【司法書士監修】遺言通りの相続をしなくていい場合|総まとめ

ひらめき
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遺言書がある場合、遺産は遺言書通りに分けなければいけないのでしょうか。それとも遺言書は無視して、相続人で自由に遺産分割ができるのでしょうか。またその場合、罰則などがあるのでしょうか。

特に遺言書の内容に納得がいかない相続人の方から、このような相談をよく受けます。先日、たまたまラジオで「納得のいかない遺言書があったらすぐにお電話を」という弁護士事務所のCMを聞きました。

このページでは、創業20年の相続専門の司法書士事務所が「遺言通りの相続をしなくていい場合|総まとめ」として、具体例を分かりやすくお伝えしていきます。このような問題で悩んでいるかたの参考になれば幸いです。

遺言書通りに相続しなくても罰則はない

結論から申し上げますと「遺言書通りに遺産相続をしなくていい場合」は存在します。

詳しいことは以下で順にお伝えしますが、気になるのは、その場合「何か罰則のようなものはないのか?」ということです。

例えば、遺言書を隠匿(隠す)したりすることは、民法という法律により、当然に相続人としての資格を失う「相続欠格事由(民法第891条)」とされています。

また、遺言書を隠匿することは、刑法という法律により「私用文書等毀棄罪(刑法第259条)」となり、5年以下の懲役という重い刑罰が科されることになっています。

しかし、遺言書を無視して相続することは「相続欠格事由」にもあたらず「私用文書等毀棄罪」にもなりません。つまり、特段の罰則はないのです。

遺言書通りに相続をしなくてもよい代表的な場合

それでは早速「遺言書通りに相続をしなくてもよいケース」をお伝えします。

大前提として、遺言書は「死者の最終の意思」とも呼ばれる大切ものですから、遺言書通りに財産を相続するのが原則となります。

しかし、次のような要件を満たしていれば遺言書通りに相続する必要はありません。

相続関係者の全員の同意がある場合

遺言書があっても、「遺言書通りに相続しなくてもいいよ」という内容の相続関係者の同意があれば、遺言書通りに遺産相続しなくても構いません。

それでは「相続関係者」とは具体的に誰のことを言うのでしょうか。

「相続関係者」とは、今回の相続に関係のある人という意味ですが、具体的には次の通りです。
  1. 相続人全員
  2. 受遺者(相続人以外の第三者)
  3. 遺言執行者

それでは順に見ていきましょう。

まずは相続人全員の同意があることが大前提

遺言書は故人が相続人に対して遺産の分け方を定めたものです。ですからその通りに相続財産を分割するのが原則なのですが、その相続人全員が「遺言書通りではなく自分達で決めたとおりに分けたい」となったら、それを否定する法律はありません。

相続人全員の同意がある場合は、遺言はなかったものとして新たな遺産分割協議を行うことになります。このことは税務上も認められ特に問題はないと考えられているようです(ただし不動産の登記では少し問題があるという見解もあります)。

この場合「相続人全員」の同意が必要なことに注意してください。1人でも同意しない相続人がいた場合、基本的には遺言書通りに相続していく必要があります。

たとえば、遺言書の中で他の相続人よりも多くの遺産をもらえるようになっている相続人は、遺言書の通りに相続したいでしょうから、普通は同意しません。

この時、他の相続人が同意を求めて遺産分割調停や遺産分割審判を申し立てても、下でお伝えするような遺言の無効原因がない限りは、結局は遺言書通りに相続するしかないと思われます。

また、すでに家庭裁判所で相続放棄の手続きをした人の同意は不要です。しかし、行方不明の相続人については、不在者財産管理人の選任など家庭裁判所で別の手続きが必要となるので注意が必要です。

受遺者(相続人以外の第三者)がいればその人の同意も必要

例えば遺言書の中で故人の愛人など、法律上の相続人以外の人に対して「財産を(一部)譲る」と書かれていたような場合(法律上はこれを遺贈と言います)、相続人全員だけでなくその人の同意もあれば、遺言書通りに遺産を分ける必要はありません。

しかし、愛人など相続人以外の第三者が何の理由もなくこのような同意をすることは考えにくいです。よほどの事情がない限りは同意は得られないものと考えた方がよいでしょう。

