【司法書士監修】限定承認のデメリットを相続の専門家が8つ挙げてみた


「限定承認をするか相続放棄をするか困っている」「限定承認にどんなデメリットがあるか知りたい」というご相談を当事務所で受けることがあります。
同じようなお悩み・疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
このページでは、創業20年以上、地域随一の相続専門の司法書士事務所であるこん・さいとう司法書士事務所が、『【司法書士監修】限定承認のデメリットを相続の専門家が8つ挙げてみた』について解説します。
このページが、限定承認を検討中のあなたに役立つことが少しでもあればうれしいです。
〇限定承認のキホンをわかりやすく解説したページはこちらです。
- 1. 限定承認のデメリット1|換価困難な財産がある場合に困る
- 2. 限定承認のデメリット2|相続財産の任意売却は実はグレーであること
- 3. 限定承認のデメリット3|手続きがあいまいではっきりしない点が多いこと
- 4. 限定承認のデメリット4|裁判所が関係するようで実はほとんど関与しないこと
- 5. 限定承認のデメリット5|先買権の行使では鑑定費用がかかること
- 6. 限定承認のデメリット6|みなし譲渡所得税の申告が必要になるかもしれないこと
- 7. 限定承認のデメリット7|相続人全員でやる必要があること
- 8. 限定承認のデメリット8|手続きが煩雑であること(費用が高額)
- 9. 「こん・さいとう司法書士事務所」が選ばれる理由
- 10. 最後に|無料相談の連絡は今すぐ
限定承認のデメリット1|換価困難な財産がある場合に困る
相続財産に不動産がある場合、限定承認の清算手続きの中で、その不動産を売却して「お金」に換価しなければなりません。
これを債権者の弁済に充てるためです。
売却の方法は、原則として競売の方法によります。しかし、原則的な換価方法である競売をしても、山林や田、畑など、落札者が現れない場合もあります。
「落札者がないからそれでいい」とはなりません。この場合、現実的な方法としては、限定承認した相続人の誰かが先買権を行使して換価するほかないと思われます。
その結果「いらない不動産を相続する」のと同じ結果となってしまい、それだったら「相続放棄したほうがマシだった」となりかねません。
限定承認のデメリット2|相続財産の任意売却は実はグレーであること
限定承認において、原則的な換価方法である「競売」や「先買権の行使」以外に、相続財産清算人が買主を見つけて直接売却する方法(「任意売却」と言います)ができるのか、が問題です。
民法には「任意売却」を禁止する法律はなく、「任意売却」のほうが「競売」よりも高く売却できることが多いという理由で、実務においては任意売却はそれなりに使われてる方法と聞きます。
しかし、注意しなければならないのは、民法には「任意売却」を認める法律もないという事実です。
相続財産を売却、処分することは、法定単純承認事由(相続を認めたということ)に該当し、限定承認と矛盾する、という見解の学者もいます。
限定承認のデメリット3|手続きがあいまいではっきりしない点が多いこと
限定承認に関する手続きは、民法922条から937条までの16か条しか規定されていません。
これまであまり利用されていなかったこともあり、過去の裁判例もほとんどありません。
「限定承認のデメリット2」でも説明したように、手続きがあいまいではっきりしない点が多いという問題点があります。
使われてない制度なので、政府もこの制度を「使いやすく改正しよう」とも思っておらず、法制審議会の議題にすら上がりません。
条文が詳細に規定されておらず、過去の裁判例の蓄積もないということは、国民にとってわかりやすい制度になっていないというだけでなく、私たちのような専門家にとっても「受けにくい仕事」になってしまっているということです。
つまり、はっきりとした取り扱いが定まっていないため、法の趣旨に沿って「探り探り」手続きをしなければならない側面が多く、非常にリスキーな仕事になってしまうためです。
限定承認のデメリット4|裁判所が関係するようで実はほとんど関与しないこと
限定承認は家庭裁判所に書類(「申述書」と言います)を提出して行います。
このことから、書類を提出したのちも、家庭裁判所の監督下に置かれて手続きが進行してくのかな?と思われますが、実際にはこの最初の部分だけ裁判所がかかわるだけで、基本的にあとは関与しません。
しいて言えば、限定承認をした相続人が先買権を行使する場合に、鑑定人を選任する場面で、家庭裁判所が関与する程度です(民法932条)。
債権者への連絡や配当は、限定承認をした相続人の中から選ばれる相続財産清算人が行うことになります。清算手続きに裁判所は関与しません。
さらに、限定承認の手続き(清算手続き)が完了しても、裁判所への報告義務もありませんので(もちろん途中経過の報告も不要)、いつの時点を完了の時とすべきか非常に曖昧とも言えます。
限定承認のデメリット5|先買権の行使では鑑定費用がかかること
「どうしても手放したくない不動産」がある場合に、限定承認をする実益があるといわれています。
限定承認をした相続人が、その不動産を購入することで、その財産を確保できる可能性があるためです。
これを「先買権の行使」と言いますが、これを行う場合は、家庭裁判所が選任した鑑定人に不動産の評価をしてもらう必要があります。
鑑定の費用は、不動産の状況にもよりますが、一般に数十万円程度掛かります。
これを遺産から支払えれば良いのですが、認められないものと考えられています。
そもそも先買権の行使は限定承認をした相続人の利益のみのためにされている以上、限定承認をした相続人が負担する必要があるためです。
