【司法書士監修】上場会社の株式を相続したら|手続き解説

2023年5月31日

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故人(被相続人)の遺産に株式が含まれている場合は、相続人の中で誰が株式を相続するかを遺産分割協議で決定した上で、株式を管理している証券会社等に対して相続の手続きを行う必要があります。

不動産や預金の手続きと同様に面倒で時間のかかる手続きです。また、株式にも公開されているもの(上場株式)と公開されていないもの(非上場株式)があり、これによっても手続きの方法が違います。

このページでは、上場会社の株式の相続手続きについて解説していきます。

株式の保管先によって相続の手続き先が異なる?

被相続人の相続財産中に上場会社の株式がある場合は、その相続手続きが必要である旨は上記で説明したとおりです。それでは、どの機関に対して手続きを行えばよいのでしょうか。この点については大きく分けて次の2つに分けて説明することができます。

証券会社で相続手続きを行わなければならない場合

現在ある多くの株式は、被相続人が生前に特定の証券会社に開設した振替口座で管理されています。ですから、相続手続きを行うべき機関も、証券口座を開設している証券会社という事になります。ほとんどのケースはこちらにあてはまります。

信託銀行で相続手続きを行わなければならない場合

平成21年1月5日に法が改正されて、従来の株券は電子化されました。株券が電子化されるという意味は、以後は上場株式については株券を発行せず、株式に関する権利については振替口座により電子的に管理するという事です。

株券が電子化されるまでに証券会社へ株式を預け、証券口座を開設していた方はその証券口座で上場会社の株式は管理されます。反対に株式が電子化されるまでに証券会社へ株式を預けず、証券口座を開設していなかった株式は、その発行会社が信託銀行(みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、UFJ信託銀行などが多いです)に開設した特別口座で管理されています。

したがって、上場会社の株式であっても、証券会社に口座を開設しておらず、信託銀行が保管しているものであるときは、その信託銀行に対して相続手続きを行わなければなりません。通帳と一緒に古い株券が出てきた場合などは、こちらに該当することが多いです。

どちらで手続きをすればよいか分からない場合は

以上のように説明しましたが、相続人として証券会社で相続手続きを行うべきか、信託銀行で相続手続きを行うべきか分からないことも多いと思います。

そのような場合は、故人宛の郵便物を探してみることをおすすめします。もし証券会社に口座があれば、毎年証券会社より「運用実績」のような書類が送付されているはずです。

反対に、証券会社に口座が無い場合は「◯◯信託銀行」から保有株式に関する配当金のお知らせなど、何かのお知らせの郵便物があるはずです。つまり、故人宛の郵便物がどこから発送されているかによって、故人の株式がどこで保管されているかを知ることができます。

株式はどのように相続できるのか

それでは、次に株式はどのように相続できるのかを解説します。株式も財産的な価値があるため、不動産や預金と同様にして相続することになります。しかし、不動産や預金とは扱いが異なる点もあり注意が必要です。

お金で相続することはできない

相続人が投資に興味がなく、株式ではなくお金で相続したいという希望もあるでしょう。そのような場合、例えば証券会社(または信託銀行)において株を換金してもらい、そのお金を相続することはできるのでしょうか。

現在のところ、そのような扱いはありません。故人が株式を保有していた場合、相続人は一度は株式の状態のままで相続するしかありません。もちろん相続人が株式を相続した後、その株式を処分してお金に換金することは自由です。

証券口座がなければ新しく開設する

以上のように、被相続人の株式は証券会社が保管していようと信託銀行が保管していようと、一度はそのまま株式として相続するしかありません。もし相続人がすでに証券会社に証券口座を保有しているようであれば、その口座へ株式を移管してもらうことができます。

反対に、相続人の名義での証券口座が無ければ新しく口座を開設した上で、その口座へ被相続人の株式を振り替えてもらうことになります。

株式は共同でも相続できる

相続人が2人以上いる場合、株式を共同で相続することも可能です。そのような場合は、誰が何株相続するのかを書類上(遺産分割協議書や証券会社等に提出する相続手続依頼書等)で明らかにしなければなりません。

たとえば、「〇株式会社の株式を、相続人Aは500株、相続人Bは500株、共同で相続する」ような形になります。もちろんこのような場合は、株式を相続するAもBも両方が口座を保有していなければなりません。

株式は単独で相続し売却した上で分けることもできる

また手続き上は面倒な方法になりますが、一度相続人の1人が株式を単独で相続した上で、その相続人が相続した株式を換価処分し、換価代金を相続人が相続するという方法もあります。

換価分割、代償分割と呼ばれる方法ですが、税務上の注意点がありますので、税理士のアドバイスを受けた上で行うと良いでしょう。当事務所には提携の税理士がいますので、当事務所であればご提案が可能です。

株式の相続の手続きのやり方

どの機関で相続手続きを行えばよいかが分かったところで、次に具体的な上場会社の株式の相続手続きについて解説していきます。特に、必要書類を集めるのは手間も時間もかかりますので、相続人では難しいと判断した場合は、速やかに専門家に依頼することをおすすめします。その場合は、残高証明書の依頼からすれば良いでしょう。

