【司法書士監修】遺言執行者の辞退・辞任・交代の総まとめ|その後どうなるかも解説

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「相続が発生して遺言執行者が辞退したがその後はどうすれば良いのか?」「負担が重いので遺言執行者を辞任したい」「遺言執行者を他の人に替わってもらいたい」は、当事務所に多い相談の一つです。あなたも同じ悩みを持っていますか?

遺言執行者が辞退や辞任した場合、あなたはどうすれば良いのでしょう。そしてあなた自身が遺言執行者だった場合、辞退や辞任、交代は勝手にできるのでしょうか。

このページでは創業20年、地域随一の相続専門の司法書士事務所が「【司法書士監修】遺言執行者の辞退・辞任・交代の総まとめ|その後どうなるかも解説」と題して、今まさに相続問題でお困りのあなたの疑問にお答えします。

このページを見れば『遺言執行者の辞退と辞任の違い』や『遺言執行者の辞退や辞任・交代の可否』『遺言執行者がいなくなったその後』の具体的な対策・対処方法や注意点ついて、これまでの疑問点がスッキリ解決すると思います。

このページは「遺言執行者・辞任」などのキーワードで様々なサイトを検索・調査し、不安になっているすべての相続人・その家族に向けたものです。ご参考になれば幸いです。

遺言執行者は辞任も辞退も交代もできる|ただし一定の条件がある場合も

結論から言いますと、遺言執行者は辞任も辞退も交代もできます。ただし、遺言執行者が自由にできるということではなく、一定の条件が必要な場合もありますので、順に解説していきます。

まずは概要を以下の一覧の表にまとめてみました。

<一定の条件・要件>
① 辞任 「正当な理由」が必要。家庭裁判所の許可が必要。
② 辞退 自由にできる
③ 交代(復任) 自由にできる

遺言執行者を辞任することは難しい

遺言執行者がやるべきことは多く、責任も生じます。いっそのこと遺言執行者を辞任することはできないか?となります。

結論から言いますと、一度遺言執行者への就任承諾をした以上は、簡単にやめることはできません

遺言執行者を辞任するには「正当な理由」が必要

遺言執行者が辞任をするには、「正当な事由」が必要です。

【民法1019条2項】
遺言執行者は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。

「正当な理由」は事例ごとに裁判所が判断するので何とも言えない

それでは、「正当な事由」としてどのような事由が認められて、反対に認められないのでしょうか。実際には、個々のケースで裁判所が判断しますが、一般論としては次のようになります。

まず、長期の病気、長期の出張、多忙な職務などの個人的事情は「正当な事由」として認められることが多いようです。

しかし、執行意欲の喪失(やる気がなくなった)は、「正当な事由」として認められない可能性があります。

ただし、その理由が、「相続人との調整に失敗しそのために公正な遺言の執行が全く期待できなくなった場合等には積極に解してもよい(新版遺言執行の法律と実務:第一弁護士会・司法研究委員会編:ぎょうせい)」との見解もあります。

少なくとも「何の理由もなく辞任するということは認められない」、この点は間違いありません。

遺言執行者を辞任するには裁判所で手続きをする必要がある

遺言執行者を辞任するためには、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ、辞任許可の申立て手続きを行う必要があります。家庭裁判所が調査の結果、申立てを相当と認めれば、「辞任許可審判書」が出て、辞任の手続き終了です。

その結果、遺言の執行を行う人が誰もいなくなってしまうこともあるわけですが、この点はもう少し先でまとめて解説します。

遺言執行者を辞退することは簡単|辞任と辞退はどう違うのか?

