相続法の改正|配偶者短期居住権

2022年7月8日

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今年の7月6日に、約40年ぶりとなる相続法大改正の法案が可決されました。大改正と呼ばれているのは決して大げさではなく、その改正・新設項目は多岐に渡っています。

今回は、「配偶者短期居住権」について取り上げます。

「配偶者短期居住権」は、この度の改正で新しく登場する用語です。

一言で言えば、「連れ合いが亡くなっても、配偶者は少なくとも6か月は自宅にタダで住み続けることができる」という制度です。あまりピンと来ませんかね。

これまでは、連れ合いの遺産分けの際に、配偶者が自宅を取得できず、敵対する子供や全くの第三者に取られてしまった場合、

  1. 直ちに立ち退くか、
  2. 自宅を取得した人に(賃料として)お金を支払う、しかなかったわけです。

自宅は他人のモノとなっていますから、配偶者は居座れないわけです。

しかし、いまの日本は超高齢者社会。直ちに立ち退くことは無理です。お金も払えません。

そこで、少なくとも6か月はタダで自宅(正確にはもともと自宅だった場所となりますね)に住み続けることが法律上の権利として当然に保証されましたよ、ということです。

前置き長くなりました。それでは詳しく見ていきましょう。

配偶者短期居住権のポイント

どんな人に「配偶者短期居住権」が認められるのか?

当然ですが、亡くなった人(「被相続人」と言います)の配偶者に限られます。

婚姻期間が何年あるかは関係がありません。

ただし、亡くなった時に、被相続人名義の不動産に居住している必要があります

つまり、亡くなる直前に別居状態であれば、たとえ配偶者であっても、この権利は認められないことになりますね。

配偶者短期居住権が認められる期間は?

法律上細かい規定はあるのですが、常に最低6か月間は居住権が認められます。

しかも、無償(タダ)で、居座ることができます。

遺産争いで負けて自宅を相続できなかったとしても、6か月はタダで住み続けることができます。

そして、遺産争いで勝って自宅を取得できた人は、この配偶者の使用を妨げるような妨害行為をしてはいけません。

高齢の配偶者の住まいの確保を重視した規定なんですね。

それでも6か月の間に転居先を見つけたりしなければなりません。

6か月内にできること

配偶者短期居住権が認められる6か月の間にできること、それは、居住することだけです。

自分が住むだけ、という意味です。

民泊に使うなど、人に貸したりすることはできません

また、暫定的に6か月タダで住まわせてもらっているだけなので、今まで住んでいたのと同様の状態で住み続けなければなりません。

わざと壊したりしてもいけません。

もしこういったことに違反があれば、6か月を待たずに、建物を相続等で取得した人から、配偶者短期居住権の消滅を請求されることがあります。

消滅請求されたら、当然、立ち退かなければなりません。

遺産分割で取り分が少なくなってしまうのか

タダで6か月住み続けることができる訳ですから、

「その分、遺産の分け前は少なくなるぞ」
なんてことにならないのでしょうか?

ご心配なく。法律上の「特別受益」とはなりませんので、配偶者短期居住権は考慮することなく遺産分割をすることができます。

遺産分割に関する詳しい記事はこちらにあります。もしよろしければお読みください。

いつから制度がスタートするのか?

平成32年4月1日からです。

相続手続き専門家による総評

配偶者の居住権については、平成8年から改正が要望されており、ようやく、といった感じです。

高齢の配偶者の住まいの確保のためには、必要な制度であるのは誰が見ても明らかでしょう。

配偶者短期居住権は、法律上当然の権利なので、大雑把に言えば配偶者であれば認められる権利です。

ただし、期間は6か月ですから、別に記事にする予定の「配偶者居住権(短期ではなく長期型もあるのです)」が別途認められなければ、退去しなければなりません。

やはり相続問題は奥深いですね。

すべての相続問題を解決するような施策は難しいかもしれません。

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