遺言書が2通出てきた場合のまとめ【司法書士監修】

相続手続きで一番最初に確認しなければいけないのは、遺言書があるかどうかです。

なぜなら、遺言書がある場合は遺言の内容通りに相続する為、遺産分割を終えた後に遺言書が発見されると、もう一度相続のやり直しということになりかねないからです。

では、遺言書が2通発見された場合、どちらの遺言が有効となるのでしょうか。
そもそも遺言は何回でも作成できるので、死後に数通見つかる場合もあります。
遺言書が数通見つかった場合の対処方法をまとめます。

どちらの遺言が有効か判断する3つの手順

2通の遺言書が見つかった場合、どちらの遺言を有効なものとして相続手続きを進めていけばよいのか、が一番悩ましいところです。
次の3つの手順を踏んでいただくのが良いでしょう。

ステップ1|遺言書がどちらも形式的に有効か調べる

2通の遺言書があるとき、まずは法律上の有効要件を満たしたものかどうかを判断するところから始まります。
遺言は、民法の規定に従った要件を具備したものでなければならないので、そもそも法律上の要件をクリアーしていないのであればその遺言は無効であり、要件を満たした遺言だけを有効と扱えばよいのです。

公証役場で作成した遺言(法律上は「公正証書遺言(こうせいしょうしょいごん)」と言います)であれば、形式的に無効となることはありません。

しかし、本人が自筆で書いた遺言(法律上は「自筆証書遺言(じひつしょうしょいごん)」と言います)は、法律に詳しくない一般の方が作る為、法律上の要件を満たしていないことがよくあります。

自筆証書遺言が有効となるための要件は、①自筆している、②日付がある、③押印がある、の3つです。どれか1つでも欠けていると無効になります。

2通の遺言書のどちらも要件を備えていない場合は、どちらの遺言も無効ですから、相続人による協議で遺産を分けていく必要があります。

ステップ2|遺言書の日付を見比べる

次に、2通の遺言書の作成日付を見比べます。そして、日付が新しい遺言が優先します。
「遺言は死者の最終の意思」と言われており、日付の古い遺言は、日付の新しい遺言で撤回されたことになります。

民法第1023条第1項
前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。e-Gov法令検索

つまり、「古い日付の遺言<新しい日付の遺言」となります。

ステップ3|遺言書の内容を見比べる

最後に遺言書の内容をよく見比べます。2つの遺言書で内容的に矛盾するものでなければ、どちらの遺言も有効となります。

ステップ2でお話しした「古い日付の遺言<新しい日付の遺言」は考慮しなくていいのか、という疑問が出ますよね。
実はこの公式が当てはまるのは、民法第1023条第1項によると「前の遺言が後の遺言と抵触するとき」に限るのです。
「抵触するとき」というのは、前後の内容が矛盾しているような場合を言います。

例えば、古い日付の遺言書で「土地は妹に相続させる」としながら、新しい日付の遺言書で「土地は姉に相続させる」とあれば、完全に内容が抵触していますから、新しい遺言書が有効となるわけです。

しかし、古い日付の遺言書で「土地は妹に相続させる」とあり、新しい日付の遺言書で「建物は姉に相続させる」とあれば、内容的に矛盾するものではありませんから、どちらの遺言書も有効となります。

1通が自筆遺言で1通が公正証書遺言のとき

イメージとしては、公正証書遺言の方が強力な効力がありそうですが、決してそのようなことはありません。上記の3つの手順で判断すればよいのです。

ですから、古い日付の公正証書遺言と、新しい日付の自筆証書遺言がある場合、内容が矛盾抵触するものであれば、自筆証書遺言が有効となります。

2通の自筆遺言は全部検認が必要?

理論上はすべての自筆証書遺言について検認手続きをとる必要があります。検認の対象となるのは、公正証書遺言を除くすべての遺言です。

したがって、明らかに形式的に無効である遺言書や、内容が完全に重複一致する遺言書などすべての遺言書について、裁判所で検認手続きを行うことが建前です。

遺言が出てきたらすぐにご相談ください

いかがでしたでしょうか。遺言書が数通出てきた場合の処理方法についてまとめてみました。
3つの手順を説明しましたが、実際には法律的な判断をしなければなりません
遺言書を発見したら、まずはお気軽に当事務所までお問い合わせください。
その後の手続の流れは、個別に異なりますから、ケース別にご説明いたします。

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