このように、一度遺言執行者に就任した後の辞任手続きは非常に面倒です。

しかし、遺言書(自筆証書遺言か公正証書遺言かは関係ありません)で遺言執行者に指定されていたとしても、指定されている方がそれを承諾していなければ、その時点ではまだ遺言執行者ではありません。

遺言を書いた人が勝手に遺言執行者に指名しただけで、指名された方はそれを受けるのも断るのも自由ということですね。

ですから、遺言書の書類の中で遺言執行者に指名された方が、遺言者が亡くなった後、就任承諾前に辞退することは自由にできます

就任するもしないもその方の自由だからです。

辞任と辞退の違いが分かりにくいので、以下の表にまとめてみました。

辞任 相続開始後に、遺言執行者に就任する承諾をした後に、やめること
辞退 相続開始後に、遺言執行者に就任する承諾をする前に、やめること

遺言執行者を辞退するための手続きは特にないが…

就任の辞退をするために「正当な事由」も「家庭裁判所の許可」も必要ありません。

就任の辞退について特別な形式・様式はありません。しかし、後々のトラブルを避けるために一般的には書面で相続人全員に辞退の旨を通知・連絡することがよいとされています。

遺言執行者を交代してもらうことはできるが注意が必要

上記に記載しました通り、遺言書で遺言執行者に指名・指定されていても、当然に遺言執行者に就任しなければならないというものではありません。

遺言執行者への就任を承諾するか否かは、指名・指定された人が自由に決めることができます。しかし、実際によくあるのは、うっかり就任を承諾した後に、遺言執行者のやるべきことの多さや、重い義務・責任に気付くというケースです。

この様な場合、遺言執行者を他の人に交代してもらえるかという話になるわけですが、結論から言いますと、できます。

遺言執行の事務を包括的に全部他の人にお願いしてしまうパターン

遺言執行者の職務を包括的に他人(例えば弁護士や司法書士などの専門家など)に委ねること(復任権と言います)は法律上認められます。この点は令和1年7月1より以下の改正法が適用になります。

【民法1016条1項】
遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

改正前は「やむを得ない事由」がある場合に限って、復任が可能でした。それが、改正後は「やむを得ない事由」がなくても、遺言執行者の責任・裁量で復任することができるようになりました。つまり、交代するのに理由は関係がないということです。

また、復任するにあたって、相続人や受遺者の同意は一切不要です。

遺言の執行は法的な知識が必要となるので弁護士や専門家が受けますが、誰がやっても良いものなので、他の相続人に交代しても特に問題はありません。

遺言執行の事務のうち特定のものだけお願いするパターン

遺言執行者が、例えば預貯金の手続きだけ、登記手続きだけ、訴訟行為だけなど、個別の具体的な行為だけを第三者に委ねることも可能です。

いわゆる「相続手続き」と呼ばれるものは、専門的な知識がないと行うことは難しいため、遺言執行者が自分でやるのではなく、司法書士や弁護士に依頼して処理してもらうという流れが一般的です。

もちろんこの場合も、相続人や受遺者の同意は不要です。

交代できると言っても遺言執行者を免責されるわけではない

上記のように、遺言執行の職務を第三者に代わってもらうことはできますが、従前の方が遺言執行者を免責されるわけではありません。その意味では厳密には交代ではありません。

交代というと、遺言執行者が入れ替わるというイメージですが、ここで言う交代はそうではありません。事務を替わって代行してもらっているだけです。

第三者に職務を交代してもらっても、もともとの遺言執行者は依然として遺言執行者のままです。そして、交代してもらった第三者の職務の行い方に非がある場合(これによって相続人などに損害を与えた場合など)は、そのような第三者を選んだ責任を相続人から問われる可能性があります。

【民法1016条2項】
前条本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

遺言執行者が辞任・辞退して誰もいなくなった…その後

このように遺言執行者が辞任したり、辞退したりすると、遺言の執行・手続きを行う者が誰もいなくなってしまうこともあります。

遺言執行者が一人もいなくなっても遺言書自体が無効になるわけではありません。遺言書自体は有効のままです。

この様な場合、必要であれば、相続人その他の利害関係から、新たな遺言執行者の選任を家庭裁判所へ申し立てることになります(民法1010条)。ポイントは家庭裁判所での手続きが必要となる点です。

遺産分割みたいに、相続人全員の協議によって、新たな遺言執行者を選任できるわけではありません。選任は必ず家庭裁判所への申立てが必要です。

【民法1010条】
遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。

なお、法律上は、遺言執行者がいない場合は「相続人全員」が遺言の執行を行っていくことになります。しかし、相続人の数が多ければ多いほど遺言の執行手続きに時間がかかり煩雑になりますので、通常はあらたな遺言執行者の選任をすることになります。