まずは残高証明書をとる

最初に証券会社等へ相続が開始したことを知らせて、「相続手続依頼書(名称は金融機関よって異なります)」を取り寄せます。そして残高証明書の発行を請求します。残高証明書は相続手続きに必須のものではありません(遺産が多く相続税の申告が必要となる場合だけ必須です)。

しかし、株式に限らず故人の財産を正確に把握できる方は経験上そう多くはありません。相続財産の計算を誤ると今後の遺産分割協議にも悪影響を及ぼします。ですから、できるだけ正確に遺産を把握する意味においても残高証明書は必ず請求するようにしましょう。

残高証明書は相続人中のひとりからでもできます。遺産分割協議が終わってなくともできます。相続人全員が揃って請求するものではありません。残高証明書を請求する時の添付書類ですが、請求者となる相続人の方の印鑑証明書、戸籍謄本、被相続人の除籍謄本などです。金融機関によって異なる場合もありますから、請求にあたっては金融機関へ直接お問い合わせください。

相続手続きに必要な書類を集める

残高証明書を取得したら、被相続人の株式を相続する権利を有する法定相続人を調査します。そして法定相続人全員の協議で、誰がどのような割合で株式を相続するのかを決定します。これを遺産分割協議と言います。また、遺言書がある場合は、遺言書に記載のある通りに株式を相続します。ここでは、遺産分割協議によって株式を相続する場合の必要書類について説明します。

1 相続手続依頼書 名称は金融機関よって異なります。金融機関に提出する所定の様式があります。
2 戸籍謄本または ①亡くなられた方の出生から死亡までの連続したものおよび

②相続人全員の戸籍謄本

法定相続情報一覧図 法務局で発行されたもの
3 遺産分割協議書 相続人全員が署名・押印したもの
4 印鑑証明書 相続人全員の印鑑証明書

戸籍謄本の取得方法などにつきましては、別のページで詳しく解説しています。

また法定相続情報一覧図についても、別のページで詳細な解説をしました。

なお、遺産分割協議(話合い)ではなく、家庭裁判所による調停・審判を受けた場合には、上記の表にある「2戸籍謄本または法定相続情報一覧図」「3遺産分割協議書」「4印鑑証明書」にかえて、「審判書および確定証明書」または「調停調書」を提出します。

証券口座を保有していなければ開設する

上記で説明したように、株式は証券会社等で換金の上相続することはできず、いったん株式をして相続することになります。しかも、現在上場会社の株式を「株券」を手渡しで受け取る形での相続もできないため、株式を相続するためには、証券会社で口座を開設しなければなりません。

すでに証券口座を保有している方はそちらの口座に移管してもらえます。口座を持っていない方は、あたらしく証券口座を開設する必要があります。

証券会社等に提出する

書類がすべて揃ったら、株式を保管している証券会社等へ書類を提出します。書類の提出は郵送で受け付けているところがほとんどです。直接窓口へ持参しても対応してもらえます。窓口へ持参するメリットは、遺産分割協議書・印鑑証明書・戸籍謄本等の原本をその場でコピーした上で返却してもらえる点です。

他にも相続の手続きをしなければならない金融機関等がある場合は、迅速にそちらの手続に着手できるため、手続きを急いでいる場合は検討してみる価値があるでしょう(コロナ禍においてはあまりお勧めできませんが)。

通常であれば数週間もあれば株式は相続人名義の口座へ振り替えられて手続き終了となります。しかし、書類に不備あると手続きは中断し、完了時期も大幅に遅れます。

上場会社の株式の相続手続きは難しいのか?

上場会社の株式の相続手続きは、必要となる書類が多くなるため自分ですることは難しいこともあります。もちろん相続財産が上場会社の株式だけであれば、他の財産の相続手続きを考慮することなく進めることができますから、それ程負担に感じないかもしれません。

しかし、一般的には、上場会社の株式を被相続人が保有していたという事は、生前に資産形成に積極的であったと思われますから、株式以外にも多数の財産がある場合がほとんどです。そして相続財産が多い場合には、期限内に相続税の申告と相続税の納付をしなければならないので、1つ1つの相続手続きをできるだけ早く終わらせる必要も出てきます。

いずれにしても、遺産の中に上場会社の株式があって、その相続で迷ったら当事務所にご相談ください。自分自身の判断で話を進めるよりも、まずはこのような問題に詳しい相続手続きの専門家に相談し、最適な方法のアドバイスを受けるようにしましょう。

ご相談お待ちしております! 左|司法書士 今健一  右|司法書士 齋藤遊

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私たちは、相続手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で約20年に渡って相続問題に取り組んできました。

このページでは、「【司法書士監修】上場会社の株式を相続したら|手続き解説」と題して、相続手続き専門の司法書士の立場から、上場会社の株式の相続に関して知っておくべきことを解説しました。

特に相続手続きに必要な書類をすべて集めるのが一般の方にとっては時間と手間がかかり、難しいかもしれません。ぜひそのような問題を解決する場面で私たち相続手続きの専門家をご活用いただければと思います。専門知識を有する私たちであれば、疑問にお答えできます。

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