【司法書士監修】自筆証書遺言の保管制度のすべて

平成31年に約40年ぶりとなる相続法大改正の法案が可決されました。令和元年7月より順次制度が実施されています。大改正と呼ばれているのは決して大げさではなく、その改正・新設項目は多岐に渡っています。

今回は、「自筆証書遺言の保管制度」について取り上げます。まだ実施されていない制度ですが、遺言の作成を検討されている方には興味深い制度だと思います。

保管法|根拠となる法律について|施行日

自筆証書遺言の保管制度は、新たに創設された制度です。しかし、相続に関することが規定されている「民法」に書き加えられたわけではありません。

「法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年七月十三日法律第七十三号)」という新しい法律が設けられました。略称は「保管法」です。わずか18カ条で構成される法律です。参考までに条文のリンクを下記に掲げます。

法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年七月十三日法律第七十三号)|電子政府の総合窓口e-Gov
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=430AC0000000073_20200710_000000000000000&openerCode=1

この制度を簡単に言えば、自筆証書遺言(自分で手書きで書いた遺言書)を法務局に預けることができるというものです。

手続きにより法務局に預けことができるようになるだけで、必ず預けなければならない訳ではありません。従前どおり、自宅等に保管しておいても何ら違法ではありません。

保管法の施行日(法律が適用される日)は、令和2年7月10日からです。施行日前に法務局に遺言書を持参しても一切預からないのでご注意下さい。

政令第三百十七号 法務局における遺言書の保管等に関する法律の施行期日を定める政令 内閣は、法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成三十年法律第七十三号)附則の規定に基づき、この政令を制定する。 法務局における遺言書の保管等に関する法律の施行期日は、平成三十二年七月十日とする。インターネット官報

保管法が創設された経緯

従来、自筆証書遺言の最大の欠点は、

1、遺言者(遺言を書いた人)の意思確認をする人がいない

2、保管場所・保管者の定めがない

3、偽造・変造・隠匿のおそれがある

にあると指摘されていました。これらの欠点を補う役目を果たすのが、今回新設された保管制度です。

例えば公正証書遺言は、公証役場で原本を保管し、平成元年以降に作された公正証書遺言であれば、遺言検索システムによりその存否等の照会ができます。

自筆証書遺言の保管制度は、法務局で原本を保管し、存否等の照会も可能ですから、その限りでは公正証書遺言と同様の効果を期待できます。

そして、自筆証書遺言は、遺言書作成後の紛失や隠匿・変造のおそれを指摘されており、安全面を考慮すると推奨できるものではありませんでした。

また、相続人による遺産分割が終了した後に遺言書が発見されるなどすると、相続人間に深刻な紛争を生じさせることもあり、公的機関による自筆証書遺言の確実な保管と、相続人による遺言書の有無や内容確認の方策が待望されていました。

そこで、民法の相続法の改正に合わせる形で、保管法が制定されるに至りました。

それでは次の項目では、保管法の条文を紐解きながら、自筆証書遺言の保管制度のポイントを解説します。

自筆証書遺言の保管制度の重要なポイント

保管法は全18カ条から構成される法律ですが、第1条は立法趣旨、第13条~18条は不服申立等に関する規定となっている為、実質的には11カ条(第2条~第12条)を見ておけばよいでしょう。

どこに預けるか|遺言書保管所

遺言書の保管に関する事務は、法務局が「遺言書保管所」として行います(保管法第2条)。そして法務局の職員が「遺言書保管官」として実際の事務を取り扱います(保管法第3条)。

つまり、遺言書を預ける方からすると、とにかく法務局に遺言書を預けることになるわけですが、どこの法務局でも良いというわけではありません。

自筆遺言書の作成者は、次の3つの中から保管する法務局を任意に選択できます(保管法第4条3項)。

  1. 遺言者の住所地を管轄する法務局
  2. 遺言者の本籍地を管轄する法務局
  3. 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局

法務局が保管するため、遺言書の隠匿・偽造・変造という問題は解決できそうです。

ただし、「保管した」という事実を遺言者以外の人が知っていなければ、保管された遺言書は誰にも発見されずに終わってしまいます。この点は、解決できていません(下記で説明する照会制度は一応ありますが…)。