遺言執行者があればその人の同意も必要

たとえば遺言書の中に「遺言執行者を●●に指定する」など記載がある場合。遺言執行者はそもそも遺言に書かれている内容の通りに遺言の執行の手続きを行う法的な義務を負っている人物です。

遺言執行者として相続人のうちの一人が指定されていることもありますし、弁護士や司法書士、信託銀行が指定されていることもあります。

遺言執行者として相続人が指定されている場合はともかくとして、弁護士・司法書士・信託銀行が指定されている場合は、これらの専門家は生前に被相続人から頼まれている場合がほとんどです。

したがいまして、相続人が「遺言書通りではなく自分たちで決めた分け方で分けたい」と言っても納得できる理由がない限り同意を得られる可能性は低いでしょう。

もし同意が得られた場合は、遺言執行者は家庭裁判所において「遺言執行者の辞任の許可」を申し立てる必要があり、その許可が下り次第、相続人は遺言書を無視した遺産分割協議が可能となります。

具体的にはどんな場合に相続関係者全員の同意が得られるのか

このように考えていくと、遺言通りに相続しないためには、まず①相続人全員の同意があり、かつ②相続人以外の第三者(受遺者)がいればその同意も必要で、さらに③遺言執行者もいればその同意も必要となるという、かなり難しい手続きとなります。

しかし、当事務所の実例としてこれらの要件をクリアしたうえで、遺言書通りには相続せずに、相続人全員の同意による新たな遺産分割協議の内容通りに相続したケースがあります。

それは「遺言書通りに相続すると相続税が法外に高額となってしまい、その内容も相続人の全員にとって何の利益もないようなもの」という事例でした。

当事務所は提携している専門の税理士がありますので、まず遺言書通りに相続した場合の相続税を試算し、相続人全員が考えた遺産分割案による相続税と比較した上で、相続人全員も納得し、結局、遺言は無視した遺産分割を行うこととなりました。

相続税は遺産の分け方によって金額が大きく変わってきます。

もちろん、これは相続人同士の人間関係も円満だからこそできた解決方法です。

つまり、実際問題、相続人関係者の同意を得て遺言通りに相続しないケースは、次のような場合に限って可能となります。

  1. 遺言書の内容が相続関係者全員にとって都合が悪いような場合で
  2. 相続関係者全員の人間関係がうまくいっている場合

遺言書通りに相続しなくてよい「そもそも遺言書が無効のケース」

その他に遺言書通りに相続しなくてもよいケースとして「そもそも遺言書が無効のケース」というのがあります。

遺言書は民法が定める方式を守ったものである必要があります。ですから、法律が定める方式通りに書かれていないものは、そもそも内容以前に法律的に無効であって、従う必要がないのです。

自筆証書遺言は無効となりやすい

遺言書の作成方式の代表的なものに「自筆証書遺言」があります。これは遺言者自身が手書きで書いた遺言書という意味です。基本的に全部を遺言者が手書きで書く必要があるため、パソコンで作ったようなものは無効です(ただし財産目録についてのみパソコンで印字したものでも可)。

また、自筆証書遺言には次の記載も必要です。

  1. 遺言書の作成日
  2. 遺言者の名前
  3. 遺言者の印(認印でも可)

つまりこれらがなければその遺言書は内容を検討するまでもなく無効なものとなります。

また、もしこれらの内容がすべて含まれていたとしても、遺言書の作成日において「遺言書の内容を理解する能力がなかったような場合(たとえば認知症)」は、やはり無効となる可能性が高くなります。

遺言能力の問題は、実際には裁判等の中で明らかにしていくしか方法がないため、

  1. まず遺産分割調停を申し立ててその中で遺言書の無効を主張していく、あるいは
  2. まず遺言無効確認の訴えを地方裁判所へして、その後遺産分割調停を申し立てる

などの対策が代表的な手続となります。いずれも相続を専門としているような弁護士に相談されるとよいでしょう。

公正証書遺言は無効となりにくい

その他、遺言書の作成方式の代表的なものに「公正証書遺言」があります。これは公証役場の公証人が本人から頼まれて作った遺言書という意味です。

上でお伝えした自筆証書遺言と異なり、公正証書遺言を無効とするのはかなり難しいです。なぜなら、公正証書遺言は、公証人が本人の意思を面前で確認した上で作成していますし、作成に際しては2名以上の証人が必ず立ち会っていますから、無効なものは作られにくいということです。