限定承認のデメリット6|みなし譲渡所得税の申告が必要になるかもしれないこと
通常、所得税の申告は、相続財産を相続した後に売却して、譲渡益が発生した時にはじめて申告する必要があります。
しかし、限定承認では「死亡時に被相続人から相続人に時価で譲渡したものとみなす(所得税法59条)」という法律があるため、これにより譲渡益が生じる場合は税申告が必要となります。
実際に不動産を売却もしてないのに、税金の負担をしなければならないのはデメリットの一つと考えられるでしょう。
なお、申告は準確定申告とあわせて行う必要があるため、死亡の日から4か月内となり、かなり短いスケジュールで準備する必要があります。
もし、限定承認の清算手続き中の競売で、みなし譲渡所得税申告時の不動産の評価よりも大きく上回って売却できた場合、国税から「当初の評価が不当に低すぎたのではないか?」などのお尋ねがくることもあります。
限定承認に対応できる税理士がどの程度存在するのかはわかりませんが、特に不動産がある場合の限定承認は、税理士と連携の上、慎重に進める必要があるでしょう。
限定承認のデメリット7|相続人全員でやる必要があること
相続人が数人いる場合、共同相続人全員が限定承認の申述手続きをする必要があります。
相続人中の1名からは認められない手続きとなっています。
ですから、相続人の人数が多ければ多いほど、足並みをそろえるのは難しいため、実際に限定承認を行うのは難しくなってきます。
限定承認のデメリット8|手続きが煩雑であること(費用が高額)
これまでのデメリットをお読みいただければお分かりの通り、限定承認の手続きは非常に煩雑です。
煩雑であっても、その手続きの内容が詳細に定まっているのであれば、これを順番に処理していくだけのことですので、わたしたち専門家にとっては「手間のかかる仕事だな」という程度の話で済みます。
限定承認がやっかいなのは、手続きがきちんと定まってない、という点にあります。
「限定承認のデメリット3」でもお伝えしましたが、私たちのような相続手続きの専門家であっても「限定承認の手続きを100%の自信をもって完璧にできる」という人は少ないのではないかと思います。
「こん・さいとう司法書士事務所」が選ばれる理由
限定承認は手続き方法も定まっておらず、非常に困難を伴う業務の一つです。
当所でお引き受けできるケースは、手続き方法も定まっていると判断可能な一般的な事例に限られます。ホームページを見ての問い合わせが多いのですが、まずは無料相談でお話をお聞かせください。
「こん・さいとう司法書士事務所」に相談をすることで上記のお悩みは解決
以上を踏まえまして、当事務所「こん・さいとう司法書士事務所」が、これまで多くの上記のようなお悩みをお持ちの皆様から、相続の相談・依頼先に選ばれている理由を以下にお伝えします。
- 一般的な司法書士ではなく「相続専門」であるため、相続登記や遺産分割協議だけでなく、相続に関連する裁判所の手続き(相続放棄、不在者財産管理人、失踪宣告、遺産分割の調停の申立、相続財産管理人の選任など)にも精通しているため安心感がある
- 「相続専門」だからこそ、個別の事例に応じた的確なアドバイスを貰える(相続放棄をすべきか限定承認をすべきかその他に方法はあるか)
- パートナー税理士と連携して相続税の申告や準確定申告にも速やかに対応してもらえる(国税出身の税理士がみなし譲渡所得税にも完全対応)
- パートナー弁護士と連携して他の相続人への交渉や、裁判手続きも対応してもらえる
- 弁護士・法律事務所より割安な料金で、しかも弁護士より敷居が低く、相談がしやすい環境にある
- ZOOMによるオンライン対応が可能なため、直接事務所に行けなくてもコンタクトが取りやすい
- eKYCによるオンライン本人確認に対応しているため、遠方からも依頼ができる
- 東京都中小企業振興公社(都内の中小企業を支援する東京都管轄の公的機関)の嘱託相談員であるため身分的な信頼感がある
- 20年以上のキャリアがある司法書士2名(今健一・齋藤遊)体制の為、一般の個人事務所より迅速に対応してもらえる
限定承認の相続手続きに関する相談先・依頼先を探されている方が、これらの点を1つでもメリットに感じていただくことができたなら、是非一度当事務所の無料相談をご利用ください。

最後に|無料相談の連絡は今すぐ
こん・さいとう司法書士事務所は、遺産相続の手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で20年以上に渡って運営、相続問題・相続に関連する業務に取り組んできました。オンラインにより全国対応をしています。
このページでお伝えしたかったポイントは次の3点です。
- 限定承認で解決できるケースもある
- 限定承認にはさまざまなデメリットもあるので理解したうえで選択する
- 限定承認には費用も時間もかかる
あなたの相続手続きについて、なるべく負担を少なく、そして完璧な内容にしたいとお考えですか?
それならばノウハウを有する経験豊富な私たち相続手続きの専門家をご活用・お任せいただければと思います。
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東京司法書士会会員
令和4年度東京法務局長表彰受賞
簡裁訴訟代理等関係業務認定会員(法務大臣認定司法書士)
公益社団法人成年後見リーガルサポート東京支部会員
家庭裁判所「後見人・後見監督人候補者名簿」に登載済み
公益財団法人東京都中小企業振興公社「ワンストップ総合相談窓口」相談員
公益財団法人東京都中小企業振興公社「専門家派遣事業支援専門家」登録