近い将来、役所の戸籍データと紐づけされることもあるでしょう。そうなれば、役所に死亡届出をすることにより、相続人や受遺者に遺言保管の旨が法務局から通知される、となりそうですが現時点ではそのような規定は存在しません。

誰が預けるか|保管の申請

遺言書を作成した本人が自ら法務局に出頭して行わなければなりません(保管法第4条6項)。代理人が行うことはできません。

ですから、入院・療養中の方は、この制度の利用は困難と思われます。外出が困難な方は、これまで通り、公証人に出張してもらう形で公正証書遺言を作成することになりそうです。

保管に際しては、遺言書(封をしてはいけません)に添えて「申請書」も提出する必要があります(保管法第4条2項・同4項)。もちろん遺言書は原本現物を預け入れます。

申請書の記載事項は次の通りです。

【保管法第4条4項】
第一項の申請をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、遺言書に添えて、次に掲げる事項を記載した申請書を遺言書保管官に提出しなければならない。
一 遺言書に記載されている作成の年月日
二 遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
三 遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所
イ 受遺者
ロ 民法第千六条第一項の規定により指定された遺言執行者
四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

また、申請書には、「遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)」を証明する書類、その他法務省令で定める書類の添付が必要です(保管法第4条5項)。

なお、この制度を利用できる回数について制限はありません。もともと遺言書は何回も書き換えができ、作成日が新しいものを有効と扱います。ですから、保管制度を複数回利用した場合も同様に考えることになります。

窓口での本人確認

上記で説明したように、遺言書の保管は本人が自ら法務局に出頭して行う必要があります。法務局では、保管の申請人が本人であるかどうかの確認をします(保管法第5条)。身分証の提示が必要となります。

【保管法第5条】
遺言書保管官は、前条第一項の申請があった場合において、申請人に対し、法務省令で定めるところにより、当該申請人が本人であるかどうかの確認をするため、当該申請人を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す書類の提示若しくは提出又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。

保管の手数料はいくら?

今後、政令で定められるとのことです。手数料は申請時に収入印紙で納付します。高くても数千円ではないかと言われています。公表されましたら、当事務所のウェブサイトで新着記事をアップする予定です。

【保管法第12条】
次の各号に掲げる者は、物価の状況のほか、当該各号に定める事務に要する実費を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
一 遺言書の保管の申請をする者 遺言書の保管及び遺言書に係る情報の管理に関する事務
二 遺言書の閲覧を請求する者 遺言書の閲覧及びそのための体制の整備に関する事務
三 遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付を請求する者 遺言書情報証明書又は遺言書保管事実証明書の交付及びそのための体制の整備に関する事務
2 前項の手数料の納付は、収入印紙をもってしなければならない。

検認手続きが不要

検認手続きは、遺言書が死亡した後の手続ですから、遺言書を預ける時のポイントとは言えませんが、重要な事項なのでこちらで解説します。

公正証書遺言書以外の遺言書の保管者は、相続の開始を知った後は、遅滞なく家庭裁判所に遺言書を提出して、その検認を請求しなければなりません(民法1004条)。検認手続は、遺言の有効無効を判断するのではなく、遺言書の存在を裁判所で明らかにすることにより、偽造や変造を防止するための手続きです。

公正証書遺言書は、公証役場で遺言書を保管しているため、偽造・変造のおそれはないため、検認手続きを行うことは不要です。

反対に、自筆証書遺言は原則的に検認手続が必要です。しかし自筆証書遺言の保管制度を利用した場合は、法務局が遺言書を保管することになるため、偽造・変造のおそれはなくなりますから、検認が不要になります。

従来、自筆証書遺言を発見した相続人は、裁判所で検認手続きを行わなければならず、その負担と、これによる遺産分けの遅れなどの不利益を負っていたわけですが、保管制度を利用すればそのようなことはなくなります。

