速報【司法書士監修】相続時の戸籍謄本が1カ所で請求可能に

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相続手続きをする際、戸籍謄本の収集はとても面倒ですね。
そんな相続手続き時の戸籍謄本の収集が、2024年頃より大幅に簡略化される見込みが高くなりました。
今回は、平成31年2月1日の法務省法制審議会戸籍法部会第12回会議で決定した「戸籍法の改正に関する要綱案」を紐解き、戸籍謄本の収集がどのようにカンタンになるのか考察します。

相続時の戸籍謄本とは

相続手続きを行うためには、相続人を確認するため戸籍謄本が必要になります。
相続人を確認するための戸籍謄本とは、原則として、被相続人(故人)が生まれたときから亡くなるまでの連続した戸籍謄本を言います。

この戸籍謄本とは、一般的な戸籍謄本や除籍謄本だけでなく、改製原戸籍も含みます。
改製原戸籍まで必要となるかは事例によって異なります。
下の具体例をご参照ください。

相続時の連続した戸籍謄本とは

イメージとしては故人の死亡から出生までの時代を順に遡っていくような感じで戸籍謄本を徴収していきます。

「連続した戸籍」という意味が分かりにくいですね。
例えばある人が生まれてから死亡するまでたった1つの本籍に居続けるという事は一般的には少ないです。
結婚することにより本籍が代わることがあります。
また、引っ越しと同時に本籍を移すこともあります(転籍と言います)。
さらに、戸籍は昭和32年と平成6年に改製が行われているので、結婚や転籍が無くても戸籍謄本が作り変えられていることもあります。

【具体例で分かる】相続時の連続した戸籍謄本

大正生まれの方が平成30年に亡くなったとします。
昭和20年に結婚して、昭和63年に転籍したことにしましょう。
それでは、平成30年から大正時代まで時代をさかのぼる感じで戸籍謄本を集めていきましょう。

  1. 平成30年~平成6年法務省令51号改製までのもの→「戸籍謄本又は除籍謄本」
  2. 平成6年法務省令51号改製~昭和63年の転籍までのもの→「改製原戸籍謄本」
  3. 昭和63年の転籍~昭和32年法務省令27号改製までのもの→「除籍謄本」
  4. 昭和32年法務省令27号改製~昭和20年結婚までのもの→「改製原戸籍謄本」
  5. 昭和20年結婚~父等が家督相続するまでのもの→「除籍謄本」
  6. 父等が家督相続するまで~大正に出生するまでのもの→「除籍謄本」

この事例ですと、合計6通の戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
ほんの一例ではありますが、相続時の戸籍謄本を集めるのは、気の遠くなる作業であることは間違いありませんね。
私たち司法書士は業務として日常的にやっているので慣れていますが、一般の方には時間・手間ともに困難な手続きです。
相続手続きを自分でやろうと思っても、多くのご相続人は戸籍謄本集めの時点であきらめてしまいます。

現時点での相続時の戸籍謄本の集め方

戸籍謄本は、その戸籍のある市区町村で入手できます。
上記の事例のように本籍が転々としているケースでは、その本籍所在地の役所で別々に戸籍謄本を取り集める必要があります。

現時点での相続時の戸籍謄本の集め方は2つあります。

  1. 直接役所の窓口に出向いて取得する。
  2. 郵送で請求する。

郵送で相続時の戸籍謄本を徴収するテクニックは、当事務所の別の記事にありますのでご参照ください。

戸籍謄本の取り寄せ

2024年頃からの相続時の戸籍謄本の集め方

平成31年2月1日の法務省法制審議会戸籍法部会第12回会議で決定した「戸籍法の改正に関する要綱案」の中で、注目すべき内容が発表されました。

戸籍証明書の広域交付

今まで、本籍が異なる戸籍謄本を収集するためには、本籍地ごとに別々に戸籍謄本を請求していました。
これを、本人が利用しやすい任意の役所に請求することにより、その本籍地以外の戸籍謄本も一括して収集できるようにする改正案です。

その為に、まずは各自治体で管理していた戸籍謄本にするデータを法務大臣の下で一括管理します。
この戸籍謄本に関するデータは、いわゆるマイナンバーとは直接紐づけしないことが改正案に明記されています。

戸籍謄本に関するデータは、「戸籍関係情報」と呼ばれ、法務大臣が一元管理します。
ですからオンラインで全国どこの自治体からもアクセス可能となり、例えば北海道の戸籍謄本を沖縄で発行することも出来るようになる、とのこと。
ただし、取得するためには本人確認書類(写真付きの身分証明書)が必要となります。

ちなみに、改正法施行後は戸籍謄本ではなく、「戸籍関係情報」と呼ばれます。
これはちょうど、昔「登記簿謄本」と呼ばれていたものが、いまは「不動産登記情報」と名称が変更されていることに対応します。

考えてみると、昔「登記簿謄本」は、不動産所在地でしか取得できなかったものが、現在ではどの法務局でも取得できるようになったことと同じ流れですね。

根拠となる法務省のHPをリンクとして記載します。
http://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04600030.html

【戸籍証明書の広域交付】

(1) 戸籍又は除かれた戸籍に記録されている者(これらの戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記録が市町村長の過誤によってされたものであって,当該記録が法第24条第2項の規定によって訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者,直系尊属若しくは直系卑属(後記5(1)において「本人等」という。)は,本籍地の市町村長以外の市町村長に対し,それらの戸籍に係る戸籍証明書又は除籍証明書の交付の請求をすることができるものとし,この場合において,当該請求をする者は,市町村長に対し,法務省令で定める書類を提示する方法により,当該請求をする者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を明らかにしなければならないものとする。

(2) (1)の請求を受けた市町村長は,その請求が不当な目的によることが明らかなときは,これを拒むことができるものとする。

(3) 戸籍証明書又は除籍証明書の交付の方法その他(1)及び(2)の規定の実施に関し必要な事項は,法務省令で定めるものとする。

電子的な戸籍証明情報の発行も

現在、戸籍謄本は電子データとして取得することはできません。
「紙」の戸籍謄本しか発行は受けられません。
しかし、この改正案では、電子データとしての戸籍謄本(「戸籍電子証明情報」と呼びます)の発行もするとしています。
さらに、戸籍電子証明情報はオンラインで取得できるようにするとあります。

これも登記簿謄本と同じ流れです。
登記簿謄本もかつては紙でしか発行されていませんでした。
現在では、オンライン請求し、データとして取得することができます。

相続時の戸籍謄本の取り寄せは2024年までは面倒

新制度は、早くて2024年前半からスタート(新聞報道)ですから、まだ少し先ですね。
2024年までは、そのような特則は一切ありませんから、面倒でも地道に相続時の戸籍謄本を取り寄せる必要があります。

ご相談お待ちしております! 左|司法書士 今健一  右|司法書士 齋藤遊

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