しかし、絶対に新たな遺言執行者を選ばなければならないというわけではありません。

具体的にどのような遺言執行手続きが今後必要となっていくのかによってケースごとに検討していく必要があり、専門家の診断が必要でしょう。

あらためて遺言執行者とは何か?|法的な知識がないと務まらない

遺言は故人が生前に書面で作成するものです。そして、その効力は死亡と同時に発生します(民法985条)。

遺言書に書いてある内容を実現しようとしても、遺言が効力を生じる時点では遺言者はすでに死亡している訳ですから、いったい誰が遺言の内容を具現化するのかが問題となります。

そこで、遺言の内容を遺言者本人に代わって実現する職務を行うのが遺言執行者となります。

具体的に何を行うのかについてですが、遺言内容の確認、相続財産の保全、管理等、遺言の内容に応じて単純なものから複雑なものまで様々です。

一般的には、預金の解約や株式・投資信託などの金融資産の相続、分配手続き、不動産の相続手続きなどが代表的なものです。

なお、遺言により利益を受ける人と不利益を受ける人が明確な場合は、相続人同士の紛争に巻き込まれ、遺言執行者自身が訴訟の原告や被告になったりすることもあります。

さらに、遺言執行者には法律上いくつかの義務があります。例えば、遺産の管理義務(民法1012条)や、相続人への通知義務(民法1017条)、財産目録調整義務(民法1011条)などです。

相続人が遺言執行者となっている場合、これらの義務を軽んじて認識されている方が多く、実際にはこれらの法的な義務を履行していないケースが多くあります。

遺言執行者が法律上の義務を怠り、もし相続人に不利益を与えた場合には、相続人から損害の賠償を請求される可能性もありますし、これを認めた裁判例もあります。

このように遺言執行者の職務や責任は非常に重く、弁護士や司法書士の専門家でさえも遺言執行者になることは慎重に検討をします。

すでに相続人の間で遺言書の内容について紛争が生じているような場合、遺留分で争いがある場合等は、司法書士は依頼を受けることは難しいため、弁護士にご相談されることをお勧めします。

結論|遺言執行者の辞任・辞退・交代はどうするべきか?

以上のように、遺言執行者の辞任・辞退・交代については、それぞれごとの対処法があることが分かります。

そして、遺言執行者が辞任・辞退して、その結果遺言執行者が一人もいなくなった場合も遺言自体が無効になるわけではなく、また新たな遺言執行者を選任すれば特に問題はありません(引き受けてくれる方がいればの話ですが)。

いずれにしても、専門知識を持った相続専門の司法書士や税理士、弁護士(法律事務所)にご相談されることをお勧めします。

ご相談お待ちしております! 左|司法書士 今健一  右|司法書士 齋藤遊

最後に|いまなら無料相談が受けられます

私たちは、遺産相続の手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で約20年に渡って相続問題に取り組んできました。オンラインにより全国対応をしています。

このページでは、「【司法書士監修】遺言執行者の辞退・辞任・交代の総まとめ|その後どうなるかも解説」と題して、相続手続き専門の司法書士の立場から、まさに今あなたが困っていることについて、知っておくべきことを解説しました。

このページでお伝えしたかったポイントは次の3点です。

  • 遺言執行者を辞任するには正当な理由と裁判所での手続きが必要となり、大変
  • 遺言執行者を辞退・交代するのは、簡単
  • 遺言執行者が誰もいなくなったら裁判所に後任者の選任を申し立てることができる

遺言執行者の辞任・辞退・交代、その後の遺言執行・相続手続き(預貯金の解約や相続登記)を速やかに行うためには専門的な知識が必須となります。個人の力では限界があるかもしれません。当事務所ではこのような手続きの代理をお受けしております。

ぜひ上記のような問題を解決する場面で私たち相続手続きの専門家をご活用いただければと思います。

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