自筆証書遺言の保管制度のその他の注意事項

保管制度を利用するにあたり、知っておいた方が役立つ知識を整理しました。興味がある項目だけチェックしていただければ良いでしょう。

遺言作成者による閲覧請求

遺言者は、自分の預けた遺言書が保管されている法務局において、いつでもその閲覧請求ができます(保管法第6条2項)。代理人が代わってすることはできませんので、本人が自ら出頭して行うことになります(保管法第6条4項)。

遺言者の生前に閲覧請求ができるのは、遺言作成者本人だけです。相続人や受遺者などが相続開始前に行うことはできません。

相続人や受遺者は、相続開始後(遺言者が死亡した後)に遺言書が保管されている法務局で閲覧をすることが認められています(保管法第9条3項)。

閲覧を請求する場合は、「請求書(および添付書類)」を法務局に提出します(保管法第6条3項、9条4項)。収入印紙で手数料も納付しますが(保管法第12条)、具体的にいくらになるかはまだ決定していません。添付書類もまだ決定していません。

なお、当然のことですが、閲覧とは保管されている遺言書の現物を見ることを言うため、保管されている法務局以外で閲覧することはできません。

保管している遺言書を返してもらいたい場合

遺言作成者は、自分の預けた遺言書が保管されている法務局に対して、いつでもその保管の撤回(とりやめ)を申し出ることができます(保管法第8条1項)。代理人が代わってすることはできませんので、本人が自ら出頭して行うことになります(保管法第8条3項)。

保管の撤回を申し出ると、法務局から遺言書が遺言者本人に返還されます(保管法第8条4項)。これ以外の場合に、遺言書が法務局より返還されるという手続きはありません。

例えば、相続開始後に相続人から遺言書の返還を法務局に求めても、そもそもそのような手続きは保管法に規定されていないため、することはできません。

相続開始後に相続人が、保管されている遺言書の内容に基づく相続手続きを行いたい場合は、下記で説明する「遺言書情報証明書」を相続開始後に法務局に請求することにより可能です(保管法第9条)。

法務局はいつまで保管するのか?

遺言者本人が保管の撤回を申し出るまではいつまででも預かります。相続が開始した時に返還するという規定もありません。しかし、そうなると法務局は永遠に保管しなければならなくなってしまうため、次のような規定があります。

【保管法第6条5項】
遺言書保管官は、第一項の規定による遺言書の保管をする場合において、遺言者の死亡の日(遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、これに相当する日として政令で定める日)から相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間が経過した後は、これを廃棄することができる。

相続人等による照会制度について

それでは次に、保管されている遺言書の内容等を、相続人等が確認するための、いわゆる照会制度について解説します。大きく分けて、①原本の閲覧請求、②遺言書情報証明書、③遺言書保管事実証明書の3つの方法があります。このうち②と③を解説します。

遺言書情報証明書

相続人等が相続開始前に、保管されている遺言書の内容を知りたいとしても、その内容の確認を法務局に請求することはできません。

しかし相続開始後(遺言者が死亡した後)であれば可能です。上記で説明した閲覧請求をすることにより、遺言書の内容を確認することができますし、「遺言書情報証明書」を請求するとより確実です(保管法第9条)。

遺言書情報証明書を請求する場合は、「請求書(および添付書類)」を法務局に提出します(保管法9条4項)。収入印紙で手数料を納付しますが、具体的にいくらになるかはまだ決定していません。添付書類もまだ決定していません。

遺言書情報証明書はどの法務局に請求しても構いません(保管法第9条2項)。実際に遺言書を保管している法務局に限りません。遺言書情報証明書には次の事項が記載されます。

【遺言書証明情報の記載事項(保管法第9条1項、7条2項】
1.遺言書の画像情報
2.遺言書に記載されている作成の年月日
3.遺言者の氏名、出生の年月日、住所および本籍(外国人は国籍)
4.受遺者の氏名住所(遺言書に記載ある場合のみ)
5.遺言執行者の氏名住所(遺言書に記載ある場合のみ)
6.遺言書の保管を開始した年月日
7.遺言書が保管されている法務局および保管番号