確かに公正証書遺言が裁判で無効になった事例もあるようですが、一般的には公正証書で作られている遺言書はまず有効なものであると解釈していきます。

遺留分を侵害していても「遺言書自体は有効」

相続人には法律上「相続分」とは違った概念の「遺留分」というものが当然に保証されています。「遺留分」は「相続分」よりは割合的には少ないものの、「遺産の中の最低限の取り分」といったイメージです。

たとえば遺言書に「私の財産は全部●に相続させる」と書いてあった場合、もう一人の相続人の遺留分が奪われているような格好になります。しかしだからと言ってこの遺言が直ちに無効になるわけではありません。

他の相続人の遺留分を奪うような内容の遺言もそれはそれで有効なのです。では、遺留分に相当する財産を相続するにはどうすればよいのでしょうか。

事例によっていろいろな解決方法があります。代表的な解決方法は次の2つです。

とりあえず遺言書通りに相続させといて後から遺留分侵害額請求をする

まずは遺言書通りに相続の手続きを終わらせて、その後、遺留分侵害額請求をするというやり方があります。

この時の注意点としては、遺留分侵害額請求には時効があるということです。

時効は「遺留分の侵害を知った時から1年」となっているので、何もせず相続手続きが終わるのを待っていると、あっと言う間に1年が過ぎていたということにもなりかねません。

ですから、自分の遺留分が侵害されていることを知ったら、まず内容証明郵便などで「遺留分の侵害額請求権を行使します」程度の意思表示はすぐにしておくことをお勧めします。

遺留分侵害額請求というと何か難しいように感じますが、簡単に言えば「損害賠償請求」と同じですから、相手にはお金で払ってもらえます。

あなたの相続できた金額が、遺留分を下回る金額であった場合は、最低でも遺留分を満たす金額までは請求できますし、相手方はそれを拒むことはできません。

まず遺産分割調停を申し立ててその中で遺留分を考慮した遺産分割を主張する

あなたの遺留分を奪うような内容の遺言書が明らかになったら、相続の開始した後、まず遺産分割調停を申し立ててしまうというやり方もあるでしょう。

もちろん遺言書が無効でない限りは、遺言書の内容が優先となりますが、遺留分を奪うような内容であれば、遺留分を考慮した遺産分割を主張する余地はあります。

上でお伝えした方法のように、遺言書通りの相続をさせてしまった後だと、実際に遺留分を取り立てられるかどうか不安な場合は、このようなやり方も有効かもしれません。

遺留分侵害額請求は弁護士に相談が近道

遺留分の侵害額請求は必ず裁判を起こさなければならないわけではありません。相手方が任意に(自ら進んで)支払いに応じてくれるのであれば、裁判を起こす必要はないということです。

しかし、実際には法律的に遺留分の計算というのは簡単ではありません。法律が定める細かい計算式に沿って算出しますし、専門的な知識がないと正確な金額を確定することはできません。

そして端的に言えば、普通、任意に支払う人はいません。

つまり、きちんとした法律知識がない相続人同士が自分で遺留分の問題は解決できないということです。ではどのようにするのが解決の近道かといえば、お互いに代理人(弁護士)をたてて、弁護士同士で交渉をしてもらうのです。

ちなみに司法書士はこのように代理人として相手方と交渉をすることは法で禁じられています。遺留分の侵害があった場合は、すぐに相続を専門とする弁護士に相談するとよいでしょう。

さいごに|いまなら無料相談が受けられます

私たちは、相続手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で約20年に渡って相続問題に取り組んできました。オンラインにより全国対応をしています。

このページでは、「【司法書士監修】遺言通りの相続をしなくていい場合|総まとめ」と題して、相続手続き専門の司法書士の立場から、まさに今あなたが困っていることについて、知っておくべきことを解説しました。

このページでお伝えしたかったポイントは次の3点です。

  • 「納得の行かない遺言書」があっても大抵はその通り相続せざるを得ない
  • 相続関係者全員の同意があれば遺言書を無視した相続はできる
  • 遺留分を侵害する遺言書も有効である(ただし遺留分侵害額請求は可能)

遺言書があってこれから相続手続きを始めたい方、遺言書通りに相続すれば良いかどうか分からない方。相続税の申告もふくめて、とにかく遺産分割を早く終わらせたい方。ぜひそのような問題を解決する場面で私たち相続手続きの専門家をご活用いただければと思います。

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