相続法の改正|遺言執行の妨害について

2023年6月17日

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40年ぶりの相続法改正ですが、遺言の執行に関する部分についていくつかの変更がありました。

今回は、遺言の執行に関する変更点をお話しします。これは専門知識を持たない一般の方向けの記事ですから、みなさんに関係がありそうな変更点を取り上げたいと思います。

まずは、「遺言の執行とは何か」について知っていますか?

遺言の執行とは何か

遺言書に書かれた内容の中には、死亡と同時に効力が生じて、特別の手続を必要としないものはあります。

たとえば、相続人それぞれの相続分割合を指定したり、一定期間の遺産分割を禁じたりすることなどは、その内容を実現するために特別の手続はありません。

しかし、死亡して遺言の効力が生じても、その内容が当然には実現せずに、特別の手続を経て初めて現実のものとなるものもあります。

たとえば、特定の不動産を愛人に譲り渡す(これを遺贈と言います)ことは、目的物の引渡しや名義変更の登記といった事務手続きが必須となりますね。

そこで、遺言の内容を実現化するために、その事務手続きを行う必要が生じます。これを遺言の執行といいます。

また、遺言の執行事務を行う者遺言執行者と言います。

遺言執行者はいつ選ぶのか

遺言者が、遺言書の中で自ら遺言執行者を指定することができます。遺言執行者を生前指定しておかなかったとしても、家庭裁判所が利害関係人からの請求によって選任します。

つまり、生前に遺言執行者を指定しておいても、指定しなくてもどちらでも良いのです。

遺言執行者は誰がなれるのか

遺言執行者になるための資格は特にありません。民法という法律上は、未成年者と破産者は遺言執行者になれないだけで、それ以外の制限はありません。

ですから、遺言者の相続人中の1人が遺言執行者になることも出来ますし、弁護士や司法書士、信託銀行などが遺言執行者となることもあります。

遺言執行者については、こちらにより詳しい別の記事があります。もしよろしければ御一読ください。

遺言執行の妨害

遺言執行者がいる場合、相続人は遺言の執行を妨害するような行為は一切禁止されます。この点は、何も改正はありません。

【民法1013条1項】
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができない。

相続人が妨害行為をしたら…

遺言執行者がいるにもかかわらず、相続人が遺言執行を妨害行為をしたら、妨害行為は誰に対しても当然に無効であり、何ら効力を生じない。

というのが改正前の解釈でした。「解釈」というのは、これに対応する法律の条文が存在しなかったためで、過去の裁判例で「無効」とされたことがあるのです。

法律上妨害は禁じられているが妨害する人は妨害する

改正によってどう変更されたか

改正によってどのように変更されたのでしょうか。改正後は、相続人の遺言執行妨害行為により相続人から財産を譲り受けた者の「内面」を重要視します。

相続人からの譲受人が、

  1. 遺言執行者の存在を知らないのであれば・・・譲受人の勝ち(遺言は無効とはならない)
  2. 遺言執行者の存在を知っていたのであれば・・譲受人の負け(遺言は無効。受遺者の勝ち)

改正民法1013条2項

【民法1013条2項】
前項の規定に違反してした行為は、無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

相続手続き専門家から見る改正点

相続人からの譲受人が、遺言執行者の存在を知っていることはあまりないのではないでしょうか。

遺言執行者は対外的に公示されるわけではありませんし、遺言執行者がいることを知っていながらあえて権利を取得するというチャレンジングな譲受人も少ないと思われます。

いずれにしても、改正前は、譲受人が遺言執行者の存在を知らなくても知っていても、譲受人が権利を取得することはあり得ませんでした。

しかし、改正によって、なんら事情を知らない譲受人(これを法律上「善意の第三者」と言います)を保護する規定を設けましたので、「遺言があるから安心だ」などと、受遺者もあぐらをかいているわけにいかなくなりました。

ご相談お待ちしております! 左|司法書士 今健一  右|司法書士 齋藤遊

遺言の執行でお困りの方は

私共は相続手続き専門の司法書士事務所です。遺言の執行についてお困りであればお力になれるかもしれません。

また、これから遺言書を作成しようとお考えの方。遺言執行者はどなたにお願いしましたか?

遺言書の文案作成から、遺言執行のお手伝いまで私どもがご相談に応じます。

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