実際にどのような様式で証明書が発行されるのかは現段階では分かりませんが、おそらく登記事項証明書のようなイメージであると予想します。

遺言書情報証明書は誰でも請求できるわけではありません。遺言者と特定の身分関係等がある方に限って請求が可能です。具体的にどのような方に請求権が認められるかについては、詳細な規定(保管法第9条1項)が設けられています。また、今後政令によりさらに細かい規定も設けられるようです(保管法第9条1項2号チ、3号ト)。

保管法第9条1項の中で、実際に問題となりそうな請求権者を挙げます。

  1. 遺言書の保管を申請した遺言者の相続人(相続欠格者、被廃除者、相続放棄した者を含みます)
  2. 受遺者
  3. 遺言で認知するとされた子
  4. 遺言で廃除する意思を表示された相続人
  5. 遺言で指定された遺言執行者
  6. 遺言で遺言執行者の指定を委託された第三者

現実的には、「1」や「2」からの請求がほとんどになると思われます。念のため長くなりますが根拠となる条文を下に挙げます。

【遺言書情報証明書の請求権者|保管法第9条1項】
次に掲げる者(以下この条において「関係相続人等」という。)は、遺言書保管官に対し、遺言書保管所に保管されている遺言書(その遺言者が死亡している場合に限る。)について、遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面(第五項及び第十二条第一項第三号において「遺言書情報証明書」という。)の交付を請求することができる。
一 当該遺言書の保管を申請した遺言者の相続人(民法第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者及び相続の放棄をした者を含む。以下この条において同じ。)
二 前号に掲げる者のほか、当該遺言書に記載された次に掲げる者又はその相続人(ロに規定する母の相続人の場合にあっては、ロに規定する胎内に在る子に限る。)
イ 第四条第四項第三号イに掲げる者
ロ 民法第七百八十一条第二項の規定により認知するものとされた子(胎内に在る子にあっては、その母)
ハ 民法第八百九十三条の規定により廃除する意思を表示された推定相続人(同法第八百九十二条に規定する推定相続人をいう。以下このハにおいて同じ。)又は同法第八百九十四条第二項において準用する同法第八百九十三条の規定により廃除を取り消す意思を表示された推定相続人
ニ 民法第八百九十七条第一項ただし書の規定により指定された祖先の祭祀しを主宰すべき者
ホ 国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第十七条の五第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者又は地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第三十七条第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者
ヘ 信託法(平成十八年法律第百八号)第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合においてその受益者となるべき者として指定された者若しくは残余財産の帰属すべき者となるべき者として指定された者又は同法第八十九条第二項の規定による受益者指定権等の行使により受益者となるべき者
ト 保険法(平成二十年法律第五十六号)第四十四条第一項又は第七十三条第一項の規定による保険金受取人の変更により保険金受取人となるべき者
チ イからトまでに掲げる者のほか、これらに類するものとして政令で定める者
三 前二号に掲げる者のほか、当該遺言書に記載された次に掲げる者
イ 第四条第四項第三号ロに掲げる者
ロ 民法第八百三十条第一項の財産について指定された管理者
ハ 民法第八百三十九条第一項の規定により指定された未成年後見人又は同法第八百四十八条の規定により指定された未成年後見監督人
ニ 民法第九百二条第一項の規定により共同相続人の相続分を定めることを委託された第三者、同法第九百八条の規定により遺産の分割の方法を定めることを委託された第三者又は同法第千六条第一項の規定により遺言執行者の指定を委託された第三者
ホ 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第七十五条第二項の規定により同条第一項の登録について指定を受けた者又は同法第百十六条第三項の規定により同条第一項の請求について指定を受けた者
ヘ 信託法第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合においてその受託者となるべき者、信託管理人となるべき者、信託監督人となるべき者又は受益者代理人となるべき者として指定された者
ト イからヘまでに掲げる者のほか、これらに類するものとして政令で定める者

遺言書情報証明書と法務局の通知制度

遺言者の相続人、受遺者、遺言で指定されている遺言執行者、この3名以外の方から遺言情報証明書の請求や閲覧請求があった場合には、法務局からこれらの方に対して、自筆証書遺言が保管されている旨の通知がされます(保管法第9条5項)。

