「相続せずにスッキリ逝く」はトレンドとなるか?【司法書士監修】

開放感ある女性

本日発売の週刊朝日(2019年4月26日号)の中刷り見出しが「相続せずにスッキリ逝く」でした。
週刊朝日には失礼ながら記事は未読です。
しかし、近年、「相続」が「争族」となる事例も多い中、「相続せずにスッキリ逝く」方法を検討する人も増えるかもしれません。

そこで、相続専門事務所として、相続専門家が考える「相続せずにスッキリ逝く」具体的方法や、メリット・デメリットを考察します。
果たして、「相続せずにスッキリ逝く」方法を選択してよいのか、週刊朝日の記事と併せて御自身の判断にお役立てください。

「相続(さ)せずにスッキリ逝く」方法で良いのか?

週刊朝日の記事の見出し「相続せずにスッキリ逝く」は、私たち相続専門家から見ると正しい言い方ではありません。
正しくは、「相続人に相続させずにスッキリ逝く」になります。
週刊誌の見出しはなるべくキャッチーにするのがセオリーでしょうから、「相続せずにスッキリ逝く」としたのでしょう。

ところで、相続人に相続させないということは、基本的には生前に財産を全部使い切ってしまうことを推奨しているのでしょう。

あるいは、相続人以外の人間へ相続させる(これを法律上は「遺贈(いぞう)」と言います)ことを推奨しているのでしょう。

メリット

本人が生前に財産を使い切り、あるいは何らかの方法で処分できれば、精神的な満足は得られるでしょう。
断捨離はブームでもあり、その究極的な形、最終形ともいえるのが「相続せずにスッキリ逝く」手法であるからです。
そして、何も財産が残されていなければ、相続人も争いようがありませんから、究極の「争族対策」とも言えます。

デメリット

しかし、世は超高齢者社会。医療技術の発達や薬の開発も進み、寿命の予測は難しくなったと言えます。
生前に使い切ると言っても、どこまで計画通りにできるかは未知数ですし、判断を誤ると完全に”詰んだ”「貧困高齢者」に転落してしまう可能性もあります。
また、相続人以外の人間へ遺贈したことにより、かえって相続争いが激化することもあります。

5つの「相続(さ)せずにスッキリ逝く」方法

それでは、「相続せずにスッキリ逝く」方法として、相続専門家から見て具体的にどのような方法が考えられるか、次に列挙します。

公正証書遺言の活用

まずは遺言の活用です。
相続人には相続させないという事を、具体的に遺言に残す必要があります。
遺言は文書に残す必要があります。
代表的なやり方は2つあります。
1つは、遺言の内容を自分で手書きする「自筆証書遺言」と呼ばれるもの。
自分で書くだけなので費用は掛かりません。
2つは、公証人役場で作成してもらう「公正証書遺言」と呼ばれるもの。
こちらは公証人の手数料などが掛かります。

「自筆証書遺言」は死後に相続人などからその有効性が争われることがあり、相続専門家である私たちはお勧めしていません。
相続人等による偽造・変造のおそれがあるのです。
ただし、令和2年7月10日より自筆証書遺言を法務局で保管するというサービスが始まりますので、このようなリスクは改善されるかもしれません。

「公正証書遺言」は公証役場で保管されますから偽造・変造はあり得ませんし、遺言作成時に公証人が本人の意思確認を行いますので,有効性が争われることも一般論としてはありません。
ですから、「公正証書遺言」を生前に作っておくという方法が第一です。

「公正証書遺言」の優位性についてはこちらに詳しい記事を書きましたので宜しければお読みください。
【公正証書遺言作成】

遺言作成

相続人以外への遺贈

相続人に相続させたくないなら、相続人以外へ遺贈をするやり方があります。
「遺贈」とは相続人以外の人間へ財産をタダであげることを言います。
その具体的な内容は遺言書の中でのみ指定することができます。

しかし、原則的に相続人には「相続分」とは異なる「遺留分」と呼ばれる最低限度の取り分が法律上保証されています。
ですから、相続人以外へ遺贈がされたことによって、「遺留分」まで奪われてしまった相続人が訴えを提起することは十分に考えられます(現行法上はこれを「遺留分減殺請求」と言いますが、令和1年7月1日からは「遺留分侵害額請求」と変わります)。

「遺留分侵害額請求」についてはこちらに詳しい記事を書きましたので、もし宜しければお読みください。

【相続法の改正|遺留分に関する主な改正】

相続法の改正|遺留分に関する主な改正

寄附

寄附をするという方法もあります。
寄附は生前でもできますし、遺言でもできます
ユニセフや赤十字など、遺言による寄付を受け付けているところもありますが、そうでないところもあります。
ですから必ず事前の確認が必要になります。

生前贈与

相続人に相続させたくないなら、相続人以外の人間に、生前に贈与してしまうという方法もあります。
念の為「贈与契約書」という書面にしたほうが良いでしょう。
しかし、この生前贈与が相続人の遺留分までをも奪うようなものであるときは、「遺留分侵害額請求」の対象となることもあります。
ですから専門家のアドバイスを踏まえた上で慎重にやる必要があります。

リバースモーゲージの活用

リバースモーゲージとは、自宅(持ち家)を担保にして、そこに住み続けながら公的機関や金融機関から融資を受けられる主にシニア層向けの融資制度です。
死亡後は自宅を売却して、その代金を融資の一括返済に充てるというのが基本的な仕組みです。

通常の住宅ローンは、はじめに一括で借りて、毎月返済するシステムです。
リバースモーゲージは、毎月少しづつ借りて、最後に返済(住宅売却)するシステムです。
通常の住宅ローンと「逆(リバース)」なので、このネーミングと言われています。

リバースモーゲージにはメリットとデメリットが併存していますので、ご利用の際は十分な注意が必要です。
ウィキペディアによくまとまっていますので、リンクを貼っておきます。
出展ウィキペディア:リバースモーゲッジ

左|司法書士 齋藤遊 右|司法書士 今健一

相続専門家が考える【まとめ】

いかがでしたでしょうか。
「相続せずにスッキリ逝く」のも簡単ではありません。
どの方法も、確かに相続人に財産を残さないという目的は達成できますが、その一方で別の問題が出てきます。
相続争いを起こさない方法としては、タレントの永六輔氏のように、生前から遺産の管理を子供全員に任せてしまうというやり方があります。
かなり独特な手法ですが一考の余地ありだと思います。

あるいは、タレントの大橋巨泉氏のように、生前にすべての遺産を現金化してしまうというやり方もあります。
特に不動産はその評価をめぐって争いになることが多いので、不動産を所有している方は検討してみる価値はあるでしょう。

なお、法定相続人がそもそも誰なのか分からないという方は、「法律知識ゼロでも相続人が判定できるツール」を当事務所で作りましたので、是非ご活用ください。

【司法書士監修|相続人判定YES /NOチェック|相続人判定ツール】

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