【司法書士監修】寄与分はいくら?|高齢者を介護した場合

寄与分とは、いわばボーナスです。相続人の中に、故人の財産の維持または増加に特別の貢献をした者があれば、その者は、受け取る相続分に「寄与分」を加えたものを相続することができます。

寄与分には法律上色々なパターンがあります。今回は、「療養看護型(故人に対する療養看護)」を考察してみたいと思います。

高齢者を介護した相続人に寄与分が認められるための要件とは

まず、大前提として故人が病気療養していた事実が必要です。なぜなら、相続人が介護して初めて寄与分が認められる、というパターンですからね。

ただ単に故人と同居し、または同居しなくとも故人宅へ通って家事を援助した程度では、寄与分は認められないでしょう。

寄与分が認められるためには「特別の寄与(分かりやすく言えば「貢献」)」が必要なのです。具体的には次の要件があると考えられています(以下の要件は「家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務(日本加除出版株式会社)」に準拠しています)。

1、療養看護の必要性

「故人が看護を必要とする状態であったこと」「近親者による介護を必要としていたこと」が要件です。具体的には、要介護2以上であることが基準となっています。

また、要介護2以上であっても、完全介護の病院に入院しているような場合は、「近親者による介護を必要」とはしていないわけですから、このパターンによる寄与分は認められません。

しかし、完全介護の病院代を立て替え払いしていれば、別の寄与分のパターン「金銭出資型」を主張することができます(立て替え払いの医療費や施設入所費は必ずしも寄与分と言う形でなく単に遺産からの支出を検討することもできますが…)。

2、特別の貢献

故人と相続人との身分関係に照らして、通常行われる程度を超える貢献が必要となります。上記にもありますが、単なる家事手伝いでは難しいでしょう。

また、一定の親族には法律上当然に扶養義務があります(民法877条)。ですから扶養義務の履行として介護をしていた場合は、寄与分は認められません。

3、無償性

介護が無報酬で行われれていること。対価を受け取っていれば、寄与分は認められないでしょう。

4、継続性

実務上は、介護が1年以上継続してはじめて寄与分が認められることが多いようです。ただし、民法上明確な条文はありませんから、個別的に判断されます。

5、専従性

介護の内容が片手間なものではなく、かなりの負担を要するものであることが要求されます。ただし、「専業」「専念」していることまでは要求されません。

結局介護は家庭内での話なので、いざ寄与分を主張しても、どの程度の手間暇がかかったのか明確にならないことが多いようです。看護内容の記録や、日記程度のものであっても、後々どの程度苦労したのか、他の相続人に分からせるための証拠が必要となってきます。

療養看護型の寄与分は実際いくらと見積もれるのか

一応の計算式はあります。実務上よく用いられる計算式はこちらです。

介護報酬基準額×介護日数×裁量的割合(0.7~0.8)

まず、「介護報酬基準額」ですが、介護保険における「介護報酬基準額」のことです。介護種別ごとに報酬額は定めがあります。

  • 要介護1→4,020円
  • 要介護2→5,840円
  • 要介護3→5,840円
  • 要介護4→6,670円
  • 要介護5→7,500円

これに、実際の「介護日数」を乗じます。介護日数を、15年、20年と主張する例も少なくないようです。しかし、そのような古い時期の介護の主張により、故人の財産の維持または増加にどれほどの貢献があったのか、となり、日数通りの寄与分は認められないと考えてよいでしょう(「弁護士専門研修講座 相続・遺言(ぎょうせい)」)。

最後に、「裁量的割合」を乗じます。「介護報酬基準額」は、資格者への報酬を前提とした金額ですから、一般人が受ける報酬額はそれよりも低額だろうという意味です。実務では0.7~0.8としています。

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寄与分は誰が決定するか

では具体的な寄与分の金額は誰が最終的に決定するのでしょうか。次の順番となります。

① まずは相続人の協議で決定する
② 協議が整わないときは、家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立てる
③ 調停が整わないときは、「遺産分割審判」で決定する

どれくらいが相場か

①も②も基本的には相続人の合意によるので、合意があればその額です。問題は話し合いが完全に決裂して③となった場合です。

裁判所による寄与分の評価方法には2つあります。

  1. 絶対的評価→領収書や計算式の金額をそのまま寄与分の額とする評価方法です。
  2. 相対的評価→遺産全体に対する貢献度を割合に置き換えて評価する方法。

現在の裁判実務では、「2」によることが多いとされています。例えば、「寄与分は遺産3000万円のうちの10%」といった具合です。

これによると、結局故人のために実際に立て替えた費用すら回収できないという事例もあるようです。寄与分が遺産の50%も認めれらることはまずなく、良くても20~30%と言われています。

個別の事例によってまちまちですが、過去の裁判例では、4%しか認められないケースもあります。いずれにしても、明確な基準が無く、裁判所の裁量によるところが多いため、主張通りの寄与分はまず認められないと考えるべきでしょう。

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