不動産登記情報の更新|2020年法案提出予定か【司法書士監修】

2022年7月7日

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いま政府は所有者不明の土地問題解消に向けて着々と準備を進めています。
2019年2月に政府主導の「登記制度・土地所有権の在り方等に関する研究会」が最終報告をまとめ、公表されました。
今後、政府はこれをたたき台にして2020年の臨時国会へ法案を提出する予定です。
今回は最終報告書にある「不動産登記情報の更新等」の制度を解説します。

不動産登記情報の更新等とは

戸籍や商業登記などから最新の情報を取得して、これを不動産登記の登記記録に反映させて情報を更新することです。
簡単に言うと、登記所が職権で登記情報を更新していくシステム
これにより、これまで当事者の申請を待って行っていた住所変更登記や相続登記を登記所が職権でやってくれるため、当事者の負担は減ります。

不動産登記情報の更新を登記所が職権でやる必要性とは

現在の不動産登記制度では、相続により所有権が移転した場合や、所有者に住所変更・氏名変更があっても、その登記をするか否かは当事者の意思にゆだねられています。

そのため、登記記録上の情報と実際の最新の情報に不一致が生じることがあり、これが所有者不明土地が発生する原因の一つと言われています。

そこで、不動産登記情報と実際の最新の情報の不一致をなくすため、登記所自らが個人の戸籍情報や商業登記情報を取得して、これを適時に不動産登記に反映させる必要があるとのことです。

不動産登記情報の更新を法務局が行う場合の手順は

おおざっぱに言えば、例えば役所に「転居届」を提出すれば、その者が所有する不動産について「住所変更登記」が自動的に職権で登記されるという仕組みです。
口で言うのは簡単ですが、実現への手順は険しそうです。

登記所が個人情報を収集

死亡情報や住所情報などの個人情報を登記所に公開するにあたって、本人をどのように関与させるべきかには注意すべきであると指摘されています。

しかし、以前に別の記事でも書きましたが、2024年頃から、各自治体で管理していた戸籍謄本に関するデータを法務大臣の下で一括管理する予定となっています。
そうであるなら、法務大臣が一元管理するこのデータを登記所が丸ごと利用できるようにするのはそれほどハードルの高くないことでしょう。

ちなみに、「速報【司法書士監修】相続時の戸籍謄本が1カ所で請求可能に」という記事です。

登記所が個人情報と登記情報を紐付け

このようにして登記所が集めた個人情報と、登記所がもともと把握している情報を紐付けします。
と言っても登記所が現時点で保有している情報は、登記事項でもある「氏名(法人の場合は会社名)と住所」だけです。

なお、法務大臣が一括管理する予定の戸籍情報はマイナンバーとの紐付けはしないとの予定なので(上記「速報【司法書士監修】相続時の戸籍謄本が1カ所で請求可能に」より)、不動産登記情報もマイナンバーとの紐付けはされないのでしょうか。

また、いつの時点で登記所が個人情報を収集したり、紐付け作業を行うのかという点も問題とされています。
本人より新たな登記申請がされるのを待ってはじめて個人情報収集・紐付けするのか、それとも、これを待たずに紐付け作業までやってしまうのか。

新たな登記申請を待つこととする場合は、新たな登記申請がされるまで数十年の期間を要する不動産も存在しますから、すべての不動産登記情報との紐付け作業が終わるのは通い将来の話となってしまいます。

反対にこれを待たずに紐付け作業まで行うと、作業は膨大であり、その過程で人為的なミスが起こる可能性もあります。

登記所が不動産登記情報を職権で更新

紐付け作業まで終わると、例えば「▲▲が転居」という新情報がもたらされれば、これに基づき登記所は職権で不動産登記情報を更新していくことになります。

不動産登記情報を更新するための手続き

登記所が取得した新情報にもとづいて、どのような手続きを経て更新するべきかという問題もあります。
もちろん登記所の職権で行われるわけですが、本人に何の知らせもなくするのは適当ではありません。
そこで2つの案が提示されています。

事前に通知

変更された情報を探知した登記所が、登記名義人に対して当該情報を変更する旨の「事前の通知」を行い、これに異議がない場合には職権で当該情報の変更の登記を行うというやり方です。

しかし、この案に対しては、いちいち事前に確認するのでは事務が煩雑になって費用対効果が悪いとの指摘があります。

事後に通知

変更された商法を探知した登記所から登記名義人への事前の通知は行わず、職権により当該情報の変更登記を行うこととし、変更の登記をした旨を事後に通知するというやり方です。

この案に対しては、事前に本人に確認させた方が間違いが少ないのではないかという指摘や、個人情報の管理は当該個人に委ねられるべきで登記所が当然に利用するのはおかしいとの批判があります。

私たちが最後まで担当させて頂きます。
左|司法書士 齋藤遊  右|司法書士 今健一

不動産登記情報の更新等の制度は実現するか

すべての登記が登記所の職権でなされることはありません。

また、相続登記を登記所の職権行うということも実現は難しいと考えます。
しかし、「住所の変更」や「氏名の変更」であれば、個人情報と登記情報の紐付けさえうまくいけば実現は難しくないでしょう。
現にこの最終報告書でも住所変更登記は積極意見が多いようです。

さらに、登記名義人が法人であれば、すでに実際されている「会社法人等番号」と不動産の登記情報を紐付けさせるだけですから、比較的簡単に制度が実現しそうです。

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