後はどうなるか?

当然、二男は長男に対して5000万円を請求することができます(法律上は「求償できる」と言います)。遺産分割協議では、借金は長男が相続する約束なので、二男が支払うのはそもそもおかしいのですよね。

しかし、長男は二男から求償された5000万円を支払えるでしょうか?

そもそも債権者Aは長男に資力がないからこそ二男に返済を求めてくるのでしょうから、このような事態が生じる場合は、長男の資力に問題があるのが通常です。

借金がある遺産分割を丸くおさめる工夫

このような二男が長男に代わって債権者に借金を支払った場合、将来における求償のリスクを軽減するために、遺産分割協議書の中にあらかじめその対策を講じておくことが必要です。

たとえば、このような場合を想定して、予め長男の不動産に抵当権を設定しておく、または、求償債務について連帯保証人を立てさせるなどの方法があります。

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