これらの方に遺言書の存在を知らしめる必要があるためです。この通知を受領することによって、相続人、受遺者、遺言執行者は、遺言書の存在を認識することができ、円滑に遺言の内容を実現していくことが可能となります。この通知制度は、法務局による国民へのサービスと考えられます。

遺言書保管事実証明書

相続開始後(遺言者が死亡した後)であれば、誰でも、法務局に対して「遺言書保管事実証明書」の請求をすることにより、故人が自筆証書遺言書を保管しているか否かの確認をすることができます(保管法第10条)。

上記で説明した「遺言書情報証明書」を請求すれば、遺言の内容まで知ることができますが、請求権者が限定されています。それに対して「遺言書保管事実証明書」は誰でも請求ができます。しかし、遺言書保管事実証明書では保管の有無だけ知ることができ、遺言の内容は知ることができません。

遺言書保管事実証明書を請求する場合は、「請求書(および添付書類)」を法務局に提出します(保管法10条2項)。収入印紙で手数料を納付しますが、具体的にいくらになるかはまだ決定していません。添付書類もまだ決定していません。

遺言書保管事実証明書はどの法務局に請求しても構いません(保管法第10条2項)。実際に遺言書を保管している法務局に限りません。遺言書保管事実証明書には次の事項が記載されます。

【遺言書保管事実証明書の記載事項(保管法第10条)】
1.遺言書の作成年月日
2.遺言書が保管されている法務局および保管番号

繰り返しになりますが、この請求をしても遺言書の内容を知ることはできません。単に保管の有無が判明するだけです。また、遺言書情報証明書のように法務局の通知制度はありません。

考察|自筆証書遺言の保管制度を使ってもよいのか?

遺言書の作成を検討している方からすると、選択肢が増えましたから、非常にありがたい制度だと思います。

自筆証書遺言は、偽造・変造・隠匿がされやすいことや、死後に発見されにくいことが難点とされています。しかし、保管制度を利用すればそのようなリスクは回避することが期待できます。

しかし、自筆証書遺言書の内容の有効性が争われた場合には、これを回避することは難しいと思われます。例えば、公正証書遺言であれば、公証人が作成時に遺言の内容について間違いない旨の意思確認を必ず行いますから、原則として遺言の有効性が問題となることはありません。

ところが、保管制度は自筆の遺言書を法務局が預かるだけの制度ですから、その内容の意思確認は行いません(身分証と照合した上で預けたのが本人であるか否かの「本人確認」は行いますが…)。したがって、保管してくれるからと言って手放しで喜べるものではありません

また、保管制度を利用すれば、死後不発見のリスクを回避しやすくなるとは言ったものの、常にそうだとも断言できません。

相続人等の関係者が、保管されている遺言書を発見するには、事前に保管の事実を本人から知らされているか、遺言書情報証明書や遺言書保管事実証明書の請求を積極的にしなければなりません。何もせずして、自動的に遺言書の存在を知らせてくれるシステムは残念ながらありません

そのような意味において、自筆証書遺言の保管制度がより国民にとってより有益なものとなるためには、この制度の徹底周知にあると思います。制度が浸透すれば、相続開始と同時に、まずは法務局に照会請求を申請しようという手続きが一般化しますので、その時に初めて本制度の利用価値が出てくるのではないでしょうか。

いずれにしても、遺言を検討されている方は、すぐに本制度の利用を検討する前に、このような問題に強い、相続手続きに特化した司法書士に相談されることをおすすめします。

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私たちは、相続手続き専門の司法書士事務所です。東京国分寺で約20年に渡って相続問題に取り組んできました。

このページでは、「自筆遺言書の保管制度のすべて」についてお話ししました。

法務局に保管するのは簡単ですが、遺言書を作成する以上はその内容が第一です。遺言作成の手続きをこれから始めるにはどうすればよいのか、どのような書類を集めればよいのか、何に気を付ければよいのか等々、様々な疑問があることと思います。

専門知識を有する私たちであれば、疑問にお答えできます。

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