相続法の改正|凍結した口座から預金を引き出す法(仮払い制度)

40年ぶりの相続法改正。

来年以降、順次、新制度がスタートするのですが、どうも消費税増税のニュースで存在感が薄まっているような気がします。

さて、今回は、「仮払い制度の創設(改正民法909条の2)」を考察してみたいと思います。

仮払い制度の創設

預金口座が凍結とは?

銀行が、口座名義人に相続が開始した事情を知った場合、誰が預金を相続するか決まるまで(遺産分割協議が終了するまで)、預金の引き出しに応じない状態のことを、「口座が凍結する」と言います。

つまり、銀行の立場からすると、

「相続人の皆さんで決めること決めてもらわないと、こっちだって、誰に払ったらいいか分かりませんよ」

という事なのでしょう。

ところで、銀行がどの時点で死亡の事実を知るのでしょうか?

一般的には、相続人側からの告知によって知ることになります。

逆に言えば、相続人側から銀行に知らせなければ、銀行が知ることはない、となります。

預金の引き出しについて、預金株式の相続手続きに関する詳しい記事はこちらになります。

預金株式の相続

預金口座が凍結するとどうなる?

銀行から預金の引き出しができなくなります。

窓口でもATMでも引き出しはできなくなります。

葬式費用の支払いの為だと主張してもダメ。

亡くなった人の医療費の支払いの為だと主張してもダメ。

亡くなった人の介護・施設費用の精算の為だと主張してもダメ。

つまり、相続人の相続分の主張として引き出しができないだけでなく、亡くなった人の費用の支払いの為だと主張しても、ダメなものは駄目だったのです。

これはあまりに杓子定規じゃないか、ということで今回の改正に至ったようです。

仮払い制度の新設された条文を読んでみよう

それでは、どのような規定が新設されたのでしょうか。

(遺産の分割前における預貯金債権の行使)
改正民法第909条の2 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。

う~ん、分かりにくいですね。

超訳してみます。

各相続人は、預金額の3分の1に自分の法定相続分を乗じた額までなら、個別に預金の引き出しができる。引き出した分は、最終的に自分の相続分に充当される。

細かいことには目をつむった超訳ですが、こちらの方が意味は通じるのではないでしょうか。

この金額より多く引き出すためには、遺産分割調停(遺産分割審判)の申立てが必要となります(改正家事事件手続法200条)。

相続手続き専門家による総評

この仮払いは、原則的には、相続人が個別に金融機関に対して求めることができるので、便利ですね。

しかし、仮払いを受けた相続人が、後日の遺産分割協議で遺産を全く相続しないとなったら、他の相続人は、仮払いを受けた相続人に対して、すでに受領した仮払い分の返還をどう求めていくのでしょうか?

考えただけでも恐ろしくなりました…。

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