遺産の生前の不正使用について

相続手続きを専門に扱っていますと、様々なお悩みを聞いたり、ご相談を受けたりすることがあります。

中でも、故人の預貯金を生前に相続人の1人が勝手に引き出していた、という話はとても多く耳にします。

今回は、「遺産の生前の不正使用」について取り上げます。

遺産の生前の不正使用の解決方法

正直に言いますと、遺産の生前の不正使用の解決は、われわれ実務家においても非常に難しい問題の1つです。

何が難しいかというと、本当に不正使用と言えるかどうかが分かりにくいのですね。

例えば、不正使用が疑われる相続人は大抵の場合、故人と生前同居していた親族です。いざ遺産分割の段階となり、銀行預金通帳や取引明細を他の相続人が見て、どうもお金の動きが不自然ではないか、となるわけです。

しかし、同居の親族からすると、故人から預金の引き出しを頼まれただけかもしれませんし、買い物などの補助をしただけかもしれません。日常的に当たり前のようにしていた行為が、同居していない親族からすると怪しく感じられるわけです。疑心暗鬼を生ずるのですね。

疑われないように使途は明確にすることが肝心

遺産分割とは別の問題

そもそも遺産分割は、故人が亡くなる時点で有していた財産をどのように分けるかという問題です。

ですから、生前の不正使用は遺産分割の問題とは別個の問題とされています。したがって、原則的には、遺産分割協議の中で不正使用の問題を解決することはできないという理屈になります。

生前の不正使用にもいくつかのパターンが

遺産の生前の不正使用については、それだけで実務家向けの様々な本が出版されている位、奥の深いテーマです。したがって、個々の事例によって考慮しなければポイントも違ってきます。

この記事は一般の方向けのものですから、理解しやすい3つのパターンをあげます。

1.故人の療養費や医療費などに使用

このような使い方は不正ではありませんね。問題ない支出です。「不正使用」にはあたりません。領収書などでその金額が明確であればなおさらです。

2.生前贈与とみとめられる場合

故人はすでに亡くなっているので、証明はやや難しいものの、故人の了解のもと、その預金を、引き出した相続人自身の生活費等に使っていれば、法律上の「特別受益(生前贈与)」にあたる可能性があります。

「特別受益」にあたるのであれば、この金額を考慮して遺産分割ができます。

3.勝手に引き出している場合

故人の了解もなく勝手に引き出している場合、故人の了解があったかどうか不明な場合、使途が不明な場合等は、一般論として「不正使用」にあたる可能性があります。

不正使用の時どうすればいいか?

不正使用は遺産分割とは異なる別の問題です。この場合、他の相続人は、不正使用が疑われる相続人を被告として「不法行為による損害賠償請求訴訟」または「不当利得による返還請求訴訟」を提起するのが最終的な解決方法です。

遺産分割とは切り離して、これらの別の裁判を起こすという意味です。なお、遺産分割調停を裁判所に申し立てても、遺産分割調停では不正使用を考慮することはできませんので、現在ある預貯金を前提として遺産分けを行うのが原則です。

不正使用については、奥の深いテーマですからまた別の機会に記事を書きたいと思います。

遺産分割で困ったら

不正使用があっても、お互い裁判まで起こしてもめたくないのであれば、遺産分割協議を工夫することにより解決できるかもしれません。

このような遺産分割でお困りであれば、相続手続き専門のこん・さいとう司法書士事務所にご相談ください。

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