【司法書士監修】後見制度支援信託で親族後見人|チェックリスト付

2023年11月8日

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認知症等の方(以下「本人」と呼びますね)が、たくさんの財産を所有している場合、そのご家族が成年後見人となることは極めて難しいです。

成年後見制度が開始した当初は、家族が成年後見人となることは簡単でした。しかし、家族が成年後見人になると、財産管理がどうしてもうやむやになってしまうということがあり、徐々に家族が選任されることは減っていきました。

現状は、本人の財産が500万程度以上の財産を所有していると、家族ではなく、職業後見人(弁護士・司法書士など)が選任されるのが一般的です。これも諸条件によってまちまちですから、一般論としてご理解ください。

では、その場合に家族が成年後見人として選任される余地は全くないのでしょうか?

職業後見人には報酬を支払わなければならない

そこまで家族が成年後見人になることにこだわることが多い理由は、費用の問題があるからです。専門家が後見人になった場合は、本人の財産から一定の報酬を支払うこととされています。

報酬額は、後見人が決定するのではなく、家庭裁判所が決定します。ですから法外な金額を請求されることはありません。

しかし家族が後見人になることさえできれば、そもそも報酬自体支払う必要がないわけですからね。ちなみに、後見人の報酬額ですが、本人の財産額や財産管理の難易度などによっても変動しますが、一般的には1か月あたり3万円程度とされています。

また、あまり知られていないことかもしれませんが、家族が後見人となった場合も、家族後見人は裁判所に報酬付与の申立てをすれば、職業後見人と同様に報酬が受けられます。金額は職業後見人よりは低額となるでしょう。

後見制度支援信託の利用を検討してみる

本人の財産が多い場合、ストレートに家族を後見人にしてほしい旨申立てをしても、そのまま認められることは少ないでしょう。この場合選択肢としては次の3つです。

1、職業後見人が選任される
2、家族が後見人に選任され、これに職業後見監督人が付く
3、後見制度支援信託の利用を条件に、家族が後見人に選任される

知識を持たない方が、自分で申立書を作成して、漫然と申立てをしてしまうと、おそらく気が付いたら「1」になっていた、という結論だと思います。

ですから、このような微妙なケースに該当する申立は必ず専門家に依頼されることを強くお勧めします。

と言いますのは、家庭裁判所に書類を提出し申立てをすると、その後、申立人は裁判所に呼び出されて、今後の意向を聞かれるのです。

裁判所の方も親身に分かりやすく説明はしてくれるのですが、それでも何も知識を持たない方に3つの中から選んでくださいと言われてもよくわからないと思います。ですが、まさにこの時点が重要なのです。

この時点で、「1」と「2」を選択したくない意思を強固に伝えて、「3」でお願いしますと訴える必要があるのです。人によっては「2」でも、家族が後見人に選任されているから別にいいじゃないかと考えるかもしれません。

しかし、「職業後見監督人(後見人を監視するお目付け役とイメージしてください)」が選任されれば、結局これに支払う報酬が必要となってきます(後見監督人の報酬は一般的に後見人の報酬よりは低額です)。

ですから家族が後見人になることにこだわるなら、「3」でないと意味がありません。

後見制度支援信託の概要とは

簡単に言うと、本人の財産のうち200~300万円程度を手元に残して(出し入れ自由な口座に預けて)、それを超過する金額は、容易に引き出しができないように信託銀行に預けてしまう制度です。

後見制度支援信託のポイントは次の通りです(これも様々なパターンがありますが一般的なケースで説明します)。

1、まず職業後見人と家族後見人の2名が成年後見人として選任される
2、信託に関する作業は職業後見人が行う
3、信託銀行に超過財産を預けたところで職業後見人は辞任
4、以後は家族後見人だけが後見人となる

職業後見人は、信託銀行に超過財産を預ける(信託する)ところまで行います。その後、家庭裁判書に後見人辞任の許可申請をして、許可が下りると、以後成年後見人は家族後見人だけとなります。

ですから、辞任するまでの報酬分は職業後見人に支払う必要はあります。しかし、通常は3か月程度で信託に関する作業は終了します。一般的には高くても数十万円程度の報酬で済みます。

ご相談お待ちしております! 左|司法書士 今健一  右|司法書士 齋藤遊

後見制度支援信託が認められるか否か|チェックリスト

ではどのような場合に後見制度支援信託が認められるのでしょうか。結局、職業後見人は途中で辞任して、その後は家族が後見人として財産管理を行っていくわけですから、あまり難しい事例の場合には利用は認められません。

以下が、家庭裁判所(東京家庭裁判所立川支部)が作成したリストです。ご自分の場合はいかがでしょうか。あてはまる項目が多ければ多いほど、後見制度支援信託(つまり家族が後見人になること)は難しくなるという意味です。

【チェックリスト(信託等利用の適否について)】
1、申立書記載の事情以外の事情により、近いうちに本人の預貯金額が相当程度減少する予定があるか否か(Yes,No)

2、本人が信託等の対象とならない多額の金融資産を有しており、専門職による監督を要するといえるか否か(Yes,No)

3、本人の財産に関する遺言が存在し、かつ、その遺言が特定の預貯金を特定者に相続させる内容となっているか否か(Yes,No)

4、本人の身上面(病状、生活状況等)が安定しなかったり、財産状態が不確定であるなど、本人の収支予定を立てることが困難な事情があるか否か(Yes,No)

5、財産管理や身上監護に関し、訴訟対応等の専門的な知見を要するか否か(Yes,No)

6、財産管理や身上監護をめぐり、親族間に紛争があるか否か(Yes,No)

7、親族後見人が信託等の利用に反対ているか否か(Yes,No)

8、親族後見人に本人の十分な身上監護を期待できなかったり、そもそも後見人としての適格性を欠くものと思われる以下の事情が存在するか否か(Yes,No)

8-1、後見開始前に本人の財産を私的に流用したことがある(Yes,No)

8-2、本人に対する身体的又は経済的虐待をしたことがある(Yes,No)

8-3、過去に本人との間で紛争状態にあったことがある(Yes,No)

8-4、現在、多額の負債(住宅ローンを除く)を負っている(Yes,No)

8-5、過去に自己破産や債務整理等を行ったことがある(Yes,No)

8-6、特段の事情がないのに本人の財産に頼って生活している(Yes,No)

8-7、後見事務を遂行していくための能力に疑義がある(Yes,No)

8-8、本人との関係が疎遠である(Yes,No)

9、上記以外に、本人または親族後見人に信託等の利用に適さない事情があるか否か(Yes,No)

大雑把に言えば、家族に成年後見人を任せても大丈夫だと、家庭裁判所が確信が持てるようであれば、後見制度支援信託を利用できるということになります。

成年後見制度でご不明な点があればすぐ相談

私たちは相続手続き専門の司法書士事務所です。相続手続きにあたって、成年後見人を選任する事情が生じ、ご依頼を頂くことがもっとも多いケースです。

しかし、これ以外にも、施設に入所するためには後見人を選任してくださいと言われたとか、不動産を売却するにあたって、不動産業者からそう言われたとか、様々なケースがあります。

どのようなケースにも対応ができます。ぜひ私たちにご相談くださいませ。まずは、毎週土曜日に開催している無料相談会で相談してみませんか?

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