【すぐわかる】相続人と相続分をチェックポイント方式で

作曲家としても有名な平尾昌晃氏が2017年7月に亡くなりました。現在ワイドショーでも話題になっていますが、相続問題でもめているようです。報道によると遺産は60億ということです。

また、俳優の宇津井健氏は2014年3月に亡くなっていますが、こちらでも遺産争いが勃発しているとのことです。

この2つの相続問題に共通項を発見しました。両氏とも再婚をしているという事実です。再婚者は、前配偶者の間の子との間で相続争いになりやすいのです。平尾氏も宇津井氏も、もめているのは後妻と前配偶者との間の子です。

私たちの事務所でも、自らの予想される相続争いを予防するために、予め遺言書を作成される再婚者の方は多いです。平尾氏も宇津井氏も生前に遺言書を作成しておけば相続争いをある程度は防止できたのではないかと思います。

さて、今回は法律上の相続人(法定相続人と言います)、そして法律上の相続分(法定相続分と言います)をシンプルに解説します。チェックポイント・早見表と条文でキホンを知っておきましょう。

相続人になるのは誰か

それではまず法定相続人になるのは誰でしょうか。相続人になる人が誰もいない(相続人不存在と言います)というケースも稀に存在します。しかし、ほとんどの場合、以下の誰かが相続人になることが多いです。

配偶者がいれば配偶者は必ず相続人になる

配偶者(夫から見て妻・妻から見て夫)がいれば必ず配偶者は相続人になります。

なお、ここでいう配偶者とは、死亡した時点で婚姻関係にある配偶者のことです。ですから、前配偶者(前妻・前夫)は相続人ではありません。

また、内縁関係にある者(事実婚状態)は、法律上の配偶者ではありませんので法定相続人ではありません。

もちろんのことですが、そもそも未婚であったり、既婚でも死別していたり、離婚してその後再婚をしていない場合は、現に配偶者はいないわけですから、以下に示す第1順位から第3順位の相続人を考えてもらえればよいだけです。

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。(以下省略)民法890条

子は第1順位の相続人

被相続人(今回亡くなった人のことを言います)に子供がいれば、子供は法定相続人です。実子であるか養子であるかは問いません。また、嫡出子(婚姻関係にある者の間の子)であるか、非嫡出子(愛人関係にある者の間の子)であるかも問いません。

ただし、養子は相続開始時点ですでに離縁しているときは相続人になりません。

なお、子供が数人いる場合、例えば長男と次男が相続するようなとき、どちらが優先して相続をするというような決まりもありません。これは嫡出子と非嫡出子でも同じです。

被相続人の子は、相続人となる。民法887条1項

直系尊属は第2順位の相続人

まず、「直系尊属」という言葉がなじみ薄いですね。分かりやすいように、自分を基準にした場合、自分の親、祖父母、祖祖父母を指します。祖父母、祖祖父母まで存命ということはあまりないと思います。ですから、直系尊属と言ったら親のことだ、という理解がシンプルだと思います。

次に、「第2順位の相続人」という意味です。これは、被相続人に第1順位の相続人がいない場合にはじめて、被相続人の直系尊属が相続人になるという意味です。つまり、被相続人に子供がいない場合、被相続人の親が相続人になります。

では、被相続人には親もいるし祖父母も健在だという場合、結局誰が相続人になるのでしょうか。この場合は、より親等の近い者のみが相続人になります。つまり、被相続人の親(片親のみ存命の場合はその片親のみ)が法定相続人であり、祖父母は相続人ではありません。

次に揚げる者は、887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に揚げる順序の順位に従って相続人となる。
1号:被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
2号:被相続人の兄弟姉妹民法889条1項

兄弟姉妹は第3順位の相続人

第3順位とは、第1順位の相続人がおらず、かつ、第2順位の相続人もいない場合にはじめて、被相続人の兄弟姉妹が相続人になるという意味です。

つまり、被相続人に子供がいなくて、なおかつ、両親も祖父母も(さらに祖祖父母も)いないときに、被相続人の兄弟姉妹が相続人になるのですね。

また、ここで言う兄弟姉妹とは両親を同じくする兄弟姉妹だけを指すのではありません。一般的な兄弟姉妹は両親を同じくしていますね。

しかし、言葉はよろしくありませんが、いわゆる腹違いの兄弟姉妹のように、片親だけを同じくする兄弟姉妹相続人に含みますので注意が必要です(ただし法定相続分は異なりますが下記で説明します)。

代襲相続人とは

代襲相続人とは、法定相続人に代わって相続する者のことを言います。つまり、次のようになります。

  1. 子(第1順位の相続人)が、被相続人の死亡以前に死亡した等の事情がある時は、その子に子がいれば代わって相続できます(代襲相続)。さらに、子の子も同様の事情がある場合は、子の子の子が代わって相続できます(再代襲)。
  2. 兄弟姉妹(第2順位の相続人)が、被相続人の死亡以前に死亡した等の事情がある時は、その兄弟姉妹に子がいれば代わって相続できます(代襲相続)。しかし、兄弟姉妹の子に同様の事情があっても、兄弟姉妹の子の子が代わって相続することはできません(再代襲の禁止)。
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、(中略)は、その者の子がこれを代襲して相続人となる。(以下省略)民法887条2項
前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し(中略)その代襲相続権を失った場合について準用する。民法887条3項
第887条第2項の規定(代襲の規定のこと)は、前項第2号の場合(兄弟姉妹が相続人となる場合)について準用する。民法889条2項

相続人の考え方|チェックポイント

相続人の考え方をチェックポイント方式で言うと次の通りとなります。

【相続人4つのチェックポイント】

①配偶者がいれば配偶者は常に相続人
②第1順位の相続人→子
③子がいなければ第2順位の相続人→直系尊属
④子も直系尊属もいなければ第3順位の相続人→兄弟姉妹

ご相談お待ちしております! 左|司法書士 今健一  右|司法書士 齋藤遊

相続分の計算方法とは

相続分を計算する意味があるのは、上記に書いた方法で割り出した法定相続人が2人以上いた場合に限ります。複数人が共同で相続するから相続分を割り出す必要があるのですね。

そもそも法定相続人が子1人しかいないのであれば、子1人が全部相続するだけの話です。これが、配偶者と子1人が共同で相続するとか、配偶者と兄弟姉妹が共同で相続するとかなると、法定相続分を算出する必要があります。

子と配偶者の共同相続パターン

第1順位の相続人である子と配偶者の相続分は各2分の1です。なお、子が数人いる場合は、2分の1を子供の頭数で割ります。例えば配偶者がいて子供が2名いれば、配偶者は2分の1、そして子1名あたりの法定相続分は4分の1となります。

子であれば身分に差はありませんので、養子と実子、嫡出子と非嫡出子、前配偶者との子と再婚者との子、など相続分にも差はありません。等しいです。

子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。民法900条1号
子(中略)が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。(以下省略)民法900条4号

直系尊属と配偶者の共同相続パターン

配偶者の相続分は3分の2、直系尊属の相続分は3分の1です。なお、両親が健在で直系尊属が2名となる場合は、直系尊属の取り分である3分の1を頭数で割ります。

例えば配偶者がいて直系尊属が2名いれば、配偶者は3分の2、そして直系尊属1名あたりの法定相続分は6分の1となります。

配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。民法900条2号
直系尊属(中略)が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。(以下省略)民法900条4号

兄弟姉妹と配偶者の共同相続パターン

配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1です。なお、兄弟姉妹が2名以上となる場合は、兄弟姉妹の取り分である4分の1を頭数で割ります。

しかし、いわゆる腹違いの兄弟姉妹(父母の片方だけを同じくする者)は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となってしまいますので注意が必要です。

配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。民法900条3号
兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。民法900条4号

相続分の考え方|早見表

法定相続分の早見表を作ってみました。

配偶者以外の相続人配偶者
第1順位2分の12分の1
第2順位直系尊属3分の13分の2
第3順位兄弟姉妹4分の14分の3

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